経営ハンドブック

チームビルディング

意識的に方向付けをしないといいチームはできない

チームとは、共通の目的・目標を持った集団を意味し、一般的な人の集合を指す場合の「グループ」とは異なる。また、チームでは一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮しながら、チームとしての目標や進捗を共有し、連帯責任を負う。例えば、団体スポーツの集合体はチームであってグループとは呼ばず、共有する戦い方の中で、個人プレーと連携プレーを繰り出しながら、勝利という共通の目標を目指す。

次に、チームビルディングとは、単にチームを結成するという行為を指すのではない。チームとして、個人が他者と協力して目標を達成していく中で、チーム自体が成長していくプロセス、すなわち、組織進化を指す。

会社の中の集団は「部」「課」などで組織されるが、社内でチームという呼称は「プロジェクトチーム」というように、何か特定の目的のために、部署横断的に集められた集団に使われることが多い。具体的には、「社内のコミュニケーションが不足している」「新しい企画やアイデアが出てこない」という課題が出てきたときに、その課題解決のためにチームが組織されるケースだ。

チームビルディングには以下のような効果がある。

チームビルディングの効果

  1. 一体感を共有することでモチベーションアップにつながる
  2. 仲間との親近感やリスペクト(敬意を払う、尊重するなどの意味)が生まれ、コミュニケーションが円滑になる
  3. 1人ではなかなか浮かばない多彩なアイデアが浮かぶ

相乗効果を生み出すチームビルディングのモデル

ここでは、最も一般的なモデルを紹介する。米国の心理学者タックマンは、チーム成長の過程を4つの段階に分けた。これを「タックマンモデル」と言う。

第1段階:形成期(フォーミング:Forming)…チームができたばかりでメンバーはお互いのことを知らない。目的や目標も共有していない段階。ここでは、まず互いを知ることが肝心。キックオフミーティングの中でゲームやスポーツを取り入れることも、チーム意識の形成として有効。続いて、それまでの部署や上長に配慮することなく、本音で物が言える状況を作っていく。

第2段階:混乱期(ストーミング:Storming)…仕事を始めたばかりの時期で、各自の意見や主義・主張が嵐(ストーム)のように激しくぶつかりあう段階。ここでは、合宿を行って本音をぶつけあったり、1人ずつ、意見や思いを書き出してみたりして、「互いが違っていること」を理解できるようにする。対立を避けて取り繕おうとすると、不満がいつまでも残る。さらに目標を深掘りし、達成意欲を醸成する。

第3段階:統一期(ノーミング:Norming)…normとは標準・規範の意味。目標が共有され、行動規範が確立する中で、役割分担ができ、各自が自走する段階。ここでは、目標達成に対する貢献意欲を各自が持てるようにする。改善提案やアイデアがどんどん出る状況が望ましい。「誰かがやってくれる」ではなく、「自分がやる」という当事者意識を醸成する。

第4段階:機能期(パフォーミング:Performing)…メンバーがお互いを尊敬したり助けあったりして一体感が生まれ、チームとしてのパフォーマンスが最大になる段階。この段階は、達成期(トランスフォーミング:Transforming)、すなわちチーム機能が一変する(transform)段階でもある。リーダーシップは一人ひとりが持つという意識が生まれ、各自が自律的に動く。

第5段階:散会期(アジャーミング:Adjourning)…adjournは会議の一時休止、延会の意味。目標達成によって相互関係が終結する段階。散会に当たって、ノウハウや反省点を整理する「振り返り」を行う。また、自分やメンバーといった個人の成長についても振り返りとフィードバックを行う。

以上のように、チームビルディングは問題を解決するだけでなく、自主性の増進、他人に対する尊敬と思いやり、チームでやることの相乗効果、達成感から生まれる自信、といったビジネスパフォーマンス向上の点でも効果的だ。

既存の組織をこの理論で作り替えるのは難しいが、プロジェクトチームを編成する際には、丸ごとチームビルディングの理論に基づいた組織化を目指せる。チームビルディングは容易ではないが、強力な組織を生み出すチャンスである。積極的に取り組む価値があるだろう。