人材関連

障害者雇用安定助成金

2020年1月内容改訂

多くの企業で人手不足が経営課題となっています。この課題を解決するためには、これまで活用が不十分だった人材を積極的に採用していくことが重要です。このような人材として高齢者とともに挙げられるのが障害者です。

障害者の就労を促進するための職場環境づくり

障害者の働く環境は改善しつつありますが、依然として雇用義務のある企業の約3割が障害者をまったく雇用していない状況にあります。障害者が希望や能力、適性を十分に活かし、障害特性等に応じて最大限活躍できるようにするため、福祉就労の場を障害者がやりがいをより感じられる環境に変えていく必要があります。
ここでは、障害者等の職場適応・職場定着を図ることを目指す企業に対する支援として、「障害者雇用安定助成金」をご紹介します。

障害者雇用安定助成金の概要

障害者雇用安定助成金は、雇用する障害者の職場定着を図るため、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫、職場適応・定着に困難を抱える障害者に対する支援に対して助成するもので、2コースが設けられています。まずは各コースの概要を確認しておきましょう。

コース

取組内容

支給額

(1)障害者職場定着支援コース

職場定着支援計画の認定を受けた上で、雇用する障害者に対して所定の措置を実施し、6か月以上職場に定着させる

120万円

(2)障害者職場適応援助コース

職場適応、定着に特に課題を抱える障害者に対して、支援計画に基づき、所定の支援を提供する

12万円/人・月

※支給額は各コースで最大のものを記載しています。ケースにより支給額は異なりますので、詳細は厚生労働省の案内をご確認ください。

障害者職場定着支援コースの助成を受けるには

2つのコースの内容を詳しく見てみます。なお、ここで見るのは代表的な要件のみで、要件のすべてを挙げているわけではありません。詳細は厚生労働省のホームページに掲載されているパンフレット等をご参照ください。

(1)障害者職場定着支援コースの助成を受ける要件

障害者職場定着支援コースは、障害者の雇用を促進するとともに、職場定着を図るため、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じることを推進するものです。このような措置として次の7つがあります。

 

措置

措置の概要

a)

柔軟な時間管理・休暇取得

通院による治療等のための有給休暇の付与、勤務時間の変更等の労働時間の調整を行う

b)

短時間労働者の勤務時間延長

週所定労働時間が20時間未満の労働者を20時間以上に、30時間未満の労働者を30時間以上に延長する

c)

正規・無期転換

有期契約労働者を正規雇用や無期雇用に、無期雇用労働者を正規雇用に転換する

d)

職場支援員の配置

障害者の業務の遂行に必要な援助や指導を行う職場支援員を配置する

e)

職場復帰支援

中途障害等により休職を余儀なくされた労働者に対して、職場復帰のために必要な職場適応の措置を行い、雇用を継続する

f)

中高年障害者の雇用継続支援

満45歳以上かつ勤続10年以上の障害者に対して、雇用継続のために必要な職場適応の措置を行い、雇用を継続する

g)

社内理解の促進

雇用する労働者に対して、障害者の就労の支援に関する知識を習得させる講習を受講させる

障害者職場定着支援コースの助成を受けるには、対象労働者(身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方)に対して、次の要件を満たしつつ各措置を行う必要があります。また、このほかにも各措置に応じた要件がありますので、ご注意ください。

ア.雇用保険適用事業所の事業主であること
イ.職場定着支援計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けること
ウ.計画期間内に職場定着に係る措置に取り組むこと
エ.所定の期間内に、一般被保険者等を事業主の都合によって解雇していないこと
所定の期間は、職場定着に係る措置の開始日の前日から起算して6ヵ月前の日から1年を経過する日までの間です。
オ.エ.の所定の期間内に、一般被保険者等を特定受給資格者となる離職理由により、当該職場定着に係る措置の開始日における一般被保険者等の6%を超えて、かつ4人以上離職させていないこと
カ.対象労働者を職場定着支援計画の期間を超えて雇用し、かつ、継続して雇用することが確実であると認められること
「継続して雇用」とは、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。
キ.事業所において、次の書類を整備、保管していること
・出勤簿等の出勤状況が確認できる書類
・賃金台帳等の労働者に支払われた賃金が確認できる書類
・離職した労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類
ク.本助成金の申請に要する経費について、全額負担すること
ケ.支給申請時点において、支給の対象となる対象労働者について解雇していないこと
コ.職場定着に係る措置の開始日以降において、当該対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けていないこと

