経営・金融・行政それぞれの役割を議論 第2回「100億企業創出シンポジウム」
中小企業庁と中小機構は5月19日、第2回「100億企業創出シンポジウム」を東京・内幸町のイイノホール&カンファレンスセンターで開催した。売上高100億円を目指す企業・経営者を応援するプロジェクト「100億宣言」の一環として開催され、会場には経営者ら約400人が参加するなどほぼ満席の状況で開催された。また、オンラインでも配信され、約900人がシンポジウムのようすを視聴した(※いずれも申込ベースの人数)。
このシンポジウムは、地域や業種が違っても売上高100億円実現という同じ志を持ち、同じ課題に直面する経営者が集い、経験や失敗から学んだ教訓などを共有することで、今後の成長のヒントを得てもらうことを目的に開催された。2025年10月に初開催され、今回が2回目となる。
第1部の開会に当たって、中小企業庁長官の山下隆一氏は「昨年のシンポジウムを開催した時に100億宣言をした企業は約1900社だった。その時のシンポジウムで1900社が宣言したことを驚き、『勇気をもらった』と話した。それから7カ月が経ってさらに約1300社増え、約3200社が宣言している。『勇気』が『確信』に変わった。ぜひ日本経済を支えてほしい」とあいさつした。
続いて、「成長シナリオを具体化するために~経営者・金融機関、行政機関に求められること~」をテーマにパネルディスカッションが行われた。経営者から地域みらいグループ(福岡市中央区)社長の脇山章太氏とメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)社長の貞末奈名子氏、金融機関からは北國銀行をグループに有するCCIグループ(石川県金沢市)社長の杖村修司氏、行政機関から金融庁監督局長の石田晋也氏と中企庁の山下氏の5人が登壇。日本経済がデフレから脱却し、成長局面に入る中、中小企業を成長軌道に乗せるための道筋について幅広い視点から議論が行われた。
「100億宣言企業」であるメーカーズシャツ鎌倉は、目標の実現に向けて海外展開を成長戦略の柱に据える。貞末氏は「海外は日本人以上にメイドインジャパンの価値を評価している。いいものは適正な価格で買ってくれる。日本の3倍で売れる市場が海外にはある」と指摘。海外での事業戦略を披露した。
中堅建設会社の地域みらいグループは売上高650億円に上る“売上高100億円を達成している企業”。後継者不足などで事業継続が厳しい地方企業のM&Aに積極的に取り組んでいる。脇山氏は「M&Aの目的はあくまで技術の伝承であって、企業と未来を作っていくこと。1990年後半から日本は技術をないがしろにしてきた。技術者が半減してしまった。これからは技術を価値として認めてくれるお客様と付き合っていく」と語った。
CCIグループの杖村氏は、5月からスタートする企業価値担保制度について「スタートアップやこれから伸びる企業に非常にいい制度。われわれも準備をしているが、特にいい企業を応援する武器になる。大切なのはリスク管理のあり方。リスクバランスをとるためにどういった経営管理の枠組みをつくるか。われわれにとってもチャレンジングな課題で、一生懸命磨いている」としていた。
金融庁の石田氏は「(過去の不良債権処理問題で)金融機関も事業者もリスクを取らなくなった。リスクを取らないと経済成長しない。ようやく金融が正常化し、前向きな投資をできるようになっている。金融庁では、地域金融力強化プランを策定した。人口減少などが厳しい地方では特に地域金融機関にがんばっていただかないといけない。プランの中で、規制緩和などいろいろ政策を盛り込んで準備をしている。地域の金融機関、事業者にメニューを活用してもらいたい」と呼び掛けた。
第一部の締めくくりで、中小機構の宮川正理事長は、「すでに大きな成長を遂げた経営者、100億円という高い目標に挑戦する経営者からリアルなお話を伺うことができた。金融機関、行政の立場から成長企業をどう支え、どう伴走していくかの視点も共有され、本日のシンポを象徴する重要な要素だった」とあいさつした。
この後、経営者ネットワークと交流会が開催され、100億宣言企業の経営者約100人が5、6人のグループに分かれて、成長に向けた経営課題などについてディスカッションした。多くの事業者と交流が持てるよう席替えも行われ、金融機関も参加者グループの輪に入るなど、活発な議論を繰り広げた。
「100億宣言」の詳細は特設サイトへ。
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