2022年1月内容改訂

政府が2013年に発表した「日本再興戦略」に掲げたように、海外展開を行う中小企業・小規模事業者の数は増加傾向にあります。国内市場が成熟していく中、海外の需要を取り込み、地域経済の発展につなげる大きなチャンスが到来しています。

中小企業庁は下表のように、「人口減少局面にある日本の国内市場だけではなく、伸びる可能性がある海外市場へ進出する重要性」と「海外展開を行う企業は生産性が高い」ことを紹介して、海外進出の重要性をうたっています。

中小企業庁の「JAPANブランド育成支援等事業」より

出典:中小企業庁 

新しく海外販路を広げる際に活用できる支援施策が、「JAPANブランド育成支援等事業」です。本事業は、複数の中小企業者が協働する、海外展開に向けた戦略策定、ブランド確立等を行うプロジェクトを支援しています。どのような業種でも申請可能です。国内最大規模のタオルの産地において、今治商工会議所が主体となり、2006年度から2009年度までJAPANブランド育成支援事業として実施された「今治タオルプロジェクト」が有名です。

JAPANブランド育成支援等事業の概要

この事業は、魅力をさらに高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取組みに要する新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を中小企業者が行う場合の経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外販路の拡大を図るとともに、地域経済の活性化および地域中小企業の振興に寄与することを目的としています。単年度ごとに応募する必要がありますが、令和3年度の実績では、最大3年まで申請をすることができます。

事業スキーム図

※最長3年ですが、単年度ごとに応募をする必要があります。

令和3年度からの変更点として、海外展開に関心がある事業者が本事業に応募する場合、海外展開事業を長期的に持続発展させるために、経済産業省が選定した海外展開に実績がある支援機関・支援事業者を「支援パートナー」として活用することが必須となっています。本事業に向けた申請書を提出する場合も、「支援パートナー」と事前の事業計画の相談が必須となっています。
海外展開に向けて活用したい民間支援者等を自社で見つけている場合は、活用したい民間支援者が「支援パートナー」に選定されているかを確認の上、選定されていない場合は、支援者に「支援パートナー公募」を行っていただく必要があります。
海外展開に向けて活用したい民間支援者等を自社で見つけることができていない場合は、選定されたパートナー一覧から任意のパートナーを活用します。「支援パートナー」紹介サイト(https://japan-brand.net/)からパートナーの情報を確認していただくことも可能です。

JAPANブランド育成支援等事業の令和3年度の変更点

出典:令和3年度公募要領 

補助対象者

令和3年度実績では、補助対象者は海外展開を目指す中小企業などとなっており、以下の1~18のいずれかに該当する者です。年次ごとに、より詳細に対象者が規定されるようになっているため、中小企業者以外で申請を検討する場合は、申請前に該当年度の公募要領をご確認ください。

  1. 中小企業基本法第2条に規定する中小企業者又はその連携体
  2. 商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  3. 都道府県中小企業団体中央会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  4. 企業組合、協業組合であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  5. 事業協同組合、事業協同小組合及び協同組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  6. 商工組合及び商工組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  7. 農業協同組合、農業協同組合連合会及び農事組合法人であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  8. 漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  9. 森林組合及び森林組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  10. 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  11. 消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であるもの
  12. 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合及び生活衛生同業組合連合会であって、その直接又は間接の構成員の3分の2以上が5千万円(卸売業を主たる事業とする事業者については、1億円)以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時50人(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、100人)以下の従業員を使用する者であるもの
  13. 酒造組合、酒造組合連合会及び酒造組合中央会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が3億円以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時300人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合、酒販組合連合会及び酒販組合中央会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が5千万円(酒類卸売業者については、1億円)以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時50人(酒類卸売業者については、100人)以下の従業員を使用する者であるもの
  14. 技術研究組合であって、その直接又は間接の構成員の3分の2以上が法第2条第1項第1号から第7号までに規定する中小企業者であるもの
  15. 5、6以外の法律に規定する組合又は組合連合会であって、地域中小企業の振興を図る事業の実施主体として適当と認められるもの
  16. 一般社団法人であって、その社員総会における議決権の2分の1以上を中小企業者が有しているもの、又は一般財団法人であって、設立に際して拠出された財産の価額の2分の1以上が中小企業者により拠出されているものであり、それぞれ地域中小企業の振興を図る事業の実施主体として適当と認められるもの
  17. 特定非営利活動法人であって、その社員総会における表決権の2分の1以上を中小企業者が有しているものであり、本事業の実施主体として適当と認められるもの
  18. 中小企業者以外の会社による出資の額の合計額が資本の額又は出資の総額の3分の1未満であり(独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資を行う場合にあっては、独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資後において中小企業者以外の会社による出資の額の合計額が資本の額又は出資の総額の3分の1未満となることが確実と認められるものを含む。)、かつ、国、国に準ずる機関又は都道府県等が資本の額又は出資の総額の3分の1以上を出資又は拠出を行っている第三セクター

