税制メリット

中小企業等経営強化法(経営力向上計画)

2023年1月内容改訂

「厳しい競争の中で会社を存続・成長させていくために、設備投資や従業員教育で生産性を上げたい」と考えている中小企業は少なくありません。会社の収益を上げ、今後も存続・成長させていくために、比較的簡易に作成でき、国から支援措置が受けられる事業計画として、「経営力向上計画」があります。
経営力向上計画の認定を受けられる「特定事業者等」は、次の表のとおりです。

【特定事業者等の規模】

経営力向上計画の認定を受けられる中小企業者等の条件
※ 従来対象とされていた「中小企業者等」に該当するが、特定事業者等には該当しない場合(資本金10億円以下かつ従業員数2,000人を超える場合)も、令和5年3月31日までは「特定事業者等」とみなして経営力向上計画の認定対象となります。

この法律では、事業分野別指針として、生産性向上策(営業活動、財務、人材育成、IT投資等)を21の事業分野別(令和4年3月更新)で策定しています。

生産性を高めるための方策(21の事業分野別)

21の事業分野別に、事業者が取り組む際の指針を中小企業庁が公開しています。

支援措置として、中小企業経営強化税制(即時償却等)、事業承継に係る登録免許税・不動産取得税の特例、準備金の積立(損金参入)による法人税の軽減、業法上の許認可の承継の特例等の法的支援、金融支援、補助金との連動を行っています。

<中小企業等経営強化法に基づく各種の金融支援措置>
政府系金融機関からの融資、民間金融機関からの融資に対する信用保証、債務保証等により、円滑に資金調達ができるようになります。

各種の金融支援措置は、以下のとおりです。

<①日本政策金融公庫による融資>
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、融資を受けられます。

○貸付金利
<中小企業事業>
基準利率(ただし、設備資金(土地及び建物に係る資金を除く)については、2億7,000万円を限度として特別利率②)

<国民生活事業>
基準利率(ただし、設備資金(土地及び建物に係る資金を除く)については、特別利率B)

※基準利率及び特別利率については、日本政策金融公庫のサイトをご参照ください。

<②中小企業信用保険法の特例>
特定事業者は、経営力向上計画の実行※にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠で追加保証や保証枠の拡大を受けられます。

※新事業活動に該当する事業及びM&A等による事業承継(デューデリジェンスを含む)に限ります。

○保証限度額の別枠・保証枠の拡大

信用保証協会による中小企業者向け通常枠と別枠の表

経営力向上計画において、一定の財務要件を満たすことの認定を受けた企業であって、事業承継等に必要な資金に係る信用保証の申込みにおいて、保証申込み直前の事業年度決算においても一定の財務要件等を満たす場合には、経営者保証は不要です。

<③中小企業投資育成株式会社法の特例>
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(特定事業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けられます。

<④日本政策金融公庫(中小企業事業)によるスタンドバイ・クレジット>
経営力向上計画の認定を受けた特定事業者(国内親会社)の海外支店または海外子会社が、日本政策金融公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本政策金融公庫が信用状を発行し、海外での円滑な資金調達を支援します(補償限度額:1法人あたり最大4億5,000万円、融資期間:1~5年)。

<⑤日本政策金融公庫(中小企業事業)によるクロスボーダーローン>
経営力向上計画の認定を受けた特定事業者(国内親会社)の海外子会社は、経営力向上計画等の実施に必要な設備資金及び運転資金について、直接融資を受けられます。

○貸付金利
基準利率(ただし、4億円を限度として特別利率③)

<⑥中小企業基盤整備機構による債務保証>
従業員2,000人以下の特定事業者等が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、最大50億円の借入に対応)の債務の保証を受けられます。

<⑦食品等流通合理化促進機構による債務保証>
食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を使えない場合や巨額の資金調達が必要となる場合に、食品等流通合理化促進機構による債務の保証を受けられます。

【特定事業者等の範囲について】
特定事業者以外に、医業・歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)、社会福祉法人、特定非営利活動法人においても、従業員数2,000人以下の要件を満たす場合は、特定事業者等の範囲に含まれます。

【特定事業者の定義】

また、企業組合や協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会、その他政令で定める組合、政令で定める要件に該当する一般社団法人についても、特定事業者として同様の支援措置を受けることができます。

経営力向上計画は、補助金制度や経営革新計画と比べて、少ない時間と労力で計画を作成でき、認定を受けると税制や金融支援等の措置を受けられます。
対象となる事業者様は、この機会に経営力向上計画を作成してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  1. 経営力向上計画は、設備投資、コスト管理のマネジメント、人材育成等、中小企業等の経営力を向上させるための取組み内容を記載する事業計画である
  2. 経営力向上計画を作成して認定を受けると、さまざまな支援措置を受けられる
  3. 国が行っている申請事業の中では、比較的少ない時間と労力で事業計画を作成できる