支援
「課題設定型支援の実践研修」3商工会議所が成果や課題を報告:関東経産局と中小機構
2025年 3月 24日

関東経済産業局と中小機構は3月21日、商工会議所の経営指導員・経営支援員が「課題設定型支援」のノウハウを現場で学ぶ実践研修(OJT事業)の報告会をさいたま市中央区のさいたま新都心合同庁舎で開催した。下期の研修に参加した君津商工会議所(千葉県)、館林商工会議所(群馬県)、長野商工会議所(長野県)の経営指導員・経営支援員が活動状況や成果などを報告した。
「課題設定型支援」は、経営指導員が経営者や経営幹部から複数回にわたってヒアリングを実施し、ヒアリングの内容や経営状況などをもとに本質的な経営課題を掘り起こす。対話を通じて経営者に課題に気づいてもらい、経営者が自発的に課題に取り組んでもらうよう時間をかけて働きかけていく指導手法。中小企業経営者の経営力を向上させる効果が大きく、関東経産局と中小機構は、経営支援の最前線に立つ商工会議所などへの普及に取り組んでいる。
今年度のOJT事業では、各商工会議所が選定した企業に半年間にわたって継続的な伴走支援を実施。商工会議所の中堅・若手経営指導員・経営支援員が関東経産局の担当者や中小機構のインストラクターらのサポートを受けながら実地で「課題設定型支援」のノウハウを学んだ。
研修に取り組んだ経営指導員からは「安易に改善策を先に提示する支援は壁にはしごをかけるだけになってしまう。事業者自身に壁の登り方を考えてもらい、登頂する姿をサポートすることが本来の伴走型支援の形になると改めて認識する機会になった」「ヒアリングで質問から会話につなげることによって、より深い答えを聞くことができた。また、理解してもらいやすい資料をつくることも意識した。ヒアリングと事前準備の重要性を再認識した」といった声が聞かれた。
各商工会議所とも独自に相違工夫を重ねながら支援にあたった。君津商工会議所はヒアリングをもとに経営者の思いを込めた将来ビジョンを設定。館林商工会議所は、チーム名をつけて支援企業と支援者との連携を深めた。また、長野商工会議所は支援先企業の強みの視点から丁寧に経営課題を抽出した。
課題設定型支援の第一人者である埼玉県商工会議所連合会広域指導員の黒澤元国氏は、各商工会議所の報告を高く評価。君津商工会議所には「本質的課題設定の訴求プロセスが素晴らしい」、館林商工会議所には「設定した課題設定に対して、論理的に解決策を導いている」、長野商工会議所には「事業者の変革に向けた動機付けにつながっている」と講評した。
関東経産局産業部長の小澤元樹氏は「みなさんが真摯に取り組んでいただいたことを理解した。真摯に取り組んだからこそ、いろいろな課題も出てきた。商工会議所だけでなく、われわれや自治体、地域の役割なども整理しながら、来年度もよりよく、いい形でみなさんをフォローアップできるようなことを考えたい」と語った。