人材関連

中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業(働き方改革推進支援センター)

2020年 3月 9日

平成31年4月から働き方改革関連法が順次施行され、労働時間・休暇・賃金といった労働条件の根幹の見直しが必要となっています。労働条件の見直しは、複雑な労働関連法規に対応しつつ、必要な手順を踏んで行うことが求められ、一筋縄ではいきません。そこで、働き方改革に速やかに対応できるよう、働き方改革推進支援センターによる支援が行われています。

働き方改革とは

働き方改革は、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにする」ための取組みです。

ではなぜ、このような取組みが必要なのでしょうか。それは、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況にあるためです。これらに対応するため、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題と認識されています。

働き方改革関連法への対応

これらの課題に対応するために、働き方改革関連法として多くの労働関連法規が同時に改正されました。主だった改正点を以下に挙げます。

  1. 時間外労働の上限規制
  2. 「勤務間インターバル制度」の導入促進
  3. 年次有給休暇の確実な取得
  4. 労働時間状況の客観的な把握
  5. 「フレックスタイム制」の拡充
  6. 「高度プロフェッショナル制度」の導入
  7. 月60時間超残業に対する割増賃金率引き上げ
  8. 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

このうち、すべての企業で対応が必要となる1、3、7、8の内容を詳しくみていきます。

<時間外労働の上限規制>

これまでの労働基準法には、残業時間の上限がありませんでした。月45時間、年360時間を超える残業があった場合に行政指導は行われるものの、これを超えることができないという意味での規制ではありません。法改正により、中小企業でも令和2年4月1日から残業時間に上限が設けられます。

まず、原則として月45時間、年360時間が残業時間の上限となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。さらに、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。

時間外労働の上限規制(改正前・改正後)

<年次有給休暇の確実な取得>

年次有給休暇は労働者の権利として、理由を問わず与えなければなりません。しかし、現実には年次有給休暇の取得を阻む有形・無形の事情があり、年次有給休暇の取得は進んでいません。そこで、年次有給休暇を確実に取得させるよう、企業の側に年次有給休暇を取得させる義務を課すこととしました。法改正により使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を取得させる必要があります。これは、中小企業を含めたすべての企業ですでに施行されています。

年次有給休暇の確実な取得(改正前・改正後)

<月60時間超残業に対する割増賃金率引き上げ>

残業時間には割増賃金を支払わなければなりません。法定割増賃金率は、月60時間以内の時間外労働について25%以上、月60時間を超える時間外労働について50%以上です。しかし、中小企業においては、月60時間を超えても割増率は25%とする猶予措置がとられています。この猶予措置が令和5年4月1日から廃止されます。したがって、中小企業でも月60時間を超える残業に対して、1.5倍の賃金支払いが必要になります。

<雇用形態に関わらない公正な待遇の確保>

「同一労働同一賃金」と呼ばれることが多いですが、賃金に限らず同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差が禁止されます。中小企業では令和3年4月1日から対応が必要です。

「公正な待遇」には、「均衡待遇」と「均等待遇」という2つの内容が含まれます。「均衡待遇」は不合理な待遇差を禁止します。待遇差があること自体は認められるものの、その待遇差の理由は合理的でなければなりません。たとえば、理由として職務内容が挙げられます。「難しい仕事」「責任の重い仕事」であれば、そうでない仕事よりも待遇を良くすることは許されると考えられます。

一方、「均等待遇」は待遇差そのものを禁止します。これは職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は、差別的取扱い(待遇差)を禁止するものです。たとえば、まったく同じ仕事をしている正社員とパート社員で基本給が異なることは認められません。

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(改正前・改正後)

働き方改革推進支援センターとは

働き方改革関連法に対応するのは簡単ではありません。労働関連法規は複雑ですので、ある規定を変更したことで別の規定が法に触れることもありえます。就業規則の変更は、きちんと手順を踏んで進めなければ無効とされることもあります。厚生労働省でも、「事業主の方から多く寄せられる労務管理に関するご相談と回答について」で情報提供をしているように、働き方改革を進めるにあたり、事業者から以下のような悩みが寄せられています。

  • 36協定について詳しく知りたい
  • 非正規の方の待遇をよくしたい
  • 賃金引き上げに活用できる国の支援制度を知りたい
  • 人手不足に対応するため、どのようにしたらよいか教えてほしい
  • 助成金を利用したいが利用できる助成金がわからない

そこで、中小企業・小規模事業者が抱えるさまざまな課題(悩み)に対応するため、ワンストップ相談窓口として、47都道府県に「働き方改革推進支援センター」が開設されています。

働き方改革推進支援センター

働き方改革推進支援センターの支援内容

働き方改革推進支援センターでは、以下の4つの取組みをワンストップで支援します。

  1. 長時間労働の是正
  2. 同一労働同一賃金等、非正規雇用労働者の待遇改善
  3. 生産性向上による賃金引き上げ
  4. 人手不足の解消に向けた雇用管理改善

支援の進め方は各都道府県の働き方改革推進支援センターによって多少違いがありますが、おおむね「相談」→「訪問」の流れになります。まずは、電話やメール、来所により労務環境の相談を行います。その後、必要に応じて専門家が企業を訪問し、現状の課題や今後について提案をします。支援回数はケースによりますが、1~3回程度が想定されています。なお、利用は1回限りということはなく、働き方改革を進める中で新たな悩みが出てくれば、改めて利用することも可能です。

働き方改革を進めるには

働き方改革を進めるには、企業側の意識改革が何よりも重要です。法律で決められたから守るのではなく、自社にとって必要だから取り組むことが求められます。働き方改革の取組みが自社にどのような良い影響をもたらすかをはじめにイメージできると、その後の取組みにも積極的になることができます。多くの成功事例が紹介されていますので、自社に近いものを参考にされるとよいでしょう。

まとめ

  1. 平成31年4月から働き方改革関連法の施行が始まっている。
  2. 残業時間の上限、有給休暇の取得、同一労働同一賃金の3つは企業の労務管理を大きく変える可能性があり、確実に対応する必要がある。
  3. 働き方改革に関するさまざまな課題に対応するため、ワンストップ窓口として各都道府県に働き方改革推進支援センターが開設されている。
  4. 働き方改革推進支援センターでは、相談や訪問により働き方改革における自社の課題や提案を受けることができる。

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