よくわかる食品環境対策の基本とポイント
第2回 再生利用にどう取り組むか
食品を取り扱う事業者(食品の製造・加工業者、卸売・小売業者、飲食店等)は、食品の製造から廃棄の各段階で、食品廃棄物等の発生抑制・減量と食品循環資源の有効活用を図り、環境負荷の少ない社会の構築に貢献することが重要です。
「特別企画 食品環境対策の基本とポイント」では、食品事業における環境対策の基本とポイントをわかりやすく解説します。
食品関連事業者が再生利用等に取り組むには、まず製造、流通、消費の各段階で食品廃棄物等そのものの発生を抑制します。次に、再資源化できるものは飼料や肥料などへ再生利用します。
再生利用が困難な場合には熱回収をします。さらに、再生利用や熱回収ができない場合には脱水・乾燥などで減量して適正に処理しやすいようにします。
また、食品関連事業者がこれらを実施するにあたっての基準が定められています。
発生を抑制する
- 食品製造業は、不良品の発生率の低下、過剰納入の自粛、未使用原材料の有効利用に取り組みます。
- 食品卸売業や食品小売業は、過剰な仕入や安易な返品の抑制に努めます。
- 食品小売業は、消費期限が近づいている商品の値引き販売など、食品が廃棄物にならないよう販売方法を工夫します。
- 外食産業は、メニュー、盛り付けの工夫、食べ残しがなかった場合にメリットを付与するなど、食べ残しの削減に積極的に取り組みます。
- すべての食品関連事業者は自らの取組みをPRするなど消費者の理解の促進に努めます。
再生利用する
- 容器包装、食器、楊枝、その他の異物や再生利用に適さない食品廃棄物を適切に分別して排出します。
- 飼料化は、食品循環資源の成分やカロリーを有効に活用できる手段であり、飼料自給率の向上にも寄与するため、再生利用を行うにあたり優先的に選択することが重要です。飼料の安全性の確保には万全を期すことが必要です。
- 肥料化は、地域や市場での有機質肥料の需給状況や農業者の品質ニーズを踏まえつつ、利用先の確保を前提に実行します。
熱回収する
- 再生利用施設の立地条件や受入状況により、再生利用が困難な食品循環資源であって、メタンと同等以上の効率でエネルギーを回収できる場合に限り選択できます(熱回収は第三者に委託または譲渡して行うことも可能です)。
減量する
- 排水の処理や臭気の漏れなど生活環境に影響がないよう処置します。
- 減量を行った後の残さは、廃棄物処理法に従った適正な処理をします。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)