中小タスクが行く!

第3回:シニア活用編

2019年 5月 21日

第3回:シニア活用編 経営のお悩みスバッと解決 中小タスクが行く!

人材不足に悩むなら・・・
シニア活用にトライ!

とある山間の木工所。社長が従業員にうな重を振舞っている場に、取引先の営業部長がやってくる。悪い知らせかと思いきや、商品の売れ行きが好調で、もっと製造してほしいとの依頼。ありがたい話だが、ただでさえ人員不足で従業員に無理をお願いしているのに、これ以上無理はさせられない。社長がひとり川辺に向かいため息をついていると、人手不足ならシニア人材を活用してはどうですかと魚釣り中の中小タスクが声をかけてきた。

働きたいシニアも、雇用企業も増えている

どんなに募集をかけても、なかなか人手が集まらない。 もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、お勧めしたいのが「シニア活用」です!

少子高齢化により、日本では15~65歳の生産年齢人口が減り続けています。そのため、採用マーケットにおいては、中小企業の多くが、大企業に競り負けている状態です。

そうした中で注目を集めているのが、65歳以上のシニアを継続雇用・再雇用する「シニア活用」です。「人生100年時代」と言われる時代になり、シニア層に定年後も働き続ける意識が広まったこともあって、働きたいシニア層の人口は年々増加しています。60歳以上の人を対象とした内閣府の調査※1によれば、8割以上の人が「70歳以上」あるいは「働けるうちはいつまでも」働きたいと答えています。
※1 内閣府「平成30年版高齢社会白書」

政府による高齢者雇用の推進などもあって、実際に高齢者を雇用する企業も増えています。

65歳以上の就業率
出典:総務省統計局「2018年労働力調査」就業率の推移(65歳以上)(再編・加工)
シニアが戦力になるのかとたずねる社長に、もちろんです。経験が豊富ですから若者と変わらぬ業務をこなすシニアも多いんです。早朝や土日勤務などにも対応できますと力説する中小タスク。それならうちも検討してみるかとその気になる社長。それから数週間後に中小タスクが木工所をのぞいてみると、シニア従業員が増え、和気藹々としている職場。地域にも貢献できて何よりと社長も満足な様子だった。

シニア活用のさまざまなメリット

事実、高齢者に働いてもらうことには、次のようなさまざまなメリットがあります。

  • フレキシブルな勤務形態に対応できる
    65歳をすぎても就業意欲のあるシニアは、フルタイムでの仕事へのこだわりが少なく、空いた時間を有効活用することを目的としている場合も多いため、イレギュラーな曜日・時間の勤務形態も受け入れてくれやすい。
  • 即戦力としての活躍が期待できる
    豊かなノウハウ・技能・技術・人脈を持っているため、職場の即戦力としての活躍が期待できる。
  • 若手社員の育成効果が期待できる
    積み重ねてきたビジネス・キャリアに加え、社会人としての豊かな経験を活かして、若手社員の教育を任せることも可能です。
  • 採用コストが削減できる
    自社の定年年齢を引き上げて継続雇用をする場合は、新たに人材を雇い入れる必要がないので、採用コストが抑えられます。
  • シニア層の顧客からの信頼が得られる
    高齢化の進展に伴い、商品・サービスのニーズも変化が予想されます。同世代のシニア層が商品・サービス開発に関わることで、シニア層の顧客からの信頼獲得が期待できます。
  • 国からの支援が受けられる
    高年齢者雇用に関する助成金を活用することで、人件費を抑えることも可能です。
    ※これについては文末に記しています。

いかがでしょう?「なかなかいいな、シニア活用」と興味が出てきたのではないでしょうか。


シニア活用の注意点

一方で、シニア活用を実施するのであれば、シニアの体力や集中力、判断力の低下を考慮した、環境整備も必要になってきます。例えば、視力の低下を補うために、マニュアルの文字を大きくしたり、補助ライトを設置する。筋力低下を補うために、重量物の運搬を機械化する、作業場をバリアフリーにするなどです。

シニア雇用の環境整備に関しては、国は以下のような助成金制度を設けていますから、ぜひ活用 するとよいでしょう。なお、これらの助成金は、事前に計画を申請し、実際に取り組んだ事業者に支給されるものです。「必ず助成金がもらえます」といった勧誘が多く見られますが、ただでお金をばらまくような助成金は存在しませんので、ご注意ください!

こんなにある!シニア雇用のための補助金

1 65歳超雇用推進助成金

以下、(1)~(3)の申請・問い合わせは「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 」に対して行ってください。

(1)65歳超継続雇用促進コース

「A.65歳以上への定年引上げ」「B.定年の定めの廃止」「C.希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入」のいずれかを実施した事業主に対して助成を行うコースです。

【A.65歳以上への定年引上げ】、【B.定年の定めの廃止】

【C.希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入】

(2)高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主に対して、一部費用の助成を行うコースです。雇用管理制度の整備等の実施に要した経費の額に、次の助成率を乗じた額を申請できます。

 

中小企業事業主の助成率

中小企業事業主以外の助成率

生産性要件*を満たした場合

75%

60%

生産性要件*を満たさなかった場合

60%

45%

*生産性要件については、厚生労働省の ホームページでご確認ください。

(3)高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。

中小企業

中小企業以外

48万円<60万円>

38万円<48万円>

< >内は労働生産性要件*を満たした事業主に適用される数値。
*生産性要件については、厚生労働省の ホームページでご確認ください。

2 働きやすい環境整備に利用できる助成金

高年齢者に関わらず、従業員が働きやすい環境の整備に利用できる助成金です。

(1)人材確保等支援助成金

金融機関と連携し、省力化のための装置など生産性向上に資する設備等の導入と、賃金アップを実施した企業を支援します。

(2)業務改善助成金

生産性向上に資する設備・機器の導入等を行うとともに、事業場内最低賃金を引き上げた企業を支援します。

(3)時間外労働等改善助成金

出退勤管理のソフトウェア導入・更新費用、専門家による業務効率化指導、生産工程の自動化・省力化、労働時間短縮や生産性向上を支援します。

シニア雇用のための助成金も活用ください

これから先、生産年齢人口はますます減少し、労働力不足はさらに深刻化します。そうなる前に、助成金などを活用して、いち早くシニア活用のための準備しておきましょう!

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