ビジネスQ&A

研究開発補助金の申請をしたいのですが、どのような点に気を付けて申請すればよいのでしょうか?

当社は精密部品加工を得意とする大手メーカーの下請企業です。最近は受注が減少し、このままではジリ貧となるので、当社の加工技術を応用した新商品開発を行って、下請企業からの脱却を目指すことにしました。ついては、新商品開発の資金を補助金で調達したいのですが、補助金申請のポイントについて教えてください。

回答

研究開発の新規性、事業化(売上)の見込み、開発に要する費用を申請書に具体的に記入します。記入の際は、専門用語に注釈をつける、図表を添付するなど見せ方を工夫しましょう。また、申請先から質問などあれば真摯に応え、申請先と信頼関係を構築することが重要です。

研究開発補助金といっても、その種類は国・地方公共団体や中小企業基盤整備機構などの独立行政法人、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などの国立研究開発法人が公募している補助金など多種に及びます。どの補助金も軒並み倍率が1倍を超えるものがほとんどであり、補助金申請をしても必ず補助金が交付されるというわけではありません。

では、補助金が交付される可能性を高めることはできるでしょうか?答えはYESです。補助金が交付される最大のポイントは、補助金申請時にあります。補助金申請の際のちょっとした工夫と心構えで、補助金が交付される可能性が高まることが期待できます。

【補助金申請時のポイント】

補助金を得るには、必ず補助金申請先が指定した申請書の提出が必要です。とくに研究開発補助金の募集期間は限られていますので、注意が必要です。申請先の担当者に今年の募集開始の見込みや昨年の申請の流れをよく聞いておきましょう。募集期間が判明し、申請書の様式を得たらさっそく様式に従って、申請書に必要事項を記入します。この申請書の記入内容が補助金採択の最大の決め手となると思ってください。以下、申請書の書き方のポイントを示します。

(1)研究開発のテーマ名(研究開発計画の名称)は、具体的かつ手短に記入する

テーマ名はなるべく短い名称で何をやるのかが審査員にイメージしやすい名称にしましょう。テーマ名は、最高でも2行程度にまとめましょう。

(2)5W1Hを意識して記入

申請書は研究開発計画書と思ってください。その際は、なぜ(Why)、何を(What)、誰が(Who)、どこで(Where)、いつ(When)、どのようにして(How)ということを具体的に文章に盛り込んでください。具体的に記入することで、御社の研究開発計画の精度が高いことを、審査員にアピールすることにもなります。

(3)開発後の事業化(売上)見込みを具体的に記入

開発しても売れなくては、意味がありません。補助金交付元としても、効果のある計画に補助金を交付しようとします。具体的な売り先や見込売上高の記入が必須です。

(4)研究開発計画に必要な経費は細かく積算

補助金は、研究開発に要した経費を補助するものです。よって、補助対象となる経費は厳しく限定されている場合がほとんどです。可能な限り、研究開発にかかる経費を細かく積算してください。そうすることで、審査員に経費を過大計上していないことのアピールになります。

(5)図表を使用するなどビジュアル面を意識する

もちろん、本文の内容は重要ですが、他社の申請書と差別化を図るため、ビジュアル面も考えましょう。たとえば、基礎実験データのグラフや、連携先などの相関関係図などを書きます。申請書本文では書ききれないときは、別紙にしてもよいでしょう。また、審査員のすべてが御社の業界や専門に精通しているわけではないので、業界用語や専門用語はなるべく使用しないか、注釈を付けるようにし、誰が見ても分かる書き方をしましょう。

以上が申請書の記入のポイントです。その後、ヒアリング審査がある場合が多いのですが、そのときは、審査員の質問に丁寧に答え、追加書類を求められたら迅速に対応してください。補助金は、採択後も報告書の作成や領収書などの保存義務が課されるので、それらにもきちんと対応する心構えが必要です。

なお、補助金申請の留意点として、補助金は開発経費をすべて支出した後に現金として振り込まれる「事後精算」の場合が多いです。そのため、補助金が交付されるまでに、研究開発費用を支出できるよう、現金を手当てしておく必要があります。この場合、研究開発が確実に遂行できることをアピールする意味でも、補助金交付までに必要な資金の調達計画についても立案して申請書に記入しておくとよいでしょう。

最後に、御社の研究開発にかける熱意がもっとも重要であることを認識しておいてください。

回答者

中小企業診断士 七田 亘

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