経営強化・起業

省エネ関連設備等の導入に対する支援

2020年 3月 2日

事業活動を行ううえで、電力等のエネルギーの使用は欠かせません。これは、どのような事業であっても必ずかかるコストです。エネルギーの消費を抑えることができれば、継続的なコスト削減が可能になります。ここでは、省エネに活用できる支援について説明します。
(本記事は、平成31年度募集時の情報に基づいていますので、今後新たに募集される情報については、必ず公募要領等をご確認ください)

省エネに関する取組の必要性

資源に乏しい日本にとって、エネルギー問題は深刻です。日本のエネルギー自給率は非常に低く、近年は10%を下回る状況が続いています。したがって、エネルギーを安定供給する仕組みとともに、エネルギーを効率的に活用する取組が必要です。

一方、企業の側からみると、エネルギーはコストです。エネルギー消費の大きい製造業では、費用の数%を占めます。電気料金の値上げ等により、このコストは着実に企業の経営に影響を与えているでしょう。また、事業リスクの観点からも、エネルギー消費の大きい設備に依存することは問題です。電力の使用が制限されると、設備を動かせないということも起こりうるのです。

省エネの必要性は誰もが当たり前に認識していることですが、中小企業では省エネのための投資が難しいこともあります。そこで、さまざまな施策により省エネの取組を支援しています。

省エネ関連設備等の導入に対する支援

ここでは、令和2年度に実施が予定されている以下の施策をご紹介します。

  1. 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
  2. 生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金
  3. 中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金
  4. 省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金
  5. 環境・エネルギー対策資金
  6. 省エネ再エネ高度化投資促進税制

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

工場・事業場、住宅、ビルにおける省エネ関連投資を促進することで、エネルギー消費効率の改善を促し、徹底した省エネを推進する施策です。以下の4つの支援メニューがありますが、ここでは平成31年度の公募内容をもとに1.をみてみます。

  1. 工場等における電化等のための省エネルギー設備への入替支援
  2. ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH:ゼッチ)の実証支援
  3. ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB:ゼブ)の実証支援
  4. 次世代省エネ建材の実証支援

工場等における電化等のための省エネルギー設備への入替支援

工場・事業場単位と設備単位の2つの形態があります。工場・事業場単位のものは大企業も対象となり、補助金限度額も年度あたり15~30億円と大きくなっています。一方、設備単位のものは、中小企業を対象に既設設備を省エネ性の高い設備に更新する事業を補助するものです。補助金限度額も3,000万円(補助率1/3)と比較的大きく、利用しやすい施策です。

設備単位の省エネルギー・省電力設備導入事業についてもう少し詳しくみていきます。なお、以下の記載は平成31年度に実施されたものの概要です。公募内容の詳細は、一般社団法人環境共創イニシアチブのウェブサイトをご参照ください。令和2年度も平成31年度と大きくは変わらないと思われます。

<対象設備>

設備単位の事業では、対象設備を一定のものに限定しています。まずは、入れ替えを検討している設備がこれらに該当するか確認が必要です。対象設備は以下の8種類です。それぞれの設備にどのようなものが含まれるかは、公募要領に詳細に定められています。

  • 高効率空調
  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 高効率コージェネレーション
  • 低炭素工業炉
  • 冷凍冷蔵設備
  • 産業用モータ

<省エネルギー性能、計画省エネルギー量、計画省エネルギー率>

本事業で最も重要なのは、どれくらいの省エネ効果を得られるかです。まず、補助対象設備(更新後の設備)は一定の省エネルギー性能を有するものでなければなりません。現在の設備(更新前の設備)の省エネルギー性能が非常に低ければ、更新後の設備として省エネルギー性能がそれほど高くないものを選んでも省エネ効果が得られてしまいます。このようなことの起こらないよう、現時点でできる限り省エネルギー性能が高い設備を選ばせる仕組みになっています。設備ごとの求められる省エネルギー性能は、「補助対象設備区分と設備区分毎に定める基準表」に詳しく定められています。

更新後の設備が決まったら、計画省エネルギー量と計画省エネルギー率を計算します。計画省エネルギー量(kl/年)は、対象とする設備の更新前後における毎月のエネルギー使用量の差分の年間合計量に裕度(安全率)を乗じたものです。なお、エネルギー使用量は、一定の原油換算係数表を用いて熱量換算した上で原油換算します。計画省エネルギー率(%)は、計画省エネルギー量を既存設備の更新前の年間のエネルギー使用量で除したものです。総量と比率の両面から省エネ効率が評価されます。

<全体スケジュール>

公募期間、事業期間ともに短いため、注意が必要です。平成31年度は5月20日~6月28日の約1ヵ月間に公募がなされました。また、事業期間(この間に更新後の設備の発注から納品、支払をする)は8月30日~翌1月31日までの5ヵ月間でした。本事業の活用を検討する場合は、早めに準備をしておくとよいでしょう。

生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金

中小企業等の工場・事業場等における生産性および省エネ性能の高い生産設備投資を支援することで、エネルギーコストの低減および生産性の向上を促進し、競争力の強化につなげることを目的とした施策です。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金では、対象設備に生産設備は含まれていませんでしたが、本補助金ではレーザー加工機や射出成形機など、生産性および省エネ性能の高い特定の生産設備が対象となります。補助金限度額は現時点で不明ですが、補助率は1/3となっています。

