よくわかる食品環境対策の基本とポイント
最終回 工場から排出される食品以外の廃棄物
食品を取り扱う事業者(食品の製造・加工業者、卸売・小売業者、飲食店等)は、食品の製造から廃棄の各段階で、食品廃棄物等の発生抑制・減量と食品循環資源の有効活用を図り、環境負荷の少ない社会の構築に貢献することが重要です。
「特別企画 食品環境対策の基本とポイント」では、食品事業における環境対策の基本とポイントをわかりやすく解説します。
ISO14001の拡大に伴って、企業は環境配慮項目の1つとして必ず廃棄物を考えるようになりました。企業の廃棄物への配慮は、発生した廃棄物量を完全に最終処分することで廃棄物0%を達成する、いわゆるゼロエミッション(廃棄ゼロ)に向かい、それを達成したと公表する企業も現れてきました。
これらは主に工場のみを対象としたものでしたが、その後オフィス部門も含めてゼロエミッションの達成を公表する企業が現れています。食品工場(オフィスも含む)から発生する食品廃棄物以外の廃棄物について、量の把握方法、リサイクル方法について処理コスト削減も含めて考えてみましょう。
工場で発生する廃棄物
食品製造業では、食品リサイクル法の対象となる動・植物性残さや廃油以外にもさまざまな廃棄物が発生します。排水処理汚泥や包装用のプラスチック類、発泡スチロール、廃油、鉄屑、空き缶などの産業廃棄物、また、段ボール、クラフト紙袋や納品書などの一般廃棄物も発生します。産業廃棄物は、産業廃棄物の収集運搬や処分業の許可をもった事業者に処理を委託し、一般廃棄物は地元の自治体の収集もしくは資源化事業者、一般廃棄物の収集運搬や処分業の許可を持った事業者に処理を委託します。
事務所から発生する廃棄物
事務所から排出される廃棄物にも産業廃棄物と一般廃棄物があります。例えばPETボトルや空の弁当容器などプラスチック製および金属製の廃棄物、さらに粗大ごみの多くは法律上産業廃棄物であり、それ以外の廃棄物は一般廃棄物となります。
しかし、多くの自治体では、事務所から排出される産業廃棄物は一般廃棄物とあわせて処理しているようです。したがって、事務所から発生する廃棄物は各自治体の指導に従わなければなりません。
リサイクルによって事務所の廃棄物量を削減することも可能です。プラスチック類、紙類などはその分別を見直して処理先を再検討することにより、大幅にリサイクル率の向上できます。
廃棄物計量の重要性
工場や事務所から発生する廃棄物の量を把握することは、廃棄物のリサイクル、減量を進める第一歩であり非常に重要なことです。
発生した廃棄物量の把握については、廃棄物処理業者の報告に頼っている工場が多くあります。しかし、これでは細かな品目ごと、セクションごとの量を把握できないため、セクションごとに目標を設定するなど、より個別具体的な目標設定ができません。こうした状況ではリサイクル、減量の行動を喚起することは難しいと思われます。
そのため、計量器に廃棄物を載せて(品目・セクションごとに設定された)バーコードを読んだりタッチパネルに触れるだけで、品目ごと、セクションごとの廃棄物量を簡単に集計し把握できるシステムもあります。現在、このような機器の導入も活発に行われています。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)