調査

個人消費の回復鈍く、ほぼ横ばいで推移:日商8月業況

2023年 9月 8日

日本商工会議所がまとめた8月の「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」によると、全産業合計の業況DI(好転と回答した割合から悪化と答えた割合を差し引いた値)はマイナス8.9となり、前月比0.9ポイント改善した。物価高や天候不順の影響で個人消費の回復が鈍く、国内需要は力強さを欠いている。人手不足に加え、コスト増に対する価格転嫁が不十分で中小企業の業況は横ばいにとどまっている。

業種別にみると、小売業がマイナス12.7となり、5.8ポイント改善した。物価高による日用品などの買い控えの影響が出ているものの、インバウンド需要から売り上げが好調な百貨店が牽引した。サービス業はプラス3.4で1.0ポイントの改善となった。夏休み需要で飲食・宿泊・観光業を中心に改善したが、物価高や天候不順が足を引っ張っている。建設業はマイナス18.8で0.4ポイントの改善。受注が引き続き堅調な半面、資材価格の高騰に対する価格転嫁が追い付いていない。

一方、製造業はマイナス5.6で1.5ポイント悪化した。エネルギー価格の高騰や円安による輸入部材の高騰に伴うコスト増に加え、海外経済の停滞による電子部品関連の需要減が続いている。卸売業もマイナス22.6で1.7ポイントの悪化。国内需要の回復の鈍さから小売業・サービス業からの引き合いが減少。台風などの影響で物流の停滞も重なった。

9~11月の先行き見通しはマイナス14.0と8月に比べて5.1ポイント悪化すると見込んでいる。秋の行楽シーズンでの個人消費の拡大や、インバウンド需要のさらなる回復に期待感がうかがえる。その一方で、電気・ガソリン代などのコスト増や深刻な人手不足に対する懸念が一段と高まっており、厳しい状況が続いている。

調査は、全国329商工会議所の会員 2491社を対象に8月16~22日に実施され、有効回答数は1963社(回答率78.8%)だった。

詳しくは、日本商工会議所のホームページへ。

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