経営強化・起業

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

2020年1月内容改訂

企業間の競争がますます激しくなる一方で、人手不足は深刻です。これからの企業経営では、付加価値と生産性の向上を同時に達成していかなければなりません。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者が取り組む、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金です。なお、類似の補助金に「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」があります。こちらは複数の中小企業・小規模事業者等が連携して取り組むもので、一者だけでは利用できませんのでご注意ください。

補助金事業の全体像

補助金による事業には独特な面がありますので、まずは全体像を把握しておく必要があります。補助金を利用する事業の全体的なスケジュールは、次のようになります。

補助金を利用する事業の全体的なスケジュール

応募をする前に知っておかなければならないことが3つあります。

(1)応募申請・審査・採択決定

ものづくり補助金は、所定の期間内に必要書類を揃えて応募申請をしなければなりません。平成30年度補正のものづくり補助金は、1次公募(第1次締切、第2次締切)、2次公募と3回の締切が設けられていました。以下では主に1次公募の内容を確認します。また、応募申請をすれば必ず補助金を受けられるものではなく、審査に合格しなければなりません。

(2)補助事業期間

ものづくり補助金は設備投資等を支援するもので、実施できる期間が決まっています。これを補助事業期間といい、平成30年度補正のものづくり補助金(1次公募)では、交付決定日から12月27日(金)(小規模型は11月29日(金))までとなります。この間に発注、納入、検収、支払や試作開発を行わなければなりません。もし、期間内に納入が間に合わないとなると、補助金を受けることができなくなります。

(3)精算払い

上図でも支払の後に補助金支払いとなっているとおり、補助金は後払いです。したがって、設備投資等の費用を全額準備しておく必要があります。あらかじめ資金繰りの計画を作っておくことも必要になります。

補助対象事業と補助率

ものづくり補助金には、事業内容によって、「革新的サービス」と「ものづくり技術」の大きく2つの対象類型があります。この2つは、申請書を記載する上で留意すべき点が異なります。いずれの対象類型も補助対象事業と補助率は同じですので、ここでは区別せずに記載します。

補助対象事業と補助率の表
「革新的サービス」、「ものづくり」それぞれ表のような事業類型に整理される

上表の※のとおり、原則の補助率は1/2以内ですが、一定の要件を満たした場合には2/3以内に引き上げられます。

一般型の補助率を引き上げる要件

一般型の補助率を2/3に引き上げるためには、次のいずれかの認定・承認が必要です。

(1)先端設備等導入計画の認定

生産性向上特別措置法に基づき、固定資産税の特例率をゼロとする措置をした市区町村において、補助事業を実施する事業者が先端設備等導入計画の認定を得た場合です。

(2)経営革新計画の承認

3~5年で、付加価値額年率3%および経常利益年率1%に加え、従業員一人当たりの付加価値額(=労働生産性)年率3%を向上する中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画の承認を受けた場合です。

いずれも平成30年12月21日の閣議決定後に新たに申請(変更申請を含む)した場合のみ対象となります。また、申請から認定・承認にはある程度の期間を必要とするため、応募申請時では「申請中」として、認定書や承認通知書の写しは交付申請時に提出することもできます。ここで注意しなければならないのは、認定・承認が得られないと交付決定がなされないことです。交付決定がなされないと、補助事業を実施することはできませんので、速やかに認定・承認を得られるよう申請書を作成することが重要になってきます。

提出書類と提出先の確認

応募申請には、多くの書類を準備して提出しなければなりません。どのような書類を準備し、どこに提出すればよいのかを確認しておきましょう。

なお、提出書類や提出先を含め、公募の情報は必ず公募要領を確認するようにしてください。公募要領は各都道府県の地域事務局(中小企業団体中央会)のホームページで公開されています。

(1)提出書類

応募は郵送または電子申請で行います。平成30年度補正の2次公募では電子申請のみの受付となりました。次回以降も電子申請のみの受付となる可能性はありますが、ここでは郵送を念頭に記載します。申請では、正本1部、副本5部の合計6部の書類を提出します。これらはすべて、1部ずつ紙製のフラットファイルに綴じます。綴じるべき書類は公募要領をご確認ください。なお、応募申請書類のうち一部のものは、電子データもCD-Rに収録して提出します

(2)提出先

提出先は各都道府県の地域事務局(中小企業団体中央会)です。補助事業の主たる実施場所に所在する地域事務局に提出します。
たとえば本社が東京で、工場が京都にある場合に補助事業を京都で行うのであれば、京都府の地域事務局に提出します。

申請書作成の前に必要なこと

最後に審査項目を確認しておきます。審査項目には技術面、事業化面、政策面と加点項目がありますが、申請書を作成する際は、技術面と事業化面でどのような点を審査するのかを理解しておくことが必須です。

(1)技術面の審査項目

ア. 新製品・新技術・新サービスの革新的な開発となっているか
a)「革新的サービス」においては、中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドラインで示された方法で行うサービスの創出であるか。また3~5年計画で「付加価値額」年率3%および「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか。
b)「ものづくり技術」においては、特定ものづくり技術分野の高度化に資する取組みであるか。また3~5年計画で「付加価値額」年率3%および「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか。

イ. サービス・試作品等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか

ウ. 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか

エ. 補助事業実施のための体制および技術的能力が備わっているか

(2)事業化面の審査項目

ア. 事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。

イ. 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケットおよび市場規模が明確か

ウ. 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法およびスケジュールが妥当か

エ. 補助事業として費用対効果(補助金の投入金額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか(「革新的サービス」、「ものづくり技術」のいずれにおいても、3~5年計画で「付加価値額」年率3%および「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか)

まとめ

  1. 設備投資等の計画がある場合には、ものづくり補助金の利用が有効である
  2. 補助対象事業には、一般型と小規模型の2類型があり、それぞれ補助上限額や補助率が異なる
  3. 補助率を引き上げるためには、先端設備等導入計画の認定または経営革新計画の承認が必要となる
  4. 申請書を作成する際は、審査項目を理解し、その項目に沿った内容とすることが重要である