2026年8月内容改定
医工連携グローバル展開事業は、米国をはじめとする海外展開を見据えた医療機器の開発・事業化を支援する事業です。中小企業やスタートアップが、医療機関、製造販売業者、研究機関などと連携しながら、革新的な医療機器の実用化やグローバル展開を目指す場合に活用できる可能性があります。
本事業は、令和6年度まで実施されていた「医工連携イノベーション推進事業」を引き継ぐ形で、令和7年度から開始されました。国際展開を見据えた医療機器開発・事業化を支援する点が特徴です。
中小企業やスタートアップが直接応募を検討しやすいのは、主に「研究開発事業」です。ただし、応募には、研究開発体制、医療機関等との連携、事業化計画、海外展開の見通し、知的財産や薬事・規制対応など、複数の観点から準備が必要です。本記事では、医工連携グローバル展開事業の概要、各事業の目的や役割、研究開発事業の対象、応募前に確認したいポイントを整理します。
医工連携グローバル展開事業とは?
医工連携グローバル展開事業は、医療機器の開発・事業化を目指す中小企業やスタートアップ等を支援する事業です。特に、米国をはじめとする先進国等への国際展開を見据えた医療機器開発に重点が置かれています。
AMED(※)では、経済産業省が平成22年度に開始した医療機器開発支援の流れを引き継ぎ、令和2年度から令和6年度までは「医工連携イノベーション推進事業」として、中小企業、医療機関、医療機器製造販売業許可を有する企業などによる医療機器の開発・事業化を支援してきました。令和7年度からは、「医工連携グローバル展開事業」として、国際展開を見据えた支援が進められています。
※AMED:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
この事業では、単に研究開発費を補助するだけでなく、医療現場のニーズ、ものづくり技術、薬事・規制、知的財産、事業化、海外展開などを総合的に考えることが重要です。医療機器は、開発段階から臨床現場での有用性、安全性、承認・認証、販売体制、保険適用、海外規制などを見据える必要があるため、早い段階から関係者と連携して進めることが重要です。
事業の主な構成
医工連携グローバル展開事業は、主に次の3つで構成されています。
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事業名 |
主な目的 |
主な対象・役割 |
|---|---|---|
|
研究開発事業 |
国際展開を見据えた医療機器の開発・事業化を支援する |
中小企業、スタートアップ、医療機関、製造販売業者等が連携した研究開発 |
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国際展開伴走支援事業 |
研究開発事業の効果を高め、海外展開に必要な課題対応を支援する |
知財、法務、薬事・規制、許認可、海外展開等に関する伴走支援 |
|
グローバル進出拠点事業 |
地域の医療機器開発支援拠点の機能を強化する |
地域拠点、支援機関、専門人材、国内外のネットワーク構築 |
中小企業やスタートアップが自社の医療機器開発プロジェクトで応募を検討する場合は、まず「研究開発事業」の公募内容を確認することになります。一方、「国際展開伴走支援事業」や「グローバル進出拠点事業」は、研究開発を支える支援体制や拠点機能を整える役割を持つ事業です。
研究開発事業
研究開発事業は、医療機器の実用化や海外展開を目指す研究開発課題を支援する事業です。中小企業やスタートアップが、医療機関、製造販売業者、研究機関などと連携し、医療現場のニーズを踏まえた医療機器を開発する場合に活用できる可能性があります。
対象となる開発フェーズは公募回によって異なりますが、一般に、実用化に向けた研究開発計画、検証計画、事業化計画が具体化している案件が想定されます。応募を検討する場合は、最新の公募要領で対象フェーズを確認してください。
研究開発事業では、次のような観点が重要になります。
-
医療現場のニーズや課題が明確であること
-
既存製品や競合技術との差別化が説明できること
-
開発する医療機器の有用性、安全性、実現可能性を示せること
-
医療機関、製造販売業者、研究機関などとの連携体制があること
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薬事承認・認証、知的財産、事業化、海外展開を見据えた計画があること
-
事業終了後も実用化に向けて継続的に取り組む体制があること
補助対象となる研究開発費、補助率、上限額、対象経費、事業期間、採択予定数などは、公募年度や公募要領によって異なります。応募を検討する場合は、必ず最新の公募要領を確認してください。
国際展開伴走支援事業
国際展開伴走支援事業は、海外展開に必要となる専門的な課題への対応を支援する事業です。
医療機器を海外で展開する場合、進出先の規制・許認可、臨床評価、知的財産、契約、販売パートナー、償還制度などを確認する必要があります。国際展開伴走支援事業では、こうした課題に対し、専門家による伴走支援や、国内スタートアップと大手企業等との連携促進などが行われます。
この事業は、個別の中小企業が研究開発費の支援を受けるために直接応募する枠というより、研究開発事業を支える伴走支援の仕組みとして理解するとよいでしょう。
グローバル進出拠点事業
グローバル進出拠点事業は、地域の医療機器開発支援拠点の機能を強化し、国内外の医療ニーズに応える医療機器開発を促進するための事業です。
令和8年度の公募では、医療機器開発に関する専門的知識を持つ事業化人材等の配置・育成、他地域の支援拠点や経済産業局等との連携、海外の医療機器開発支援拠点等との連携を通じて、シーズとニーズのマッチングや事業化を促進できる共同体の構築が示されています。
この事業は、地域の支援拠点や支援機関が、医療機器開発を行う中小企業やスタートアップを支える体制を整えるものです。地域のものづくり企業やスタートアップが医療機器分野に参入する場合、こうした拠点や支援機関を通じて、医療現場との接点、専門家、事業化人材、海外展開に関する情報につながることが期待されます。
研究開発事業に応募できる主な対象者
研究開発事業に応募するには、公募要領で定められた要件を満たす必要があります。応募資格や研究開発体制は年度によって確認が必要ですが、医療機器開発では、一般的に次のような関係者の連携が重要になります。
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関係者 |
主な役割 |
|---|---|
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中小企業・スタートアップ |
医療機器の企画、設計、開発、事業化の中心となる |
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医療機関・医師等 |
