よくわかる食品事故発生時の対応の基本

第2回 平常時における対応

近年、食品の表示ミスや品質に関する事故が頻繁に発生しています。それにより、消費者の食品に対する信頼が大きく揺らいできていると言えます。当然、消費者は食品メーカーやその製品に対してより一層厳しい目で監視することになります。

したがって、食品メーカーは消費者からの信頼を回復するため、これまで以上に高い品質の食品を提供していかなければなりません。

そこで「よくわかる 食品事故発生時の対応の基本」では、食品メーカーのリスク管理と事故対応時の基本について4回にわたりわかりやすく説明します。

事故対応マニュアルの作成・保持

食品事故はいつ発生するかわかりません。発生した場合には全社一丸となって迅速に対応しなければなりません。そのためには平常時からの事故対応準備が行われている必要があります。

その準備で重要なポイントは「事故対応マニュアル」を作成・保持し、その実効性を検証しておくことが大切です。事故対応マニュアルには、発生し得る事故を想定し、それぞれについて企業が取るべき対応や日頃どのように実効性を確保するかについて定めておく必要があります。

マニュアルに不備が見つかった場合は、その内容を見直し常に企業にとって最適なレベルになるようメンテナンスを行っておく必要があります。

食品事故に対応するための訓練は以下のような時に行ってください。

  1. 経営トップや幹部が交代する時
  2. 人事異動による担当者変更の時
  3. 製造設備、製造機器等の変更時
  4. 製造工程の変更時
  5. 新製品の生産開始時
  6. 新入社員教育訓練時
  7. 製品の流通経路変更時
  8. その他、企業が必要とする時

(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)