市場調査データ

食材宅配サービス(2010年版)

夫婦共働き世帯の増加、外出機会の少ない高齢者世帯の増加などから、食材宅配サービスへの期待は大きく、幅広い年代・性別で同サービスへの潜在需要が存在していると考えられる。以下では、食材宅配サービスについての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で15%、男性13%、女性18%となっており、女性の方が利用率は高い(表1、図1)。

最も利用率が高いのは30代女性(22%)であり、ほか、60代・40代・20代などの女性で利用率が高い。

表1 現在の利用状況

表1 現在の利用状況

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

利用頻度に関しては、「年に1回以下(31%)」と「週に1回(26%)」という意見が多く、これらだけで利用経験者全体の57%を占めている(図2)。

年代・性別にみると、利用経験者のうち「週に1回」以上利用する人の割合は、30代女性(56%)、20代女性(47%)、60代男性(43%)、60代女性(42%)などの順に多い。

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

1回あたり利用金額は、利用経験者全体で、2,000円未満の利用者(48%)と2,000円以上の利用者(52%)とで約半分に分かれる(図3)。この境である2,000円あたりの金額が1回あたり利用金額の一般的な相場(中央値)だといえる。

年代・性別では、50代女性で1回あたり利用金額が比較的多いといえる。50代女性では利用経験者の62%が1回に2,000円以上を使い、40%が1回に3,000円以上を使い、24%が1回に5,000円以上を使っている。

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で20%、男性17%、女性23%であり、女性の方が利用意向は高い(表2、図4)。

食材宅配サービスの利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、全体で52%、男性47%、女性58%に達している。また、男女ともに30代を中心に利用意向が高い。

表2 今後の利用意向

表2 今後の利用意向

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

積極的潜在需要(積極的利用意向-利用率)は、20代・30代そして60代の男女などに存在していると考えられる(図5)。

食材宅配サービスの利用に否定的な意向を持たない層を加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、男性よりも女性、そしておおむね若い年代であるほど、多く存在しているといえる。

20代・30代そして60代などを中心に幅広い層の関心をいかに喚起し、実際の利用に結びつけていくかが、今後の成功の鍵といえるだろう。また、図1で、「利用経験あるが、現在利用していない」人の割合が利用率と比べると高く、リピーターが定着しにくい様子もうかがえるので、季節感ある食材の案内や調理方法の紹介など、既存顧客のリピート率向上のための努力も必要だといえる。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※東日本大震災、福島原発事故による大気汚染や汚染水の問題などといった背景から、安全で安心できる食材を手に入れたいというニーズは、近年とくに高まりを見せていると言える。本レポートのアンケート調査は2010年に行われたものであるが、現在の利用率等は傾向として上がってきているとも考えられる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2010年8月3日~8月23日、11月19日~24日

調査対象:

WizBiz株式会社 消費者モニター組織「コンシューマー・アイズ」のモニター会員、全国20代~60代男女(有効回答数:1249人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2013年9月

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