よくわかる食品事故発生時の対応の基本
第3回 事故発生時の対応
近年、食品の表示ミスや品質に関する事故が頻繁に発生しています。それにより、消費者の食品に対する信頼が大きく揺らいできていると言えます。当然、消費者は食品メーカーやその製品に対してより一層厳しい目で監視することになります。
したがって、食品メーカーは消費者からの信頼を回復するため、これまで以上に高い品質の食品を提供していかなければなりません。
そこで「よくわかる 食品事故発生時の対応の基本」では、食品メーカーのリスク管理と事故対応時の基本について4回にわたりわかりやすく説明します。
派生した事象を食品事故としてとらえること
食品事故の対応は「何かおかしいぞ」「いつもと違うぞ」といった異常を的確に感知することがスタートとなります。そのためには、平常時の状態を十分に認知し、過去の事故例を十分に研究することにより迅速に異常を感知することが必要です。
食品事故の対応は「何かおかしいぞ」「いつもと違うぞ」といった異常を的確に感知することがスタートとなります。そのためには、平常時の状態を十分に認知し、過去の事故例を十分に研究することにより迅速に異常を感知することが必要です。
1.事実確認
事故情報が提供されたら、その情報の事実確認を行います。注意すべきポイントは以下の通りです。
- 情報の発生元は間違いないところからのものか
- 他にも同じような情報が寄せられているか
- 情報の発生元は広範囲なものか限られた範囲のものか
- 過去の事故例に同様なものがあったか
- 事故対応マニュアルに沿って情報が担当部署に集中しているか
- 情報が間違って伝わっていないか
2.事実確認結果のまとめと監督官庁への届出
事実確認結果については情報の整理が必要です。コンプライアンスの観点からも考慮すべきです。以下、事実確認に基づく情報整理の例です。
- 健康危害が予想されるか
- 事故が広範囲に拡大する恐れがあるか
- 対象事故が食品衛生法やJAS法の違反に相当するものであるか
- 上記3つの項目には該当しないが、企業の定めた品質から逸脱しているものか
- 上記4つの何れにも該当していないもの
3.製品回収について
消費者の健康に危害を及ぼす可能性がある事故のケースは、製品回収の要否、回収範囲の特定を行い、危害の拡大を防ぐ必要があります。また、表示誤記(アレルギー表示、期限を超えた期限表示、使用方法の記載ミス等)については健康危害発生の可能性がある事故として扱う必要があり、回収の要否を検討しなければなりません。
4.事故発生時 回収の確定の流れ
食品事故により、製品の回収を実施すると判断された場合の回収範囲は、事故の拡大可能性のある範囲全体です。その範囲を確定するためにはトレーサビリティ(製造履歴追跡)システムの導入などを行って製造時の様々な情報が記録されていることが望ましい。
以下に、事故発生時の製品回収のフローについて例示します。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)