人材関連

両立支援等助成金(両立支援関係)

2020年1月内容改訂

「優秀な従業員が子育てを理由に辞めてしまった」、「親の介護でこれまでどおりに働けない」といったように、家庭の事情でやむなく仕事を辞めなければならない方が増えています。人材難の時代、貴重な人材を囲い込むためには、企業の側で仕事と家庭を両立できる仕組みを提供することが求められます。

仕事と家庭の両立

少ない人数で日々の仕事をどうにか回している中小企業では、子育てや介護のために休みをとることが難しいのが現状です。その結果、離職を余儀なくされる方やストレスを抱えて働き続ける方が増えています。このような状況は、企業にとっても従業員にとっても好ましいことではありません。そこで、企業の側でも仕事と家庭を両立できる仕組みを作ることが必要になっています。

働きやすい職場を作ることは、従業員の離職を防止するだけでなく、魅力ある人材の採用にもつながります。ここでは、仕事と家庭を両立するための職場づくりに役立つ「両立支援等助成金(両立支援関係)」をご紹介します。

両立支援等助成金(両立支援関係)の概要

両立支援等助成金では、仕事と家庭の両立に役立つ制度を導入し、それを実施する企業に対して一定の助成を行うこととされています。まずは、両立支援等助成金(両立支援関係)の4つのコースを確認しておきましょう。

コース

取組内容

支給額

(1)出生時両立支援コース

男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、男性労働者に育児休業等を取得

57万円

(2)介護離職防止支援コース

「介護支援プラン」を策定し、プランに基づき円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組む、または介護のための両立支援制度を導入し、利用者が生じた

57万円

(3)育児休業等支援コース

・「育休復帰支援プラン」を策定・導入し、プランに沿って円滑な育児休業の取得および職場復帰に取り組む
・育児休業取得者の代替要員を確保し、かつ、休業取得者を原職等に復帰させる
・育休からの復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のため、法を上回る子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度の導入・利用に取り組む

57万円

(4)再雇用者評価処遇コース

育児・介護等を理由とした退職者が復職する際、従来の勤務経験が適切に評価され、配置・処遇がされる再雇用制度を導入した上で、希望者を再雇用

38万円

※支給額は各コースで最大のもの(生産性向上に関する要件を満たしていない場合)を記載しています。ケースにより支給額は異なりますので、詳細は厚生労働省の案内をご確認ください。

出生時両立支援コースの助成を受けるには

ここでは、(1)出生時両立支援コースと(2)介護離職防止支援コースを見てみます。なお、ここで見るのは代表的な要件のみで、要件のすべてを挙げているわけではありません。詳細は厚生労働省のホームページに掲載されているパンフレット等をご参照ください。

まずは、出生時両立支援コースを受ける要件とその手続きです。出生時両立支援コースは、育児休業を取得するケースと育児目的休暇を取得するケースがあります。以下では、育児休業を利用するケースを見ていきます。育児目的休暇を取得する場合も要件はそれほど異なりません。

(1)出生時両立支援コースの助成を受ける要件

ア. 男性が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組みを行うこと

単に育児休業を取得させるのではなく、そのための環境作りまで求められます。このような取組みとして、平成28年4月1日以降に次のようなものを実施する必要があります。

a)男性労働者を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料等の周知
b)管理職による、子が出生した男性労働者への育児休業取得の勧奨
c)男性労働者の育児休業取得についての管理職向けの研修の実施

イ. 男性労働者が育児休業を取得すること

育児休業は、次の2つの要件を満たしたものでなければなりません。

a)子の出生後8週間以内に開始すること
b)連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業であること

ウ. 労働協約や就業規則に定めがあること

育児休業の制度と育児のための短時間勤務制度について、労働協約か就業規則に規定していなければなりません。

エ. 一般事業主行動計画の策定・届出、公表・周知をしていること

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出なければなりません。さらに、この一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じることが必要です。

(2)出生時両立支援コースの助成を受ける手続き

出生時両立支援コースの助成を受けるためには、子どもが生まれる時期に合わせて、必要な手続きや制度導入・実施を進めていかなければなりません。出産予定日前に生まれる可能性もありますので、できるだけ前倒しで進めるとよいでしょう。以下に育児休業取得の場合の全体のスケジュール例を示しておきます。

介護離職防止支援コースの助成を受けるには

介護離職防止支援コースは、介護休業を取得するケースと介護両立支援制度を利用するケースがあります。以下では、介護休業を利用するケースを見ていきます。なお、介護両立支援制度とは、所定外労働の制限制度、時差出勤制度、深夜業の制限制度、短時間勤務制度、介護のための在宅勤務制度、法を上回る介護休暇制度、介護のためのフレックスタイム制度、介護サービス費用補助制度をいいます。

(1)介護離職防止支援コースの助成を受ける要件

<事前準備>

ア. 介護休業関係制度について、労働協約または就業規則に規定し、育児・介護休業法に沿った制度を導入したこと
イ. 介護休業の取得及び職場復帰並びに介護休業関係制度の利用について介護支援プランにより支援する措置を実施する旨をあらかじめ規定し、労働者へ周知していること

介護休業に係る介護支援プランには、介護休業取得者の円滑な介護休業取得のための措置として、介護休業取得者の業務の整理、引き継ぎに関する措置を少なくとも盛り込む必要があります。

ウ. 介護休業を取得する労働者に対して、所定の措置を講ずること

これは、ア.、イ.を実施した後でなければなりません。

<介護休業取得時>

エ. 作成した介護支援プランに基づき、同一の要介護状態にある対象家族について合計14日以上の介護休業を取得させていること
オ. 対象家族の要介護の事実について把握後、対象介護休業取得者の上司または人事労務担当者と対象介護休業取得者が少なくとも1回以上面談(初回面談またはプラン策定面談)を実施した上で、結果について記録し、対象介護休業取得者のための介護支援プランを作成していること
カ. 作成した介護支援プランに基づき、対象介護休業取得者の業務の整理、引き継ぎを実施していること

<職場復帰時>

キ. 休業取得時と同一の対象介護休業取得者に対し、その上司又は人事労務担当者と面談を実施し、結果について記録していること
ク. 対象介護休業取得者を、上記キ.の面談結果を踏まえ、原則として原職等に復帰させていること

対象介護休業取得者の介護休業終了後に、上司または人事労務担当者と対象介護休業取得者とで実施します。

ケ. 対象介護休業取得者を復帰後、継続して雇用していること

介護休業終了後、引き続き雇用保険の被保険者として3ヵ月以上雇用しており、さらに支給申請日においても雇用している必要があります。

(2)介護離職防止支援コースの助成を受ける手続き

介護離職防止支援コースでは介護休業の取得時と復帰時の2回に分けて申請手続きを行います。全体のスケジュール例を以下に示しておきます。

まとめ

  1. 仕事と家庭の両立のための職場環境作りをすると、両立支援等助成金を受けられる
  2. 両立支援等助成金(両立支援関係)には4コースあり、子育てや介護と仕事を両立する制度導入を支援している
  3. 出生時両立支援コースは、男性の育児休業や育児目的休暇の取得を推進するための助成である
  4. 介護離職防止支援コースは、家族の介護による離職を防ぐ制度作りを支援するための助成である
  5. いずれのコースも計画や制度を作成し、実際に制度を利用することが必要である
  6. 毎年度、内容が変更されるため、注意が必要である