ビジネスQ&A

作業標準書の必要性とその内容について教えてください。

コンビニエンスストア向けに惣菜を製造・販売しています。最近、注文が増えてきたため、パートさんやアルバイトを受け入れて戦力にしています。新しく入社した人に業務を習得させるためには、作業標準書の作成と活用が、効果があると聞きました。作業標準書について、詳しく教えてください。

回答

作業標準書とは、誰がやっても同じ結果が出るように、人の動作・機械操作の手順を、現状において最善のものとして定めたものです。作業の実施担当者を含む少数グループが自主的に作成し、現場に合ったオリジナルなものにしてください。

【作業標準書とその目的】

作業標準書とは、誰がやっても同じ結果が出るように、人の動作・機械操作の手順を、現状において最善のものとして定めたものです。作業標準の目的は、安全・品質・効率を保証することであり、達成するための手段です。そのためには、常に改善することが必要です。

【作業標準書の内容】

作業標準書には決まったフォームはありませんが、最低でも作業の手順、急所、理由の3つを網羅することが重要です。

表1:作業標準書に最低限網羅する内容

手順

誰がやっても同じ結果が出るように、手足の動かし方の順番と方法を記述する。

急所

一連の仕事の中で巧くゆくためのポイント(要点)、勘所、絶対に手抜きしてはならないところを解説する。

理由

なぜそうするかの理由を説明する。理由を理解すると覚えるのが早く確実に実行される。

【作業標準作成のポイント】

作業標準書は、その作業の実施担当者を含む少数グループが作成することが大切です。他人が作ったお仕着せの作業標準書では、実行されません。

グループで作ると、文殊の知恵でそれぞれの知識・経験が活かされ、仲間意識も出てきます。自分たちで自分たちの仕事を分析してみると、担当業務の重要性を理解し、責任感、役割意識も出てきます。さらに、改善工夫することによって、自己実現が図られ動機づけにもなります。それが組織風土として定着し、後輩に技術の伝承が行われるのです。

【現場に即した作業標準書の作成と実践】

貴社のようなコンビニエンスストア向け惣菜の製造となりますと、流れ作業が主な包装ラインになると思われます。アイテムが一日で何種類も変わると、新しく入社した方にとって、その内容を覚えることは非常に困難なことです。作業標準書を補完するような作業の写真やイラストの作成などで分かりやすいものを用意すると、効果が早く出てくると思われます。

作業標準書が作成できましたら、現場での実践指導に移ります。作業標準書や写真などを見せながら説明してください。その後は、作業者が作業標準書を見て確認するような体制が定着すれば、技術の習得も早く進んでいきます。

必ず効果があらわれてきますので、ぜひ作業標準書の導入をご検討ください。

回答者

中小企業診断士 高橋 順一

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