税制メリット

中小企業等経営強化法(経営力向上計画)

2020年1月内容改訂

「厳しい競争の中で会社を存続・成長させていくために、設備投資や従業員教育で生産性を上げたい」と考えている中小企業は少なくありません。会社の収益を上げ、今後も存続・成長させていくために、比較的簡易に作成でき、国から支援措置が受けられる事業計画として、「経営力向上計画」があります。

中小企業等経営強化法の概要

経営力向上計画は、「中小企業等経営強化法」という国の法律に基づいて作られています。中小企業等経営強化法は、中小企業等を対象に、事業分野の特性に応じた経営力向上のための指針策定、取組みの支援、申請手続きの簡素化を講じた法律です。

経営力向上計画の認定を受けられる中小企業者等の条件は、以下の通りです。

経営力向上計画の認定を受けられる中小企業者等の条件

経営力向上計画の認定を受け、一定の設備投資を実施した中小企業者等は、法人税の税額控除等の税制措置を受けることができます。
この税制措置を受けることができる中小企業者等の条件は、以下のいずれかになります。

税制措置を受けることができる中小企業者等の条件

また、経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等は、政府金融機関の低利融資、民間金融機関の融資を受ける際の通常とは別枠の信用保証、債務保証等の金融支援を受けることができます。この金融支援を受けることができる中小企業者等の条件は、以下2つの表いずれかとなります。下記2表とも、個人事業主を含みます。

金融支援を受けることができる中小企業者等の条件

この法律では、事業分野別指針として、生産性を高めるための方策(営業活動、財務、人材育成、IT投資等)を21の事業分野別(令和元年9月更新)に策定しています。

事業分野別指針

製造業、卸・小売業、外食・中食産業、旅館業、医療分野、保育分野、介護分野、障害福祉分野、貨物自動車運送業、船舶産業、自動車整備業、建設業、有線テレビジョン放送業、電気通信分野、不動産業、地上基幹放送分野、石油卸売業・燃料小売業、旅客自動車運送事業、職業紹介事業・労働者派遣事業分野、学習塾業分野、農業分野

21の事業分野別に、事業者が取り組む際の指針を、中小企業庁が公開しています。

中小企業等の事業者は、人材育成、コスト管理のマネジメント向上や設備投資等、経営力を向上させるための取組み内容を記載した事業計画である「経営力向上計画」を作成し、国に申請します。中小企業庁のホームページには、経営力向上計画申請書の様式や記載例が掲載されています。

中小企業等の事業者は、経営力向上計画を作成する際、認定経営革新等支援機関(商工会議所等の商工団体、金融機関、士業等)による計画策定の支援を受けることができます。

計画の認定を受けた場合のメリット

国から経営力向上計画の認定を受けると、次のようなメリットがあります。

(1)法人税・所得税の税額控除
機械装置等を取得する際、工業会等から証明書を取得した生産性向上設備(A類型)、あるいは、事業者が経済産業局等の確認を受けて投資計画に記載された収益力向上設備(B類型)の対象になる場合、法人税・所得税について、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が受けられます。(令和3年3月31日まで)

2)事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例
中小企業者等が合併、会社分割または事業譲渡を通じて他の中小企業者等から不動産を含む事業用資産等を取得する場合、不動産の権利移転について生じる登録免許税、不動産取得税の軽減措置を受けることができます。(令和2年3月31日まで)

(3)認定事業者に対する補助金等における優先採択
経営力向上計画を認定申請することで、ものづくり補助金等の補助金等で採択審査の加点ポイントになる場合があり、その場合は採択されやすくなります。
平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金においても、有効な期間の経営力向上計画の認定(申請中を含む)を取得していることが、加点の対象になりました。

(4)金融支援の特例
政府系金融機関からの低利融資、民間金融機関からの融資に対する信用保証協会からの別枠保証等により、円滑に資金調達ができるようになります。
金融支援の特例についての具体的な支援措置は、以下のとおりです。

<日本政策金融公庫による低利融資>
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う借入について、低利融資が受けられます(設備資金は、基準利率から金利0.9%を引き下げ)。
※基準利率は金融情勢により変動する場合があります。最新の利率を確認するには、日本政策金融公庫のホームページをご覧ください。

<商工中金による低利融資>
経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けられます。
※基準利率は金融情勢により変動する場合があります。最新の利率を確認するには、商工中金のホームページをご覧ください。

<中小企業信用保険法の特例>
中小企業者は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会による信用保証のうち、通常の保証とは別枠で保証や保証枠の拡大が受けられます。

 

通常枠

別枠

普通保険

2億円(組合4億円)

2億円(組合4億円)

無担保保険

8,000万円

8,000万円

特別小口保険

2,000万円

2,000万円

新事業開拓保険
海外投資関係保険

2億円→3億円
(保証枠の拡大)

2億円→3億円
(保証枠の拡大)

<中小企業投資育成株式会社法の特例>
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けられます。

<日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット>
経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店または海外現地法人が、日本政策金融公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本政策金融公庫が信用状を発行し、当該債務の保証を実施できます(保証限度額:1法人あたり最大4億5,000万円、融資期間:1~5年)。

<中小企業基盤整備機構による債務保証>
中堅企業等、信用保証法の特例が措置されていない中小企業者以外の者が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円の債務保証を受けられます(保証割合50%、最大50億円の借入に対応)。

<食品流通構造改善機構による債務保証>
食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、食品流通構造改善機構による債務保証を受けられます。

国による申請事業として、ものづくり補助金、経営革新計画がありますが、これらは作成にかなりの時間と労力を要します。その反面、経営力向上計画はA4用紙2ページ程度で作成できる上、国から各種の支援措置が受けられます。
中小企業等の皆様、この機会に経営力向上計画を作成してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  1. 経営力向上計画は、人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資等、中小企業等の経営力を向上させるための取組み内容を記載する事業計画である
  2. 経営力向上計画を作成して認定を受けると、法人税の税額控除や低利融資等、さまざまな支援措置を受けられる
  3. 国が行っている申請事業の中で、比較的簡易に事業計画を作成できる