市場調査データ

イタリア料理店

イタリア料理店は、1990年~1991年の「イタメシ」ブームと共に拡大し、いまや日本の食文化になくてはならないカテゴリーに定着したと言える。その理由としては、リーズナブルな価格とお洒落な雰囲気で食事を楽しむことができる店が多い点、日本人が好む麺(パスタ)が料理の中心となっている点、オリーブオイルや有機野菜などを使うイタリア料理が健康志向と合致した点などがあげられる。以下では、イタリア料理店についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、いずれの年代においても男性よりも女性の方が高い(表1、図1)。年代・性別で見て利用率が最も高いのは、20代女性と40代女性の74%であり、続いて30代女性(71%)、50代女性(68%)の順に利用率が高くなっている。また、男女ともに、概ね若い年代ほど利用率が高い、という傾向も見られる。

表1 現在の利用状況

イタリア料理店の、年代・性別ごとの利用状況一覧表

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

利用頻度は、全体的に若い年代で高い(図2)。とくに20代男性のリピートが多く、「月に1回」以上の利用者は利用経験者の47%に達している。逆に60代女性の利用頻度は低く、「月に1回」以上の利用者は19%にとどまっている。

1回1人あたりの利用金額は、30代女性で比較的高い(図3)。1回1人あたりに、30代女性の60%が1,500円以上を使い、4%が5,000円以上を使っている。一方、利用頻度の高い20代男性の利用金額は低く、利用経験者の68%で1回1人あたり1,500円未満となっている。

図2 利用頻度 (「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度 (「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額 (「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額 (「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

今後の利用意向に関しては、20~50代の女性で「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」の比率が高い(表2、図4)。「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい」を合わせた比率(積極的利用意向)は、女性で、20代67%、30代73%、40代72%、50代69%となっている。逆に積極的利用意向が最も低いのは、40代男性(32%)である。

イタリア料理店の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は全体的に高く、60代男性以外は全ての年代・性別で80%以上となっている。

表2 今後の利用意向

イタリア料理店の、年代・性別ごとの今後の利用意向一覧表

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

積極的潜在需要(積極的利用意向マイナス利用率)に関しては、20代男性と40代男性で大きなマイナスになっている(図5)。ただ、30代女性と50代女性では、わずかながら積極的潜在需要がプラスになっており、未だ有望な潜在需要が存在していることがわかる。

積極的潜在需要に「否定的な利用意向を持たない層」も加えると、潜在需要の範囲は消極的潜在需要(消極的利用意向マイナス利用率)へと広がる。消極的潜在需要は、20代男性と40代男性などで大きい。

彼ら・彼女らの関心をいかに喚起させ、具体的なニーズに結び付けていくかが、今後の成功の鍵と言えるだろう。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※公益財団法人 食の安全・安心財団資料によると、日本の飲食店市場規模は、2008年に12兆8,435億円だったものが2012年には12兆4,686億円にまで縮小している。本レポートのアンケート調査は2008年に行われたものであるが、現在の利用状況は傾向として若干下がっているとも考えられる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2008年10月28日~11月10日

調査対象:

株式会社ベンチャー・リンク 消費者モニター組織「コンシューマー・アイズ」のモニター会員、全国20代~60代男女(有効回答数:984人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2013年9月