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地域未来投資促進法による支援

2020年 3月 10日

「その地域ならではの魅力」は、代替可能性の小さい貴重な資源です。このような魅力を発掘し、育て上げることは、地域経済の活性化につながります。地域未来投資促進法では、地域の特性を活用した事業の生み出す経済的効果を最大化すべく、地方公共団体等への支援を通じて地域の事業者をサポートしています。

地域未来投資促進法とは

2015年版小規模企業白書では、「多様な機能を有する地域のコミュニティが持続し、地域を活性化するためには、地域に存在する魅力を掘り起こし、面的・横断的に捉え、創造的な発想・取組により、地域の魅力を内外に対して広く浸透させていくことが重要である」と指摘されています。また、「国の関係省庁、地方公共団体及び支援機関等が適切に連携を図ることにより、効果を高める」ことが明記されました。

その後、平成29年に、地域の特性を活用した事業の生み出す経済的効果に着目し、これを最大化しようとする地方公共団体の取組を支援することを目的として、地域未来投資促進法(正式名称:地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)が施行されるに至っています。

地域未来投資促進法による支援を受けるには

1.地域未来投資促進法による支援の構造

その地域がどのような特性を有し、また、今後どのようにその特性を活用していくかは、地方公共団体の運営にも関わります。そこで地域未来投資促進法では、市町村や都道府県、支援機関(地方公共団体)が主体となって地域の事業者を支援する形をとっています。

地域未来投資促進法による支援の構造

2.市町村及び都道府県の基本計画

地域未来投資促進法を活用して事業者の支援を行うことを希望する市町村及び都道府県は、国の基本方針に基づいて基本計画を策定し、国の同意を受けます。基本計画の策定そのものに事業者は関わりませんが、その内容のうち地域の特性、推進したい分野、地域経済牽引事業の要件の3つは事業者が地域経済牽引事業計画を策定するにあたり参照するものとなります。市町村や都道府県が、その地域のどのような特性をどのような分野に活かすかを宣言しており、そのために支援対象となる事業者にどのような要件を求めるのかを明らかにしています。令和元年12月20日までに、236の基本計画が国の同意を得ています。

3.地域経済牽引事業計画の承認

地域未来投資促進法による支援を受けることを検討している事業者は、自社の立地する地域に基本計画が存在し、その内容が自社に関連するものかどうかを確認する必要があります。基本計画に盛り込まれる推進したい分野と代表的な取組内容を以下に挙げます。

基本計画に盛り込まれる推進したい分野と代表的な取組内容

自社の取組が基本計画に合致し、地域未来投資促進法による支援を希望する事業者は、地域経済牽引事業計画を作成し、都道府県の承認を受ける必要があります。この計画は基本計画に基づき、1.地域の特性を生かして、2.高い付加価値を創出し、3.地域の事業者への経済的効果を有する事業でなければなりません。令和元年9月30日までに1,849件の地域経済牽引事業計画が承認されています。その大部分は製造業に係る事業計画となっています。

地域経済牽引事業計画の作成にあたっては、経済産業省のガイドラインを参照するとよいでしょう。また、申請先の都道府県のウェブサイトに記載例が公開されています。記載例が基本計画の内容をどのように取り込んでいるのかを見ることで、地域の特性を活かした事業のイメージを作っておくと、計画を作成しやすくなります。

地域未来投資促進法による支援の内容

1.地域未来投資促進事業

地域経済を活性化するためには、地域経済を牽引する地域中核企業等を重点的に支援し、イノベーションによる新事業展開(地域未来投資)を促進することが重要です。このため、地域における継続的なイノベーション創出に向けた総合的な支援体制を強化するとともに、新事業のためのノウハウ獲得、事業体制の整備、事業化戦略の策定、ものづくり・サービスの開発、事業化・市場獲得までを一体的に支援するとしています。具体的には、令和2年度に以下の2事業が予算計上されています。

a.総合的なイノベーション支援(地域中核企業ローカルイノベーション促進事業)

地域経済の戦略分野の担い手となることが期待される有望企業群(地域中核企業群)の新事業への挑戦を促すため、以下の取組に対する支援が予定されています。

  • 地域のイノベーションを支える支援機関(大学、公設試、金融機関等)からなる支援ネットワークの構築
  • 支援ネットワークが新事業に取り組む地域中核企業群に提供する、事業の立ち上げから市場獲得までの事業の成長段階に応じた総合的な支援(事業戦略策定、事業体制整備、研究開発、販路開拓、ノウハウ提供等)

地域中核企業ローカルイノベーション促進事業自体は、支援機関や支援ネットワークを対象としており、地域企業はこれらの支援機関等による支援を受けることになります。したがって、地域企業としてはまず本事業に採択された支援機関等を確認し、その支援機関等の提供する支援が自社の事業に有効である場合に利用を検討することになります。

b.ものづくり・サービスの開発(戦略的基盤技術高度化・連携支援事業)

中小ものづくり高度化法の計画認定、または地域未来投資促進法の計画承認を受けた中小企業等について、大学・公設試等と連携して行う研究開発、試作品開発および販路開拓等への取組を最大3年間支援するものです。

補助上限額は原則として、ものづくりで4,500万円(補助率2/3)、サービスで3,000万円(補助率1/2)となっています。事業の詳細は個別に紹介していますので、ご参照ください。

2.課税の特例

地域経済牽引事業計画の承認を受けた企業は、課税の特例(地域未来投資促進税制)を活用することができます。以下は、2020年度末まで適用される課税の特例の内容です。

課税の特例措置を受けるためには、要件について国の確認を受けなければなりません。これには課税特例の要件と上乗せ要件があり、それぞれ以下のとおりです。

<課税特例の要件>

  • 先進性を有すること
  • 総投資額が2,000万円以上であること
  • 前事業年度の減価償却費の10%を超える投資額であること
  • 対象事業の売上高伸び率(%)がゼロを上回り、かつ、過去5事業年度の対象事業の市場の伸び率(%)が+5%以上であること

<上乗せ要件>(平成31年4月1日以降に承認を受けた事業が対象)

  • 直近事業年度の付加価値増加率が8%以上であること

以上の要件を満たすと、下表の特別償却、税額控除を利用することができます(税額控除は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%までが上限となります)。

3.金融による支援措置

地域経済牽引事業のために必要となる設備資金及び運転資金については、日本政策金融公庫が提供する長期かつ固定金利の融資を受けることができます。融資制度の詳細は、日本政策金融公庫のウェブサイトをご参照ください。ここでは制度の内容を簡単に挙げておきます。

融資制度の内容

4.規制緩和等

そのほかにも、以下の規制等についてその緩和措置が講じられており、地域経済牽引事業の遂行を容易にする配慮がなされています。

  • 農地転用許可、市街化調整区域の開発許可等に係る配慮
  • 工場立地法に基づく環境施設面積率、緑地面積率の緩和

まとめ

  1. 地域未来投資促進法による支援を受ける企業は、地域経済牽引事業計画を作成し、都道府県の承認を受けなければならない。
  2. 地域経済牽引事業計画の作成にあたっては、各地方公共団体の基本計画、経済産業省のガイドライン、記載例を参考にするとよい。
  3. 地域経済牽引事業計画の承認を受けると、地域未来投資促進事業による支援対象の選定にあたり優遇措置を受けられる。
  4. 地域経済牽引事業計画の承認を受けた企業は課税の特例として、特別償却や税額控除を活用することができる。
  5. 地域経済牽引事業計画の承認を受けた企業に対する金融支援や規制緩和の措置が講じられている。