売れる商品をつくるコツ

第1ステップ:市場の状況を分析する

プロフィール

高橋 順一 (たかはし じゅんいち)

コンサルティング・オフィス高橋 代表(中小企業診断士)

1955年生まれ。大手食品メーカーに20年間勤務し、原材料の仕入れやマーケティングの責任者として長年食品開発に携わる。
2002年に経営コンサルタントとして独立し、食品メーカーや農水産業、飲食店などの経営を専門に支援する。

「必ず大ヒット商品を開発するぞ!」

商品開発に取り組もうとする人ならば、大なり小なりそのように力が入ってしまうことでしょう。しかし、実際の商品開発ではそのような気持ちを抑え、既存商品を一歩前へ進めた"小ヒット商品"、つまり確実に"売れる商品"を狙うことが賢明です。そのためには基本的な市場研究やユーザー調査などを手始めに、コツコツと需要開拓することが必要です。そこで以下では、ヒット商品開発を目指す人のために、商品の開発プロセスごとにその基本とポイントを説明していきましょう。

自社のマーケティング活動の分析

まず、自社の既存商品に関するマーケティング活動を分析しましょう。そのためには、販売促進活動や宣伝に投入した費用によってどのような成果が挙がったのか、また売上高や利益にどのような効果があったのかなどの内部データを分析してみることです。

つぎに外部データを得ます。そのために既存商品の市場シェアを調査します。そこでは自社商品と競合品との取扱店率などを調査し、自社商品の流通満足度や顧客満足度がどのようであるかをつかみましょう。

顧客満足度調査の実施

消費者からの意見・要望・苦情には、商品に関する重要な課題が隠されています。つまり、消費者の反応を分析することにより、競合品との差別化のポイントなどが浮かび上がってきます。 そのためには調査対象者をいかに効率よく把握するかがポイントとなります。小売店が所有するカード会員情報や店頭でのスキャンパネル(POSシステムなどによる顧客の購買履歴調査)などを介して、調査対象である購買者の実態を把握します。

市場データによるポジショニング

上述のマーケティング活動の分析や顧客満足度調査などから得られた情報を活用し、競合品との相対関係を明らかにします。そこで、さまざまな指標を用いたポジショニングマップを作成してみます。例えば「機能と価格」「ユーザーの年齢と商品満足度」などを指標にして、自社商品と競合品とのポジションを明確にしてみましょう。

新商品の検討課題の抽出

マーケティング活動分析、顧客満足度調査、ポジショニングからさまざまな課題が発生してくるでしょう。その中で「新商品開発」に関するテーマを抽出して、つぎのステップにつなげることが大切になります。

商品開発テーマとしては、「商品アイテムの拡大」「新ニーズへの対応」「いままでにない新商品」などが挙げられます。

市場状況分析のフロー