2021年1月27日
産業機械のメーカーです。日本国内向け製品は産業機械の補用品として希塩酸(3%程度)を入れています。
インドネシアとタイから引き合いがあり、その後ミャンマーやシンガポール、ベトナムなどへも拡販したいと思っています。アセアン諸国の希塩酸に関連する法規制を教えてください。
回答
インドネシアは有害物質管理規則のB3(危険有毒物質)リスト、タイは規制対象化学物質のインベントリで特定化学物質の規制を明確にしています。アセアン諸国はそれぞれ化学物質に関する規制法を整備し特定化学物質の規制をしています。
塩酸(Hydrochloric acid)は、インドネシアやタイなどで規制対象物質になっています。水などで希釈した希塩酸の有害性は下がりますが、濃度を明確に記述していない場合があります。
アセアン各国の情報は、「日・ASEANケミカルセーフティデータベース(AJCSD)」にあります。
AJCSDは経産産業省が関与している化学物質規制情報サイトで、情報は随時更新されています。この情報の活用をお勧めします。
1.インドネシア
インドネシアは有害物質管理規則(No.74/2001)で化学物質の規制をしています。(注1)
有害物質管理規則はB3((Bahan Berbahaya dan Beracun:危険有毒物質)について規制しています。
B3とは、「その性質および濃度およびその量によって、直接的または間接的に、生活環境を汚染し、または損傷し、または生活環境、健康、人間の生存および他の生物に害を及ぼし得る物質または材料を意味する」と定義されています。
B3の分類(第5条)基準は以下です。
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爆発性酸化性非常に強い可燃性強い可燃性可燃性猛毒性高毒性有毒性有害性腐食性刺激性環境危険性発がん性催奇形性(次世代影響性)変異原性水性毒性(急性、慢性)オゾン層破壊性
B3リストには、使用許可物質110種、使用制限物質48、使用禁止物質10種が特定されています。(注2)
B3リストには、塩酸(Hydrochloric acid)が使用許可物質として特定されていますので、輸入者は通関前に登録する義務があります。
希塩酸は、0.1%程度でも「刺激性」がありますので、使用許可物質になる可能性があります。2.タイ
タイの化学物質に関連する法令はWebで公開され、規制対象化学物質のインベントリも公開されています。(注3)(注4)
インベントリからは、塩酸(Hydrogen Chloride concentrate)は第3種有害物質で、当局の許可がなければ製造、輸入、保有ができません。(注5)
15%以下はList5.6物質(特定第1種有害物質)となります。(注6)
年間1,000 キログラムを超える量の有害物質の製造者または輸入者は、「事実の届出」を行う必要があります。(注7)3.その他のアセアン諸国
アセアン各国の情報は、「日・ASEANケミカルセーフティデータベース(AJCSD)」にあります。(注8)
AJCSDは経産産業省が関与している化学物質規制情報サイトで、情報は随時更新されています。この情報の活用をお勧めします。3.1ミャンマー
化学物質および関連物質による危険の予防法(Prevention of Hazard from Chemical and Related Substances Law)が適用されると思われます。(注9)
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化学品およびその関連物質の保管、輸出入、製造などの事業を営むには許可
事業者は環境保全のための管理方法を添えて許可証の発行を申請する詳細規定の化学物質および関連物質による危険の防止規則(the Prevention of Hazard from Chemical and elated Substances Rules.)を確認しましたが、希塩酸の特例は確認できていません。(注10)
3.2.シンガポール
有害物質管理法が該当し、別表で塩酸は有害物質となっており、塩酸は500kg以上で規制となります。(注11)(注12)
混合物も対象としていますので、希塩酸(塩酸と水の混合物)も対象です。3.3.ベトナム
化学品法が適用されると思います。(注13)
混合物も象で、混合物として危険有害性があれば対象で、有害物質管理の政令、省令による詳細手順もあります。(注14)(注15)
塩酸は制限物質ではありませんがSDS作成が必要です。
インベントリに塩酸が収載されていますので既存物質になっていますが、規制物質リストには塩酸は収載されていないようです。(注16)(注17)
アセアン諸国では、塩化水素または高濃度塩酸を規制していますが、希塩酸の規制は明確ではありません。低濃度塩酸には眼刺激性がありますので、留意することが肝要です。日本は1%以上の場合に、特定化学物質障害予防規則の対象となります。(注18)
アセアン諸国の法規制は、様々ですが、日本とアセアンは友好関係にあり、TPP協定も締結していますので、日本の化審法の解釈が参考になります。先ずは、貴社製品の希塩酸のSDSで有害性を確認することが重要です。
多国展開する場合には、補用品ですので、現地調達する方法もあります。
引用情報等:
- 回答者
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中小企業診断士 松浦 徹也
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