ビジネスQ&A

5S活動を実施していますが、うまく活動が進みません。効果的な実施方法を教えてください。

製造現場の活動では、5Sがベースと言われています。一念発起して5S活動を実施することにしました。赤札作戦で整理活動を行いましたが、いつのまにか元に戻ってしまいます。この繰り返しでは、活動が進みません。どのように整理を進めれば良いか、教えてください。

回答

5S活動が進まない原因としては、整理がしっかりできていないことが主な原因であることがあります。まず、しっかり整理活動を実施し、要・不要を判断したら、それが戻らないような仕組みを取り入れる必要があります。

【5S活動のポイント】

活動の推移が把握できなければ、活動を継続させることが難しくなります。したがって、現状のレベルがどの程度であるかを調べます。これには、基準となる評価表を使用します。活動開始時点で評価基準を明確にすることが難しいので、市販されている教材などに記載されているものから使用されることを勧めます。ただし、評価表は活動しながら自社にあうものに作り直すことが重要となります。現状の評価ができたら、目標と期間を設定し、計画表を作成して、必ず進捗管理を行うことです。担当者を決めて毎月必ず評価を実施し、活動の進捗を管理することが重要です。

【整理のポイント】

ポイント(1)
徹底的に現状を把握する
徹底的に現状を把握する

さまざまな教材には、整理する(要・不要)の判断基準を明確にすることが必要と記載されています。しかし、整理活動が進まない企業の多くが、この基準を明確にできていないことが見受けられます

このような場合に、筆者が実施しているのが、徹底的な現状把握です。整理を行う対象となる職場に存在しているモノすべてを調べます。部品、仕掛品、治・工具、消耗品など置かれているモノすべてを対象とし、それらの品名、品番、個数、使用頻度の一覧表を作成します。このリストをもとに従業員で話し合い、必要と思われるモノ、数量を規定し、あまったものは不要品一次置き場へ移動します。こうすることで、整理された職場環境を体験することができます。また、不要品一次置き場には、管理責任者と保管可能期間を決めます。なお、不要品一次置き場に置かれた物の中で、必要なモノが発生した場合は、理由を明確にし、管理責任者の許可を得てから職場に戻します。

ポイント(2)
管理番号を決める
管理番号を決める

モノの中には、使用の有無が判断できないものが存在します。理由はさまざまですが、購入者がすでに退職している、使用している製品がわからないなどです。このような場合には、簡単な図面を作成し、管理番号を決めます。そして、決められた期間に使用されなかった場合には、廃棄ということにします。使用された場合には、使用した製品を記入し、その製品の生産が終了した時点で廃却できるように管理することが必要となります。

ポイント(3)
必要なモノをリスト化し定期的にチェック
必要なモノをリスト化し定期的にチェック

運用期間が終了し、整理が進んだ時点で、要品手持ちリストを作成します。これが、元に戻らないための仕組みになります。必要なモノをリスト化し、それを定期的にチェックすることで、モノが増えていないかを確認することができるようになります。

【整頓のポイント】

モノの置き場、置き方を決め区画を行い名前付けする
モノの置き場、置き方を決め区画を行い名前付けする

必要なものが確定したら、それらの使用方法をよく調べ、使いやすい置き場、置き方を考えて、誰もが元に戻せるようにすることです。モノの置き場、置き方が決まったら必ず区画を行い、区画の中と置かれるモノの両方に表示(名前を付ける)をすることです。こうすることで、置かれているものが正しいかを確実に判断することができるようになります。

【清掃のポイント】

これ以上するところがないというレベルまで清掃を実施
これ以上するところがないというレベルまで清掃を実施

整理・整頓がある程度進んだら、一斉清掃を行います。この掃除は、今まで実施したことのないような場所を含めることが重要です。機械、ダクト、柱、床、とにかく、これ以上掃除をするところがないというレベルまで実施することが重要です。とにかく、油汚れが落ちないのは当たり前とか、機械が汚れているのは当たり前といった固定概念を壊すことも目的の一つで、せっかく綺麗にした環境をまた元のように戻したくないという意識を従業員に持ってもらうことと、隅々まで掃除することで、汚れの度合いがわかり、以降の掃除のルールを作るための情報としても活用します。

以上、この3S(整理・整頓・清掃)活動を何度も繰り返して実施することで、レベルが向上してきます。これにより、最終的には5S活動の定着につながります。5S活動は始めたら終わりのない活動です。必ずやり続けるという経営者の強い意志が必要となります。必ず維持・継続するよう活動してください。

回答者

足立 武士

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