100億宣言企業がAIをテーマに議論 100億企業創出経営者ネットワーク開催

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40人の100億宣言をした企業経営者が参加

経済産業省、関東経済産業局、中小機構は6日、「100億企業創出経営者ネットワーク~AIがもたらす変化と経営の実装」を、経済産業省別館「ベツナナ」で開催した。同イベントには、100億宣言を行った企業経営者が40人、同時に実施したオンライン配信には約500人が参加した。中小企業経営においてAIの活用が本格化する中、成長にどう結び付けていくべきかについて真剣な議論が繰り広げられた。

100億宣言は、中小企業が「売上高100億円」という高い成長目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを対外的に宣言する制度で2025年に始まった。100億企業創出経営者ネットワークは、100億宣言をした企業の経営者同士が交流・学習する場として運営している。今回のネットワークイベントは、初めて個別のテーマを設定して開催した。経営者から関心の高いAIをテーマに、AIがもたらす変化をどのように経営戦略に取り込み、次の成長につなげていくかを共に考える機会としている。

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熱い議論を期待すると語る野原中小企業庁長官

イベント開催にあたり、野原諭(さとし)中小企業庁長官が、「企業を取り巻く環境は大きく変化している。経営者のみなさんは成長に向けた投資を行い、変革していくことが求められている。変革のための有力な手段がAIだ。本日参加されたみなさんは、100億宣言の先頭集団。是非地域で変革の必要性を伝えてもらいたい。本日は熱い議論となることを期待する」と、開催への期待感を表明した。

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「AXは成果を早く実感できる」と強調する松尾東大教授

基調講演には、AI研究の第一人者である松尾豊東京大学大学院工学研究科教授が登壇し、「AIが経営社会構造・企業経営にもたらす変化」をテーマに講演した。松尾教授は「小さな規模の会社にはAIは関係ないと思われているが、中小企業こそAIが必要。特にAIによる事業変革を進める『AX』が重要だ。DXと何が違うのかというと、DXは効果が出るまでに時間がかかる。AXはまず試してみれば効果を実感できる。DXが進んでいない企業ほど、AXから入る方が早い」と中小企業こそ、AXの効果を実感できると力説した。さらに「AXは5つのレベルがある。最初のレベル1が生成AIの導入、レベル2がデータ連携、レベル3が業務プロセス刷新、レベル4が独自AI開発、レベル5が高度AI開発の段階となる。みなさんには、少なくともレベル2までは行ってもらいたい」と、経営へのAI実装の必要性を訴えた。

その後のパネルディスカッションには、野原長官、松尾教授に加え、AIを経営に積極的に採り入れている佐々木啓二株式会社ササキ代表取締役、石田尚株式会社イシダテック代表取締役、木村哲也旭鉄工株式会社代表取締役社長の3社の経営者と、モデレーター役として宮澤裕義関東経産局地域企業支援室長が参加した。

佐々木氏は「当社は多品種少量生産の会社。AI導入では、4つの優先課題をあげてそこから取り組んだ。生産現場にも3台のAIを導入している。中小企業のAI活用は100点を待つより、まず51点でもいいからスタートすることが大事。使い始めたらどんどんアップデートできる。早く実装したもの勝ちだと思う」と、完璧でなくとも早期の導入の重要性を訴えた。石田氏は「省力化装置を手がけているが、大手食品メーカーからフィルムの外観検査ができないかと依頼されたのが、AI活用の最初だった。その後、焼酎メーカーからサツマイモの選別の依頼があり、さらにカツオの選別へと拡がっていった。装置販売は売ればそれっきりだが、AIをつけることでソフトウエアをレンタルすることで、月額収入も得られるようになった。当社も始めた時は20点ぐらいからだと思う。依頼されておもしろそうだから取り組んだ」と、石田氏も最初は手探りで事業化させたことを紹介した。

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AIを経営に実装する企業経営者らによるパネルディスカッション

木村氏は「社内の200ラインの稼働状況をAIが分析し、毎朝手を打つべき課題をAIが指摘する『AI製造部長』を活用するなど、かなりAIを導入している。業績も改善できた。AIを使い続けていると、人間の役割が変わる。人間は責任を取ること、AIを育てることが役割になる。AIが全部やってくれるわけではなく、人も勉強しないとおいていかれる」と、AIを使いこなせるよう人も高度化していかなければならないと強調した。

松尾教授は「3社のみなさんは、いずれもAIを経営に採り入れているAIネーティブ企業。レベル3や4だと思う。ただ、本当にレベル1、2を全社員ができているのか足元を点検しておくことも大事。そのうえで、自分たちの暗黙知をAIにどう載せていくのかなど、AIと人との連携を考えてもらいたい。難しいチャレンジだが、是非やってもらいたい」と、各社の取り組みにエールを送った。

第一部終了にあたり、田岡卓晃中小機構理事があいさつ。「100億宣言は、昨年5月の開始から1年余りで約4000社に近づき、その中から売上高100億円を達成した企業は30社を超えた。今日の話を聞いて、AIは成長をさせる力になると改めて感じた」と、100億企業を目指すうえで、AIの活用が大きな役割を果たすことを述べた。

第2部として開催されたグループディスカッションは、参加した経営者が各5人程度のグループに分かれ、各社の経営におけるAIの活用の実態や課題について話し合った。「100億企業になるためのアイデア思いつくたびに音声でAIに話して分析させている」や「営業の現場のやりとりをAIで議事録を作成し、分析することで、成約できなかった背景を分析させている」「AIを使えば今まで1時間かかっていたことをクリックするだけでできることなど、とにかく社員に体験してもらって実感させていくしかない」など、様々な活用策が披露された。

グループディスカッションでAIで作成した画像を披露する経営者の写真画像
グループディスカッションでAIで作成した画像を披露する経営者

経営者によるディスカッションは、通常ならベテラン経営者が主導する場面がよく見られるが、AIの活用という今回のディスカッションでは、若い経営者が自社の取り組みを意欲的に話し、それをベテラン経営者が聴き入る姿が見られるなど、興味深いものとなった。ディスカッションに参加した一色和彦株式会社ちの技研社長は「私自身まだAIを使って3か月ぐらいだが、自分の考えを入れていくと、どんどん答えは自分の考えと近づいてくる。もう手放せないものになっている。今日参加することで、課題としていた全社員に使ってもらうにはどうすればよいかを聞くこともできた」と、経営者ネットワークに参加することで気づきを得たようだった。

経産省と中小機構は同ネットワークの第二弾として、11月20日に知財経営をテーマにした100億企業創出経営者ネットワークを福岡市で開催する。
100億企業創出経営者ネットワーク ~成長の壁を突破するイノベーションと稼ぐための知財経営~



詳細は100億企業成長ポータルまで。

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