よくわかる食品原価管理の基本とポイント
第1回 原価とは
かつての日本企業は「コスト」についてあまり厳しくありませんでした。つくれば売れる時代であり、コストに利益を上乗せするだけでモノは売れたからです。
しかし、いまは簡単に売上を上げることはできません。多くの競合品がある中で、自社の製品だけを高く売ることはできません。企業が生き残るためには、コストを下げる努力と価値あるモノをリーズナブルな価格で販売しなければなりません。
「特別企画 食品原価管理の基本とポイント」では、加工食品におけるコストダウンの基本とポイントをわかりやすく説明します。
原価とは簡単にいうと「製品やサービスを顧客に提供するまでにかかる費用」のことです。その費用を構成する要素として「材料費」「労務費」「経費」の3つがあります。まずは3つの構成要素から説明しましょう。
1.原価を構成する3つの要素
【材料費】
食品メーカーにとっては、製品をつくるための原材料、調味料、包装材料が該当します。
【労務費】
労務費とは人件費のことです。製品を生産する過程で発生した従業員の賃金等を処理する費用の勘定科目で、労務費には直接労務費(直接製造にかかわった人のコスト)とそれ以外の間接労務費があります。
【経費】
経費とは、材料費・労務費を除いたすべての費用です。例えば、製品をつくるための「燃料費」や製品を取引先に運ぶための「ガソリン代」などが含まれます。
以上が原価を構成する3つの要素です。この基本を忘れずに記憶してください。
2.原価計算が必要なわけ
原価とひと言でいっても、つくるモノによって材料や製造工程も違います。そのため製造原価の求め方も違ってきます。
材料費や労務費を始め「モノづくり」に費やしたさまざまな費用を適正に把握し、計算することで正しい原価計算ができます。
製造原価を計算するには「どのような費用を、どのように集計し、どのように計算するか」という手順が決まっているのです。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)