ビジネスQ&A

ロシアの化学品ラベル表示とSDSの基準を教えてください。

2021年10月13日

ロシアに化学品を輸出する予定です。ラベル表示とSDSの基準や輸出上の留意点を教えてください。

回答

ロシアでは2021年7月1日から「決定No.1019 化学製品の安全性に関する技術規制」により、ラベル表示とSDSが義務化されています。
化学物質及び混合物は、輸入前に輸入者が分類をします。分類はInventoryに収載されている分類によります。
Inventoryに収載されていない物質を0.1%以上含有していれば、新規物質として認可機関に届出が必要となります。
SDSとラベル表示は、GOST規格によります。

ロシアは、2016年10月7日に化学品の表示及びSDSに関する「ロシア連邦政府 2016年10月7日付けの決定No.1019 モスクワ 化学製品の安全性に関する技術規制」(*1)を公布し、2021年7月1日から施行しています。
この技術規則を「ロシアREACH」と呼称することもあります。
この技術規則は、12章63条7附属書で構成されています。日本企業として留意すべき条項は次などです。(機械翻訳による部分意訳)

(i)対象外化学品

附属書Iにこの技術規則の対象とならない化学品が記載されています。

① 研究および/または研究開発のための化学品
② 発掘状態の鉱物、および化学的に改変されていない次の製品:鉱物、鉱石、鉱石の濃縮物、セメントクリンカー(セメントの焼成物)、天然ガス、液化ガス、凝縮ガス、プロセスガスおよびその成分、脱水、脱塩、安定化された関連石油ガス、石炭、コークス
③ 医療用医薬品及び動物用医薬品
④ 香水や化粧品
⑤ 電離放射線源である化学品(廃棄物を含む) (放射線の危険性を分類、マーキング、報告は必要)
⑥ 食品、栄養補助食品、栄養補助食品、および既製の動物飼料。
⑦ ロシア連邦の領土で流通の過程でそれらの化学組成および凝集状態を変化させない化学品の組成中の物質で以下の場合
  ・破壊されない かつ
  ・酸化しない かつ
  ・粉体にならない かつ
  ・蒸気とエアロゾルを発生させない かつ
  ・有害化学物質を含まない かつ
  ・人間の生命と健康、動物や植物の生命と健康や環境や財産に有害な影響を及ぼさない
⑧ 化学品の製造および消費による廃棄物(廃棄(処理)の対象となる場合)
⑨ ロシア連邦の領土を通過させる通関手続きの対象となる化学品

(ii)第4章(市場での化学製品流通ルール)

第7条 ロシア連邦内で流通する化学製品は、この技術規制の要件およびその他の技術規制の要件をコンプライアンス評価の対象とする。
第8条 化学物質名簿に化学物質に関する情報がない場合は、第47条から第49項に従って、化学物質と混合物を構成する新しい化学物質に注釈を付け、これらの化学物質と混合物を登録する必要がある。
ロシアのInventory(登録簿)(*2)には2019年11月11日から2020年7月31日までの期間にこの技術規則の発効準備で登録された約8万物質が収載されています。公開情報は「CAS RN」「EC No」「ロシア語の物質名」「英語のIUPAC命名法に従った名称」「英語の名称」「分子式」「構造式」「ハザード分類」などです。物質によっては、全項目の記載がなく一部の記載になっています。
英語のInventoryのFAQ(*3) のページもあります。

貴社の輸出化学品がInventoryに登録されているかを確認する必要があります。

(iii)新規物質の扱い

化学品中にInventoryに登録されていない化学物質(新規化学物質)が0.1%以上含有している場合は、以下が適用されます。
第47条 新規化学物質の届出は、化学物質および混合物の登録にそれらに関する情報を記入することによって行われる。
第48条 届出は、ロシア連邦政府により授権された連邦執行機関(授権機関)が、本技術規則の発効後にロシア連邦の領域内で流通した新規化学物質に関して、ロシア連邦政府により定められた方法で行う。
第49条 申請者が新しい化学物質を確認するために認可機関に送る情報には、以下のものが含まれる。
(a)附属書3による化学物質安全報告書
(b) IUPAC命名法に従った名前など
届出のテンプレートの記入要領(*4)が公示されています。

(iv)化学品分類要件

化学品の分類は、第15条により、製造者または輸入者が行います。分類はGOST規格によります。
GOST 32419-2013 化学物質の分類:一般的な原則
GOST 32423-2013 混合物の健康有害性分類
GOST 32424-2013 環境有害性分類:一般的な原則
GOST 32425-2013 混合物の環境有害性分類

(v)ラベル表示

第VIII章(化学品ラベル要件)の第30条から第35条で、ラベル表示は「ロシア語で明確で読みやすく」、「機械的、化学的、気候的に耐性があり」、「化学品が廃棄されるまで存在すること」などが要求されています。
警告表示は、GOST 31340-2013「(化学物質警告表示に準拠することが規定されています。GOST 31340-2013は、2019年見直しされていますが、GHS 第4版に準拠しています。

(vi)安全データシート(SDS)

SDSは、第X章(.安全データシートの要件)に規定されています。
第37条 化学製品をロシア連邦の領土で流通させる.化学品の輸入業者である製造業者(製造業者によって認可された人物)はSDSを作成しなくてはならない。
SDSを作成する際には、化学物質および混合物のInventoryに含まれる化学物質および混合物の特性に関する情報を使用する。
第39条 SDSは、化学品をロシア連邦の領土で流通させる前に作成する。
第40条 SDSに含まれなければならない情報の要件は、GOST30333-2007「化学品の安全データシート:一般要件」に指定されている。

(vii)EEUとの関係

EEU(Eurasian Economic Union ユーラシア経済同盟(経済連合とも訳される。以下同盟)は、ベラルーシ、カザフスタン、ロシア、アルメニアとキルギス の5か国で構成されています。加盟候補国としてタジキスタンがあります。
EEUは経済同盟ですが、その基本は関税同盟であり技術規則(Technical Regulation)で運用されます。技術規則は同盟国が国内法を制定し執行します。
EEUは、2017年3月3日に技術規則「化学品安全」(EAEU TR 041/2017)(*5)を採択しました。

技術規則「化学品安全」は、EU REACH規則に類似している部分があり、同盟REACH規則とも言われています。
同盟REACH規則では、第71条の「化学物質に関するこの技術規則を遵守する国家監督は、加盟国の法律に従って実施することとし、この加盟国の国内法は2018年12月1日までに発効させなくてはならないとしていました。
「ロシア連邦政府 2016年10月7日付けの決定No.1019 モスクワ 化学製品の安全性に関する技術規制」は、EEUの技術規則の先取りしたロシア国内法です。

EEUの技術規則とロシアの技術規則を比べてみますと、細部では差異がありますが、当然ながら基本は同じです。EEU加盟国では、類似した規制となっています。
EEUは関税同盟ですので、EEUの自由流通を考慮し、EEU技術規則「化学品安全」(EAEU TR 041/2017)の確認をお勧めします。
また、遵法の主体は輸入者になりますので、輸出前に十分な遵法対応の協議も必要です。

引用情報等:

回答者

中小企業診断士 松浦 徹也

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