よくわかる食品原価管理の基本とポイント
第2回 販売に関わる費用
かつての日本企業は「コスト」についてあまり厳しくありませんでした。つくれば売れる時代であり、コストに利益を上乗せするだけでモノは売れたからです。
しかし、いまは簡単に売上を上げることはできません。多くの競合品がある中で、自社の製品だけを高く売ることはできません。企業が生き残るためには、コストを下げる努力と価値あるモノをリーズナブルな価格で販売しなければなりません。
「特別企画 食品原価管理の基本とポイント」では、加工食品におけるコストダウンの基本とポイントをわかりやすく説明します。
製造原価とは製造に要した原価(材料費、労務費、経費)です。しかし、製造するだけでは会社は成り立ちません。製造した製品を販売しなければお金は手に入りません。そのために営業マンが毎日のように販売の努力をしているわけです。
さらに、販売を補助する経理・総務などの業務もありますが、営業にしても経理・総務にしても当然費用がかかります。製品を売るために要した費用を「販売費」、経理・総務・人事などの費用を「一般管理費」といいます。簡単にまとめると以下のようになります。
【販売費】
製品が製造されてから代金が回収されるまでの販売業務にかかる費用
→営業マンの給料、広告宣伝費、販売促進費、接待交際費、荷造運送費など
【一般管理費】
経理、総務、人事、企画などの一般管理部門にかかる費用
→経理、総務、人事、企画等の部門の給料、役員報酬、事務用品消耗品費など
なお、「製造原価」と「販売費および一般管理費」は区別します。両者を区分することにより、コストが製造現場で発生したものか、販売部門などで発生したものかが明らかになり、これが大きなメリットとなります。
ところで製造業の販売価格とコストの関係はどうなるのでしょうか?
「製造原価」と「販売費及び一般管理費」を合計したものが「総原価」となります。そして販売価格と総原価の差額が利益となります。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)