なお、新たに設けられた施策であり、現時点では内容の詳細は不明です。令和元年度補正予算で実施されることから、令和2年の早い段階で公募が開始されると予想されます。

中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金

省エネルギー診断や省エネ相談地域プラットフォームの構築など、中小企業等の省エネを推進するための支援を行うものです。省エネ診断事業・情報提供事業と地域の省エネ取組支援事業の2事業があります。いずれも事業者を支援する団体等を補助するものであり、事業者が直接補助金を受けるものではありません。事業者は団体等を通じて診断等の支援を受けます。

<省エネ診断事業・情報提供事業>

中小企業等に対して省エネ診断を無料で実施し、診断で得られた事例を、さまざまな媒体を通じて横展開するとともに、自治体や民間団体等が実施する省エネ関連のセミナーに講師を無料で派遣するものです。平成31年度は一般財団法人省エネルギーセンターが実施団体となりました。

<地域の省エネ取組支援事業>

省エネやCO2削減に係る相談に対応できる支援拠点を全国に構築する(省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業)とともに、地域の省エネ相談に係る窓口や支援施策などをポータルサイトに公開し(地域の省エネ推進情報提供事業)、地域における省エネ支援の充実化を図るものです。平成31年度は一般社団法人環境共創イニシアチブが執行団体となり、省エネルギー相談地域プラットフォームとして51事業者が選定されました。

また、全国省エネ推進ネットワークのウェブサイトでは、省エネルギー相談地域プラットフォームや自治体、金融機関等の省エネ支援を行う窓口が公開されています。

省エネ診断事業・情報提供事業を通して自社の省エネの状況を把握し、省エネの取組が必要であれば、省エネルギー相談地域プラットフォームを通して省エネ計画の策定・実施・見直し等の支援を受けるといった活用が考えられます。

省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金

新設事業所における省エネ設備の新設や、既設事業所における省エネ設備の新設・増設に加え、物流拠点の集約化に係る設備導入、さらにはエネルギーマネジメントシステム導入等によるソフト面での省エネ取組に際し、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対して利子補給を行うものです。民間団体等が執行機関となり、事業者と指定金融機関が共同で提出した融資計画書に基づいて補助対象事業者を選定します。平成31年度は一般社団法人環境共創イニシアチブが執行団体となり、指定金融機関として81金融機関が指定されました。融資計画書の受付期間が決まっており、一定の期間内の申請が必要です。平成31年度は4回の公募があり、締切後1~2週間程度で次の公募が始まっています。

<利子補給の内容>

ここで、利子補給の内容についてごく簡単にみておきます。詳細は公募開始後に公募要領をご参照ください。令和2年度も要件は大きく変わらないと思われます。

本補助金の対象となる融資は以下のとおりです。

  • エネルギー消費効率が高い省エネルギー設備を新設・増設する事業
  • 省エネルギー設備を新設・増設し、エネルギー消費原単位が1%以上改善される事業
  • データセンターのクラウドサービス活用やEMSの導入等による省エネルギー取組に関する事業

これらの融資について補助対象事業者となると、指定金融機関に対して利子補給金が支払われます。したがって、事業者は利子補給金の分だけ低い利率で融資を受けることができます。利子補給金の補給率は最大1%で、最大10年間の利子補給を受けることができます。

環境・エネルギー対策資金(省エネルギー関連)

法定耐用年数を超過した既存設備を更新・増強するために省エネ設備等を導入する場合に利用できる融資制度です。制度の詳細は、日本政策金融公庫のウェブサイトをご参照ください。ここでは、制度の内容を簡単に紹介しておきます。

貸付対象

法定耐用年数を超過した既存設備を更新・増強するための同種の新たな設備を取得し、省エネルギーの推進を図る方

資金使途

省エネルギーに資することが見込まれる新たな設備を取得するために必要な設備資金

貸付期間

20年以内(うち据置期間2年以内)

貸付限度

7,200万円

貸付利率

特別利率B

省エネ再エネ高度化投資促進税制(省エネルギー関係)

省エネ法の規制対象事業者等を対象に、大規模な投資および複数事業者が連携して実施する高度な省エネ投資を行う際に、特別償却20%または税額控除7%(中小企業者のみ)を措置するものです。平成30年度税制改正で新設された制度で、令和2年度税制改正で適用期限が令和3年度末まで延長されています。

エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)に基づき提出した定期報告書において、「事業者クラス分け評価制度」の直近2年の評価がいずれもS評価という要件があるため、すべての事業者が対象になるわけではありません。制度の詳細と適用手続きは、資源エネルギー庁のウェブサイトをご参照ください。なお、ウェブサイト内では特別償却は30%となっていますが、令和2年度税制改正の資料では20%とされています。

まとめ

  1. 省エネはコスト削減や事業リスク軽減の観点から取組が必要であり、さまざまな支援メニューが用意されている。
  2. 一定の設備の更新では、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金を活用することで設備投資にかかる負担を軽減できる。
  3. 新たに生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金が創設され、レーザー加工機や射出成形機、マシニングセンタなどの生産設備の更新に利用できる。
  4. 設備投資のために融資を受ける場合は、省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金や環境・エネルギー対策資金(省エネルギー関連)の利用を検討できる。
  5. その他税制や診断・情報提供などの支援も行われている。