ビジネスQ&A

店舗をつねにきれいに保つにはどうしたらよいのでしょうか。

従業員5名の雑貨小売店を営んでいます。気がつくと店のガラスが汚れていたり、店舗周辺にゴミが落ちていたりします。従業員に対し店主の私が指示をすると、その場では清掃をするのですが、またすぐに汚れてきます。店舗をきれいに保つにはどうしたらよいのでしょうか。

回答

店舗が汚い理由を「清掃できない理由」、「清掃しない理由」に切り分けて対策を考えるとともに、「きれいにする活動」と「きれいさを維持する活動」を行って、意識改革を図りましょう。

【従業員の意識調査】

まず、従業員が「清掃ができない」のか「清掃をしない」のか、意識調査を行う必要があります。意識調査には、アンケート調査やヒアリングなどがありますが、御社の従業員規模であれば、直接ヒアリングをするのが手っ取り早いはずです。ただし、店主がヒアリングを行うと、従業員は本音を話さない場合もありますので、信頼できるリーダー格の従業員にヒアリングをお願いするのがよいでしょう。もし、店主がヒアリングを行うのであれば、清掃を強制したり、その方向へ誘導尋問したりするのではなく、あくまでも従業員の清掃に対する意識「調査」を行ってください。

【清掃ができない場合】

調査の結果、実際に清掃できない場合は、その原因を精査するとともに対策をとります。以下に従業員が清掃できない原因としてよく挙がるものと、その対策を記します。

  • 「清掃用具が揃っていない」・・・従業員のリクエストを踏まえて用具を揃えます。
  • 「清掃の仕方が分からない」・・・OJTや清掃マニュアルの整備を行います。
  • 「業務負荷が高く、清掃に手が回らない」・・・適正人員を揃える、または、無駄な業務を洗い出して、業務負荷を適正なものにします。
  • 「清掃に積極的ではない周囲の従業員と協調してしまう」・・・影響力の大きい従業員を清掃に巻き込むために、店主の清掃に対する取り組みを手伝ってもらうとよいでしょう。

【清掃をしない場合】

従業員に「指示がなければ清掃をしなくても(不十分な清掃でも)よい」「指示があった時だけ清掃をすればよい」といった認識があることも考えられますので、「指示がなくとも清掃をして欲しい」という店主側の意向を明確に伝えるとともに、「なぜ、自主的に清掃をする必要性があるのか」を丁寧に説明する必要があります。清掃の必要性は借りてきた言葉ではなく、店主の言葉で述べる必要があります。

【店舗をきれいにする活動】

まずは店主が率先し、従業員とともに徹底的に店舗の清掃に取り組んでください。店主が店舗清掃に対して本気であるということを見せましょう。そして、店主が期待する店舗の「きれいさ」がどの程度のレベルであるのかを明確に示し、その状態を維持して欲しいことを伝えます。一度徹底的にきれいにすると、人は汚しづらくなるものです。

【店舗のきれいさを維持する活動】

前述の清掃マニュアルを徹底するほかに、毎日清掃する個所とその時刻を決めましょう。
また、その時刻に店舗が混雑した場合の対応も決めておきましょう。清掃が大がかりになる個所は週1回、月1回でも構いませんが、チェックリストを準備し、やったかやらなかったかだけでなく、きれいになったかどうかもチェックしてください。
店舗はきれいにすることよりも、きれいさを維持することの方に労力を費やされます。定期的かつ継続して店主がチェックしていくことで、従業員の意識が変わり、それが組織風土となって根付いていきます。

回答者

中小企業診断士
三上 康一

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