(※1)次のいずれかに該当する者(以下「みなし大企業」という。)は本補助金の補助対象者からは除きます。
発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業(※2)が所有している中小企業者
発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
(※2)「大企業」とは、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者であって、事業を営む者をいいます。ただし、以下に該当する者については、大企業として取り扱わないものとします。
中小企業投資育成株式会社法(昭和38年法律第101号)に規定する中小企業投資育成株式会社
投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成10年法律第90号)に規定する投資事業有限責任組合
(※3)直近3年間の平均課税所得が15億円を超えている中小企業者は補助対象者として取り扱わないものとします。
(※4)複数の中小企業者が連携して応募する場合には、連携体の代表者(代表補助事業者)(みなし大企業及び大企業を除く。)を決めていただき、連名にて応募してください。連携体が応募する場合には、代表者が行う事業に限らず、参画補助事業者(みなし大企業及び大企業を除く。)が行う事業についても補助対象とすることができます。ただし、補助金を受ける者は代表者であるため、参画補助事業者は代表者に対して、必要な証拠書類を提出する必要があります。
※代表補助事業者とは、複数の中小企業者が連携して応募する場合に、その連携体の代表として、経済産業局との事務手続きなどを全て行う中小企業者を指します(1社による単独応募の場合も、便宜上、代表補助事業者とします。)。
※参画補助事業者とは、複数の中小企業者が連携して応募する場合において、補助金申請の代表補助事業者と共同で事業を実施する中小企業者を指します。
※補助事業者とは、代表補助事業者、参画補助事業者を指します。

補助率・補助金額等

補助率・補助金額は下記のとおりです。最大3年間申請ができますが、連続して申請をする場合、1、2年目は2/3以内、3年目は1/2以内と補助率が異なるため、注意が必要です。

補助率・補助金額

出典:経済産業省 令和4年度概算要求 

公募期間(令和3年度実績)

令和3年4月15日(木)~令和3年7月15日(木)

補助事業期間(令和3年度実績)

交付決定日から令和4年3月末日まで

手続きの方法

どのような書類を準備し、どこに提出すればよいのかを事前に確認しておく必要があります。なお、提出書類や提出先を含め、情報は必ず公募要領を確認するようにしてください。

(1)応募申請

応募申請は、インターネットを利用した「電子申請(Jグランツ)」のみとなります。

そのため、GビズIDプライムアカウント取得が必須となります。(GビズIDのHPにある「gBizIDプライム作成」からアカウント発行申請ができます。)

(2)補助事業の流れ

令和3年度の公募要領で公表されている補助事業の流れは、以下のとおりです。支援パートナーと相談の上、応募書類の提出が必要となります。

書類提出後の流れ
(※)支援パートナーとも相談の上、応募書類を提出する。

申請書作成にあたっての審査項目の確認

申請書作成は、審査項目を踏まえて行います。審査項目は基礎審査と加点審査項目に分かれています。申請書を作成する際は、基礎審査項目は当然として、加点審査項目でどのような点を審査するのかを理解しておくことが必須です。令和3年度の公募要領では、以下のとおり公表されています。ご自身が申請する年度の公募要領の審査項目を事前に確認しておきましょう。

基礎審査

  1. 上記記載の補助対象者の要件を満たしているか
  2. 複数の中小企業者が主体的に参画した取組みかどうか
  3. 地域中小企業の商品や技術等をベースとしているかどうか
  4. 申請者が、補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
  5. 補助金額の下限額(200万円)に達していること
  6. 支援パートナーを活用していること

評価項目

(1)事業の妥当性、実現性

  1. 現状分析
  2. 実施体制
  3. 実現可能性・目標
  4. 実効性を高める仕組み

(2)事業の妥当性、実現性

  1. 計画・ビジョン
  2. 費用対効果

(3)独創性

  1. 先進性
  2. モデル性

(4)波及効果

  1. 地域経済、業界への影響

(5)その他、国の施策に合致し政策的意義のある事業か

加点要素

次の項目に該当する取組みについては、審査時に一律、一定の点数を加点します。

  1. ふるさと名物応援宣言・地域未来牽引企業(地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。)・地域団体商標・J-Startup選定企業(地域事務局選定を含む)のいずれかに該当する事業内容または代表補助事業者および参画補助事業者であるか
  2. 原子力被災地域企業の応援のため、代表補助事業者の主たる事業所が福島県である

まとめ

  1. 複数の中小企業者が地域の中小企業の商品・技術を活用して、海外への新規販路開拓を行う場合、「JAPANブランド育成支援等事業」は有効である
  2. 補助対象事業は、経済産業省が選定した海外展開に実績がある支援機関・支援事業者を「支援パートナー」に相談の上、進めていく必要がある
  3. 申請書を作成する際は、審査項目を理解し、その項目に沿った内容とすることが重要である