(2)障害者職場定着支援コースの助成を受ける手続き

障害者職場定着支援コースは他の助成金とやや異なるところがあるため、手続きの際には注意が必要です。他の助成金は一括払い、障害者職場定着支援コースは分割払いと考えると理解しやすいでしょう。
各措置に応じて1年または2年の支給対象期間が定められており、これを6ヵ月ごとの支給対象期に分割します。支給申請は、支給対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に行います。全体のスケジュール例を以下に示します。

全体のスケジュール例

障害者職場適応援助コースの助成を受けるには

障害者職場適応援助コースは、障害者の職場適応・定着の促進を図るため、職場適応・定着に特に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を実施する事業主に助成するものです。

(1)障害者職場適応援助コースの助成を受ける要件

障害者職場適応援助コースの助成を受けるには、対象労働者(身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方等)の職場適応のために (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)が作成または承認する支援計画において必要と認められた支援を、訪問型職場適応援助者または企業在籍型職場適応援助者に行わせることが必要です。また、このほかにも各措置に応じた要件がありますので、ご注意ください。
訪問型職場適応援助者または企業在籍型職場適応援助者とは、一定の養成研修等を修了する等の要件を満たした方をいいます。以下では訪問型職場適応援助者による支援の要件を見ていきます。

要件は大きく分けて、対象労働者に関するもの、支援内容に関するもの、事業主に関するものがあります。

<対象労働者に関するもの>

ア.次のいずれかに当てはまる方
身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方、その他の障害者であって、地域センターが作成する職業リハビリテーション計画で、訪問型職場適応援助者による支援が必要であると認められる方
イ.次のいずれかに当てはまる方
・雇用保険被保険者で、雇用保険適用事業所に雇用されている方
・支援計画の開始日から2ヶ月以内に雇用保険被保険者として雇用保険適用事業所に雇い入れられることが確実な方
・精神障害者または発達障害者であって、1週間の所定労働時間が15時間以上である方であって、雇用保険適用事業所に雇用されている方
・精神障害者または発達障害者であって、支援計画の開始日から2ヶ月以内に1週間の所定労働時間が15時間以上である者として雇用保険適用事業所に雇い入れられることが確実な方
ウ.当該対象労働者のための支援計画がある方
障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型事業所の利用者としての就労を継続するための支援に関する支援計画は除きます。
エ.本助成金のうち企業在籍型職場適応援助者による支援対象者として現に支援されていない方

<支援内容に関するもの>

対象労働者の職場適応を図るための支援として支援計画に記載された以下のものが対象となります。
(1)支援計画書の策定
(2)支援総合記録票の策定
(3)支援対象労働者に対する支援
(4)支援対象事業主に対する支援
(5)家族に対する支援
(6)精神障害者の状況確認
(7)地域センターが開催するケース会議への出席
(8)その他の支援(地域センターが、職業リハビリテーション計画に基づき必要と認めた支援)

<事業主に関するもの>

ア.次のいずれかに該当する障害者の就労支援を行う事業主であること
・障害者就業・生活支援センターの指定法人
・障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業を行う事業主
・障害者総合支援法に基づく就労定着支援事業を行う事業主
・助成金の受給資格認定申請を行う年度またはその前年度に、支援した障害者の就職件数と職場実習の件数の合計が3件以上である事業主
イ.地域センターの作成または承認した支援計画に従って、適切に職場適応援助を行うものであること
ウ.受給資格認定申請日前5年間に本助成金のうち訪問型職場適応援助者による支援に係る支給を受けたことがない事業主が訪問型職場適応援助者による支援を行う場合は、地域センターが指定する地域センターに配置されている職場適応援助者とともに支援を行うこと
エ.支援の日ごとに、支援内容を記録した支援記録票を作成・保管すること
オ.訪問型職場適応援助者の労働に対する賃金を支払期日までに支払っていること
カ.訪問型職場適応援助者の出勤状況や賃金の支払い状況などを明らかにする書類を整備・保管していること

(2)障害者職場適応援助コースの助成を受ける手続き

障害者職場適応援助コースの助成金は、申請手続の回数が多いことが特徴です。申請は受給資格認定申請と支給申請の2種類があります。受給資格認定申請は年度ごと、支給申請は3ヵ月ごとに行います。全体のスケジュール例を以下に示します。

傷病を負った労働者の場合の全体のスケジュール例

まとめ

  1. 障害者の雇用を増やすのであれば、障害者雇用安定助成金を活用することができる
  2. 障害者雇用安定助成金には2コースあり、障害者等の職場適応・職場定着を図ることを目的としている
  3. 障害者職場定着支援コースは、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる場合の支援で、措置として7つ定められている
  4. 障害者職場適応援助コースは、職場適応・定着に特に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を実施する場合の支援である
  5. 毎年度、内容が変更されるため、注意が必要である