市場調査データ

回転すし店

回転すし店は、低価格、価格の明瞭性、品質の向上が消費者の支持を受け、また、調理技術の機械化や効率化も進み、急速に店舗数が増えてきた。以下では、回転すし店についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は比較的高く、全体で72%となっている(表1、図1)。年代・性別で見ると、最も利用率が高いのは、30代女性と40代男性の77%であり、続いて40代女性(75%)、20代の男女(73%)の順に利用率が高くなっている。

表1 現在の利用状況

回転すし店の、年代・性別ごとの利用状況一覧表

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

利用頻度は、30代以外の全ての年代で女性よりも男性の方が高い(図2)。利用頻度が比較的高いのは40代男性と50代男性であり、月1回以上の利用者は、40代男性利用経験者で54%、50代男性利用経験者で50%となっている。逆に、女性の利用頻度は総じて低い。

1回1人あたりの利用金額は、20代では男性よりも女性の方が高く、30代以上では女性よりも男性の方が高い、という傾向が見られる(図3)。20代男性と30代以上の男性との間の格差も顕著である。1回1人あたりに1,000円以上使うのは、30代男性で63%、40代男性で65%、50代男性で59%、60代男性で61%であるのに対して、20代男性では38%にすぎない。

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

今後の利用意向に関しては、30代女性を中心に「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」の比率が高い(表2、図4)。「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい」を合わせた比率(積極的利用意向)は、20代女性で68%、30代女性で73%、40代女性と50代女性で67%となっている。

回転すし店の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は極めて高く、全ての年代・性別で85%以上となっている。

表2 今後の利用意向

回転すし店の、年代・性別ごとの今後の利用意向一覧表

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

潜在需要(利用意向の比率マイナス利用率)に関しては、20代男女と50代女性に有望な潜在需要が存在していると考えられる(図5)。

積極的潜在需要(積極的利用意向マイナス利用率)は、利用率が既に高いことから、全ての年代・性別でマイナスになっているが、50代女性のマイナス幅は比較的小さい。

積極的潜在需要に「否定的な利用意向を持たない層」も加えると、潜在需要の範囲は消極的潜在需要(消極的利用意向マイナス利用率)へと広がる。消極的潜在需要は、20代の男女と50代女性で大きい。

これらの層に大きな潜在需要が存在していると考えられる。彼ら・彼女らの関心をいかに喚起させ、具体的なニーズに結び付けていくかが、今後の成功の鍵と言えるだろう。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※公益財団法人 食の安全・安心財団資料によると、すし店の市場規模は、2008年に1兆3,673億円だったものが2012年には1兆2,753億円と、わずかに縮小している。本レポートのアンケート調査は2008年に行われたものであるが、現在の利用状況は傾向として若干下がっているとも考えられる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2008年10月28日~11月10日

調査対象:

株式会社ベンチャー・リンク 消費者モニター組織「コンシューマー・アイズ」のモニター会員、全国20代~60代男女(有効回答数:984人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2013年9月