2026年2月更新
労働力人口の減少が進む中、日本経済の持続的な成長のためには、女性や若者、高齢者等を含む多様な事業者による活発な起業が求められています。近年では、趣味や子育ての経験を生かして新たなサービスを展開する女性や、IT等の先端スキルを持つ若者、あるいは長年の経験や特技を生かしてビジネスを行おうとするシニアの起業が注目されています。
こうした起業意欲のある女性や若者、シニアを支援することで、新規事業や雇用の創出を図ることを目的に創設された融資制度が、「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」です。
女性、若者、シニアは開業資金の調達が困難
実績のない創業初期の事業者が、民間の金融機関から融資を得るのは簡単ではありません。特に女性や若者、シニア起業家は、資金調達において困難に直面する場合が少なくありません。新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は、そうした人々に向けて、政府系の金融機関である日本政策金融公庫が実施している融資制度です。
なお、新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)には、国民生活事業と中小企業事業の2つの枠があります。国民生活事業は、主に個人事業主や小規模事業者を対象とした制度であるのに対し、中小企業事業は、一定規模以上の中小企業者を対象に、より大きな資金ニーズに対応する融資制度です。本記事では、このうち前者の国民生活事業について解説します。
女性、若者/シニア起業家支援の概要(国民生活事業)
この制度は、女性、若者(35歳未満)、高齢者(55歳以上)で、新たに事業を開始する者、もしくは新規開業からおおむね7年以内の者を対象とした融資制度です。年齢制限を設けている点は、この融資制度の特徴のひとつです。
貸付は、日本政策金融公庫または沖縄振興開発金融公庫が行います。融資限度額や対象となる資金、貸付期間、貸付利率は下表のとおりです。
なお、基準利率は金利情勢によって変動しますので、最新の情報は日本政策金融公庫のホームページで確認してください。参考までに、令和8年2月2日現在の基準利率(無担保融資の場合)は、おおむね3.20%~4.90%となっています(基準利率は資金使途や返済期間により異なります)。
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対象者 |
新たに事業を始める者または事業開始後おおむね7年以内の者(※1)のうち、女性または35歳未満か55歳以上の者 |
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融資限度額 |
7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
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対象資金 |
設備資金および運転資金(※2) |
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貸付期間 |
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) |
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貸付利率 |
(1)女性、35歳未満または55歳以上の者:特別利率A |
(※1)新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる者に限る。創業計画書の提出などが必要となる。
(※2)「廃業歴等があり、創業に再チャレンジする者」は、前事業に係る債務を返済するために必要な資金も使用でき、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)まで利用可能。
(※3)次のいずれかの事業を行う者が対象となる。
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他企業において利用されていない知的財産権に係る技術を利用して行う事業
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SBIR制度における指定補助金等または特定新技術補助金等の交付決定を受けて、開発した技術を利用して行う事業
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新規中小企業者(エンジェル税制の一定の要件を満たす者)が行う事業
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国の技術ニーズに関するフィージビリティスタディ調査等を踏まえて研究開発に取り組む事業
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J-StartupプログラムまたはJ-Startup地域版プログラムに選定された者のうち一定の要件を満たす者が取り組む研究開発やその事業化に関する事業
融資を受けるための要件
融資を受けられるかどうかについては、年齢・性別の要件に加え、事業計画や資金使途、返済可能性などについて総合的な審査が行われます。しかしながら、「取引実績がない」「貸し倒れのリスクが大きい」等の理由で、民間の金融機関からは貸してもらえないケースのある中小企業者、小規模事業者でも比較的利用しやすい融資ですので、ぜひ検討してみてください。
日本政策金融公庫から融資を受けるメリット
<メリット(1)>
日本政策金融公庫の融資の最大のメリットは、過去の実績がなくても融資を受けられることです。民間の金融機関では、貸付リスクの大きい相手にはなかなか融資が下りませんが、日本政策金融公庫は国の政策に基づき新規事業を積極的に支援しているため、起業時や独立開業時にも利用しやすい制度となっています。
<メリット(2)>
民間の金融機関では、企業の格付けにより金利が決まり、業績が悪いほど高金利となります。日本政策金融公庫では、融資制度ごとに金利体系が定められており、原則として固定金利で借入が可能です。民間の金融機関よりも低金利で融資を受けられる点もメリットとして挙げられます。
<メリット(3)>
上述のとおり、融資制度ごとに金利体系が定められているため、安心して中長期の事業計画を策定することができます。
<メリット(4)>
民間の場合、短くて半年、長くても7年で返済するのが一般的ですが、日本政策金融公庫の場合は最長で20年と、長期の借入が可能となっています。
手続きの方法
全国にある日本政策金融公庫の支店窓口で、申請に必要な書類一式をそろえます。提出する書類は以下のとおりです。
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借入申込書
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創業計画書
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前年度の収入がわかる書類(源泉徴収票や確定申告書の写し等)
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身分を証明するもの(運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード等、公的機関が発行する身分証明書)
状況に応じて、その他に必要となる書類が異なってきますので、詳しくは支店窓口や日本政策金融公庫相談ダイヤルナビ等にお問い合わせください。
まとめ
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女性や35歳未満55歳以上の者が新規開業する際には、「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」の活用がおすすめ
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設備資金や運転資金を対象に7,200万円まで融資が受けられる
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最長5年間、元本返済の据置期間の優遇が受けられる
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普通貸付よりも利率の引下げ措置が受けられる
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日本政策金融公庫の融資は、「開業資金の借入が可能」「原則として担保に依存しない融資制度が用意されている」「民間の金融機関よりも低利」「固定金利で借入が可能」「長期間の借入が可能」といったメリットがある
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手続きは日本政策金融公庫の窓口で直接行う