医療現場のニーズ、臨床的有用性、評価方法などを助言する |
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製造販売業者 |
薬事対応、製造販売体制、品質管理、市販後対応などを担う |
|
大学・研究機関 |
技術シーズ、評価、基礎データ、研究開発体制を支える |
|
事業化支援機関・専門家 |
知財、法務、事業計画、海外展開、資金調達等を支援する |
医療機器開発では、技術だけでなく、薬事、品質、臨床評価、販売、保険適用、知的財産などの準備が必要になります。自社だけで不足する機能がある場合は、医療機関、製造販売業者、専門家、地域支援拠点などとの連携を早めに検討することが重要です。
応募前に確認したいチェックリスト
研究開発事業への応募を検討する場合は、次の点を確認しておくとよいでしょう。
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確認項目 |
確認する内容 |
|---|---|
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開発段階 |
非臨床または臨床(治験)など、対象となる開発フェーズに該当するか(臨床研究は対象外) |
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医療ニーズ |
医療現場の課題、対象疾患、患者・医療者への価値を説明できるか |
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技術の優位性 |
既存製品や競合技術との差別化を示せるか |
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連携体制 |
医療機関、製造販売業者、研究機関、専門家等との体制があるか |
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薬事・規制 |
国内外の承認・認証、臨床評価、品質管理の見通しがあるか |
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知的財産 |
特許、商標、ノウハウ、共同研究契約などの整理ができているか |
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事業化計画 |
市場規模、販売先、収益モデル、製造販売体制を検討しているか |
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海外展開 |
進出を目指す国・地域、規制、競合、販路、パートナーを検討しているか |
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資金計画 |
補助事業期間中・終了後の開発費、自己負担、資金調達を見込んでいるか |
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事後対応 |
採択後の報告、フォローアップ調査、事業終了後の継続開発に対応できるか |
研究開発事業は、応募すれば必ず採択されるものではありません。公募要領で定められた要件を確認し、必要な体制や資料を整えたうえで、期限に余裕を持って準備することが重要です。
応募までの一般的な流れ
医工連携グローバル展開事業の研究開発事業に応募する場合、一般的には次のような流れで準備します。
1.開発テーマを整理する
医療現場の課題、開発する医療機器の概要、対象患者、既存製品との差別化、想定する使用場面を整理します。
2.開発フェーズを確認する
非臨床または臨床(治験)など、現在の開発段階を確認し、公募対象に該当するかを判断します。なお、臨床研究は対象外です。
3.連携体制を整える
医療機関、製造販売業者、研究機関、専門家など、研究開発や事業化に必要な体制を整えます。
4.薬事・知財・事業化の見通しを整理する
薬事承認・認証、臨床評価、知的財産、製造販売体制、販売計画、海外展開計画などを検討します。医療機器の開発段階で薬事上の相談が必要となる場合は、PMDAの相談業務に関する情報も確認しておくとよいでしょう。
5.最新の公募要領を確認する
対象事業、応募資格、補助対象経費、補助率、事業期間、提出書類、審査基準、締め切りを確認します。公募の有無や最新の公募要領は、AMEDの公募一覧で確認できます。
6.e-Rad等の手続きを確認する
AMEDの公募では、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)を利用する場合があります。研究機関や研究者の登録に時間がかかる場合があるため、早めに確認しておきましょう。
7.研究開発提案書を作成する
研究開発の目的、内容、実施体制、スケジュール、経費、事業化計画、海外展開の見通しなどを具体的に記載します。
8.提出後の審査・ヒアリングに対応する
書面審査やヒアリングが行われる場合があります。採択された場合も、交付決定や契約等の手続きが必要です。
関連する相談先・情報源
医工連携グローバル展開事業を検討する場合は、まずAMEDの公式情報と最新の公募要領を確認してください。医療機器開発に関する情報収集や相談先を探す場合は、MEDIC(医療機器開発支援ポータル)やINPIT知財総合支援窓口も参考になります。
まとめ
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医工連携グローバル展開事業は、令和7年度から開始された、海外展開を見据えた医療機器開発・事業化を支援する事業である
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令和6年度までの「医工連携イノベーション推進事業」を引き継ぎ、米国をはじめとする先進国等への国際展開を重視している
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主な事業には、研究開発事業、国際展開伴走支援事業、グローバル進出拠点事業がある
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中小企業やスタートアップが個別の開発テーマで応募を検討しやすいのは、主に研究開発事業である
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応募には、医療ニーズ、技術の優位性、連携体制、薬事・規制、知的財産、事業化計画、海外展開の見通しなどを整理する必要がある
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公募内容、補助対象経費、補助率、上限額、事業期間、提出書類は年度ごとに変わるため、最新の公募要領を確認することが重要である









