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経営後継者研修の在校生と卒業生が経営課題を議論する研修会を開催:中小企業大学校東京校

2026年 2月 16日

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グループディスカッションでは、在校生が卒業生の率直な経験談に聞き入る姿が見られた

中小機構が運営する中小企業大学校東京校は2月13日、「第46期経営後継者研修 在校生・卒業生合同研修会」を東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催した。今年で33回目を迎えた合同研修会には在校生15人に対し、卒業生約100人が参加。グループディスカッションを通じて、卒業生から経営の現場の姿や後継者のあり方などについて学んだ。

経営後継者研修は、中小企業の後継者が経営者として必要な能力や実践的知識を習得する育成プログラムで、40年以上の長い歴史を持つ。これまでに900人以上の卒業生を輩出しており、在校生・卒業生合同研修会は、全国各地で経営者や経営幹部として活躍する卒業生たちとの交流を通じて、在校生に経営活動の参考となる考え方を身に付けてもらうことを目的に開催している。

開催にあたり、小野正浩中小企業大学校東京校審議役が「在校生のみなさんにとって、卒業生は生きた教科書。先代の思いをどのように経営にいかすかなど、貴重な経験談が聞ける機会。ぜひ人的ネットワークの構築をはかってもらいたい」とあいさつした。

グループディスカッションは、在校生と卒業生が12のグループに分かれ、「経営者(経営者の役割・マインドなど)」「第二創業(新規事業・経営革新など)」「人材・組織・労務管理」というあらかじめ設定されたテーマについて議論した。各グループは在校生がファシリテータ役と書記役を担当した。

経営者の役割・マインドについて話し合ったグループでは、ある経営者が「学生時代は家業が嫌いだったが、結局継ぐことになり、意識を切り替えて何とか事業に取り組んでいたところで、コロナ禍で売り上げが9割減少した。どうすべきかと思い悩むと、どんどん視野が狭くなっていった。ある人と会った時に『自分のやりたいことをやればいいじゃないか』と言われて、はっとなった。それから新しいビジネスを考えるようになった。会社を守ることを考えることも大事だが、自分のやりたいこととバランスをとっていくことが大事だと痛感した」と自らの経験を率直に語った。

第二創業について話し合ったグループでは、「AI(人工知能)を自社に取り入れるために、国のリスキリングに関する補助金を活用して、社員にスキルを学んでもらっている。今後コールセンター業務にAIを活用したい」と社内のAIリテラシー向上に取り組む姿が紹介された。また、人材・組織・労務管理を議論したグループでは、「社員の定着率を上げるために、採用時にビジョンに共有できるかを確認している」や「役職に就けて役割を持たせるようにしている」「評価制度を明確にしている」など、具体策が提示された。

在校生たちは、最初は議論を導くことに苦労する姿も見られたが、卒業生の具体的で率直な話を聞くうちに、「どうしてそれができるのですか」と自然に問いかけをするようになり、話し合いも熱を帯び、生きた実習の成果を実感したようだった。

グループディスカッションに先立ち行われた基調講演には、産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究センター長の片桐恭弘氏が登壇し、「AIと共に歩む ~社会実装による変革と共存の未来~」をテーマに講演した。片桐氏は「AIは万能でいずれ人の仕事を奪っていくという考え方もあれば、新しい技術が開発されれば、それにともなって新しい仕事が誕生するという楽観的な考えもある。最終的には、人とAIが協力して仕事をするガバナンスに期待している」と述べ、AIが社会実装されることへの期待と課題を語った。

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AIと人が協力して仕事をする時代を語る片桐氏