ビジネスQ&A

顧客志向の企業に脱皮するためのポイントを教えてください。

「企業は顧客志向でなければ生き残れない」とよく言われますが、顧客志向の企業になるためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

回答

顧客志向の企業になるためには3つのポイントがあります。1つ目は自社の事業領域を明確にすること、2つ目は顧客の個別ニーズを汲み取って、自社の提供するサービスや商品を絶えず変えること、3つ目は他社との比較優位性を確保することです。

顧客志向の企業構築のキーワードは「3つのC」で表現することができます。

【カテゴライズ:Categorize】

自社の活躍する領域を明確にすることです。顧客の求めるベネフィット(効用)は、さまざまなカテゴリー(括り)で構成されています。

食のシーン、睡眠のシーン、ビジネスシーン、スポーツのシーン・・・それぞれがさらに細分化され、カテゴリーは無限な広がりと奥行きをもつことになります。それらの無限大に広がるカテゴリーの大平原の中に、明確な活動領域を定めることが大事です。

【カスタマイズ:Customize】

顧客の個別のニーズにコミット(接近)することです。企業は、マーケットシェアの最大化を目指すのが常ですが、いま、元気な企業はマーケットシェアではなく、マインドシェア(心を惹きつける魅力の程度)の最大化を目指しています。これらの企業は、1人ひとりの顧客が違うベネフィットを求めていることを前提としています。Aさんが喜んでくれたサービスを、Bさんは喜ばないかもしれないという前提に立ったビジネスを展開し、絶えず自社の提供するサービスや商品を変えているのです。

【コンペア:Compare】

比較優位性を発揮することです。消費者は商品や店を選ぶとき、ものの価値を測るモノサシをもっていると考えると分かりやすいと思います。しかも、モノサシは人の数だけあるのです。だから諦めてしまう企業や店舗が多いのです。細分化されすぎたニーズに個別に対応することは不可能だと・・・。

図1 顧客志向の3つのC Compare比較優位性を発揮する Categorize自社の活躍する領域を明確にする Customize顧客の個別のニーズに接近する 自社 図1 顧客志向の3つのC Compare比較優位性を発揮する Categorize自社の活躍する領域を明確にする Customize顧客の個別のニーズに接近する 自社
図1 顧客志向の3つのC

しかし、諦めずに顧客個々の情報を管理し、それぞれの顧客がモノサシとするベネフィットの目盛りに対応している企業は、きちんと存在します。

事業成功のポイントは、常に顧客をウォッチ(凝視)することに尽きます。顧客のほんのわずかな変化にも反応できる感度のよいアンテナをもつことです。

【いまからできること】

以上を踏まえて、いまからできることを考えてみましょう。

冒頭のカテゴライズは、自社の分析から始まります。己を知って、己の活動すべき事業領域を確定するのです。自社の強み・弱みは何か、自社を取り巻く外部環境から自社にとってのチャンス(機会)はないか、反対に脅威となる変化(例:代替品、ライバル企業の出現など)はないかを分析してください。

カスタマイズおよびコンペアは、潜在的に存在している顧客のニーズを掘り起こすため、現場に出て、顧客の声を聞くことが重要です。つまり、コミット(接近)してウォッチ(凝視)するのです。これは、普段からアンテナを高くしていなければ、顧客の声に気づかないままとなります。また、声すら発してくれない顧客が多いことをよく認識してください。そのような声を発しない顧客の気持ちに気づくよう、普段から現場に出て、顧客の何気ない動作や発言にもよく耳を傾ける姿勢が重要です。

もし、以上のことが自社でなかなかできないという場合は、中小企業診断士などの専門家の助言を仰ぐとよいでしょう。中小企業基盤整備機構では、御社のニーズに合う専門家を派遣する事業を行っております。また、都道府県の中小企業支援センターなどでも専門家派遣を行っていますので、一度活用されてみてはいかがでしょうか。

回答者

中小企業政策研究会

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