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中小機構「バイオジャパン」で27社の出展支援

2020年 10月 19日

支援先企業の研究成果が耳目を集めた中小機構ブース
支援先企業の研究成果が耳目を集めた中小機構ブース

中小機構は10月14日から3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催されたバイオ産業の展示商談会「バイオジャパン2020」にブースを設け、同機構のビジネスインキュベータに入居しているバイオ系企業27社の出展を支援した。出展企業はパネルや製品サンプルを展示して、事業内容や研究開発の成果を説明。事業拡大に向け、支援やパートナー企業などを求めた。

熊本市中央区のくまもと大学連携インキュベータに入居している血栓トランスレーショナルリサーチラボは、血栓の異常によって引き起こされる脳梗塞などの血栓症の治療効果を高める新たな血液検査のための試薬を開発している。

従来の抗血栓薬治療には、効き過ぎによる出血などの副作用や投与量過少による血栓症再発などのリスクがあるうえ、薬効の検査に時間と手間がかかるというデメリットが指摘されている。

一方、同社が開発した血液検査法なら、個々の患者に合った最適な薬の種類と量を選択できるという。患者の副作用による出血や血栓症再発リスクを低減し、医師にとっては薬剤のオーダーメイド処方が実現することから、より安心安全な医療を提供できるメリットが期待できる。薬剤の最適な処方は、医療費の削減にもつながる。

代表取締役で薬学博士の神窪勇一氏は現在、米国カリフォルニア州サンディエゴのスクリップス研究所で発見した血栓形成機序(血栓ができるメカニズム)に基づく新しい血液凝固検査薬の製品化に取り組んでいる。

神窪氏は「新しい研究用血液凝固検査薬は、2021年2月の上市を目指している。実現するためにも、血栓にかかわる病気の診断・検査システム開発に関心のあるパートナー企業を求めている」と語った。

血栓に関する最先端情報を持つ同社は、在米経験を活かしたネットワークと高い技術力で、血栓に関連した創薬などの研究サービスのほか、検査機器およびAIを活用したデータ解析ソフトウェアの開発も目指している。

千葉市中央区の千葉大亥鼻イノベーションプラザに入居しているA-CLIP研究所が開発中の川崎病などの血管炎の治療薬「VasSF」(人工免疫グロブリン)は、新型コロナウイルス感染症による血管炎の治療薬にも応用できる可能性があるとして、世界の医療・薬事関係機関の注目を浴びている。

川崎病による血管炎は、新型コロナウイルス感染症が重症化した際の症状に酷似していることから、この「VasSF」が、新型コロナウイルス感染症の治療薬となる可能性があるという。

新型コロナウイルス感染症は、主に65歳以上の高齢者および心血管系の基礎疾患を持つ人らに重症化する傾向が見られている。サイトカインストームなどの過剰な免疫・炎症反応による生体制御バランスの崩れなどに起因して、川崎病のような血管炎や心血管炎を発症し、病状が悪化するとされている。

同社の鈴木和男代表取締役(理学博士)は、千葉大学在任中の2000年から厚生労働科学研究費補助金事業「人工ガンマグロブリン開発」のプロジェクトリーダーとして「VasSF」のシーズとなる研究を推進した後、同社の設立とともに、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)やAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)などの支援を受けて、医薬品に向けた開発を進めてきた。現在は、「VasSF」を新型コロナウイルス感染症の治療薬候補に位置付け、開発をさらに急いでいる。

鈴木氏は「臨床試験をできる限り早期に実現するためにも、ベンチャーキャピタルとの連携による資本形成に期待している」と出展の目的を述べ、資金調達や上場などにつながる支援を求めた。

中小機構が支援ブースを設けた「バイオジャパン」は、創薬、再生医療などのバイオ関連企業・団体の情報交換や連携を促進するアジア最大級のマッチングイベント。22回目を迎えた今回は、併催した「再生医療JAPAN2020」などとあわせて34カ国から1300以上の企業・団体が参加し、約1万4000人が来場。情報収集や商談などで活況を呈した。

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