よくわかる地域ブランド食品づくりの基本

第3回 売れる価格設定

近年、地域の観光施設や農産物直売所、道の駅、空港の売店などでいわゆるご当地カレーやドレッシングなどをよく見かけます。これらの地域特産加工品を生産しているのはほとんどが中小企業です。しかも大企業がつくったカレーやドレッシングの数倍の価格で販売されています。

なぜそのような価格でも売れるのでしょうか。それは地域ブランド食品に購買者を引きつける魅力があるのです。

そこで「よくわかる 地域ブランド食品づくりの基本」では、地域のブランド食品を開発するための基本とポイントについて4回にわたりわかりやすく説明します。

1.正しい商品コストを理解する

「原材料費」「製造経費」「販売管理費」について正しく理解することが大切です。

その中でも販売管理費はしっかり算出し、価格に反映させることが重要です。道の駅などでは1日に何回も配達しなければならないケースもあります。特に販売費は、販売管理費(販売費および一般管理費)の中で多くを占めます。そのような費用を計算しないで売価をいったん設定してしまうと、あとで大きな赤字になっていたということになりかねません。

2.ロスを商品価格に反映する

ロスや廃棄物もコストとしてしっかりと計上しておく必要があります。農水産物を加工するときは歩留まり(原材料を100とした場合の加工品の出来高)をつかんでおくことが必要です。また季節によって歩留まりは変わることもありますので注意が必要です。

廃棄ロスも重要です。お弁当などは10個つくってすべて売れるとは限りません。売れ残った割合をあらかじめ計算しておくことも大切です。

3.設定価格より消費者の感じる価値が大きければ売れる

消費者が商品を購買するとき、自分にとって価値があるかないかで購買を決定します。よってお客さまが価格以上の価値を感じる地域ブランド食品を開発することがポイントです。

製造コストを計算してロスを考慮して商品価値に見合った価格を設定する

4.値頃感のある商品を意識する

いくらお客さまが商品に価値を感じても、あまりにも価格が高ければ商品は売れません。お客さまにとって値頃感のある商品とすることが重要です。以下をポイントに地域ブランド食品の開発とお客さまにとってお手頃な価格の設定を実践しましょう。

  • 容量を小さくする(一人前、少量パック)
  • 原材料に規格外品を活用する
  • 地域内に一次加工の仕組みをつくる
  • 直販を行う
  • 容器をシンプルにする→ガラス瓶、ペットボトル入り等

(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)