市場調査データ

書店(2021年版)

2021年12月10日

インターネットによる情報収集及び書籍購入、コンビニエンスストアでの雑誌やコミックの購入など、書店の経営環境は大きく変化している。以下では、書店についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で59%、男性57%、女性61%であり、女性の方が利用率は高い(表1、図1)。20~40代では利用率は男性より女性の方が高く、50代~60代では男性の方が高い。とくに、20代女性(70%)が最も高い利用率である。

表1 現在の利用状況

表1 現在の利用状況

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

利用頻度についても、「半年に1回」以上利用するユーザーは、全体で75%、男性75%、女性76%であり、利用率同様、女性の方が男性よりも利用頻度が高い(図2)。特に、30代女性(84%)は最も高い利用頻度である。

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

1回あたり利用金額は、全体で「500~1,000円未満」がボリュームゾーンと言える(図3)。利用経験者全体のうち、41%が「500~1,000円未満」の範囲内で利用し、36%が「1,000~3,000円未満」の範囲内で利用している。
「500~1,000円未満」の範囲内で利用するユーザーは、40代女性(53%)が最も高く、40代男性(35%)が最も低い。

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

今後「ぜひ利用したい」と「どちらかといえば利用したい(まあ利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で59%、男性56%、女性61%であり、女性の方が利用意向は高い。性別・年代別にみると、20~40代女性の層で特に高くなっている(表2、図4)。
書店の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、すべての性別・年代で80%を超えている。特に50代男性、20~40代・60代女性が9割以上であり、極めて高い水準にある。

表2 今後の利用意向

表2 今後の利用意向

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

積極的潜在需要(積極的利用意向-利用率)は、高い利用率を背景にマイナスが多くみられる(図5)。
書店の利用に否定的な意向を持たない層をも加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、既に高い利用率を背景に、全ての年代・性別ともに小さく、3割前後である。
現在の高い利用率を維持しながら、利用者の利用機会・利用頻度そして客単価をいかに向上させていくかが、今後の成功の鍵だと言える。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※スマートフォンなどの普及で様々な情報がインターネットを介して無料で簡単に入手できるようになった。総務省統計局「家計調査(総世帯調査)」によると、家計1世帯が書籍・他の印刷物にかける年間支出金額平均は、2012年44,339円だったものが2020年には35,711円へと減少している。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元にした一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2021年9月7日~9月8日

調査対象:

国内在住の20代~60代男女(有効回答数:1,000人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2021年9月

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