ビジネスQ&A

商品コンセプトを決めていく具体的な手順が知りたい。

2021年 8月30日

住宅地内で近隣の女性向けに手作りパンの教室を開いています。たまたま試作したオリジナルの焼き菓子を生徒に提供したところ評判が良いので、定番の商品として売れるのではと考えました。商品化するため色々ネットで調べ、商品コンセプトが重要ということはわかりましたが、今一つピンときません。具体的に決めていく手順が知りたいです。

回答

「誰に」「何を」「どのように」を決めていくのが基本ですが、まずはユーザー、買い手を具体的にイメージするところから始めるとやりやすいでしょう。イメージを固めていくにつれて、商品の外観や価格、販売場所や方法、提供する価値も決まっていきます。

商品コンセプトを決めていくやり方は色々あり、フレームワークのシートも多種公開されていますが、項目を埋めていくとなると戸惑うこともあると思います。事業者が実務で使う上で比較的やりやすい方法・手順を以下にご紹介します。

① 買われる場面、使われる場面を想像する

お客さまが自社の商品を買うための接点はどこかイメージします。小売店の店頭なのか、通販なのか、自店の店頭なのか、などです。それにより作り置きなのか注文生産なのかも想定できるでしょう。また、商品が使われているシーンをイメージします。お菓子なら食べている場面や贈り物として人に渡している場面などです。一人で食べているのか、みんなで食べているのか、家で食べているのか、外で食べているのかなども想像します。

② それはどんな人かイメージする

食べている人(消費者)、買っていく人(購入者)、それぞれの人物像を固めていきます。消費者と購入者は同じ場合もあれば、違う場合もあります。性年代、生活地域、世帯構成、職業、所得階層などプロフィールをなるべく詳細に具体化します。また、消費者購入者の性格・嗜好・趣味・関心事などの内面的な要素についても踏み込んで想像します。さらに、その人物のライフステージ(独身期、結婚期、育児期、子離れ期、成熟期など)、商品購入と関連するライフイベント(就職、結婚、出産、受験、転職、リタイアなど)についても考慮します。

③ その人の「嬉しいこと」は何か考える

消費者・購入者が商品によって得た喜びや満足感を想像します。食品なら空腹を満たし満腹感が得られた、おいしかった、健康に配慮した低カロリーな食事ができた、などが直接的な効用の代表的なものです。しかし、良い贈り物として喜ばれ感謝された、食事の場が華やぎ楽しかった、記念日にふさわしい思い出ができた、など間接的な効用についても考えてみる必要があります。考える過程で、その商品で満たすことのできるニーズがわかり、その商品が提供できる価値も明確になってきます。

④ 商品の提供方法を具体化する

①~③のプロセスで、商品のターゲット「誰に」と提供価値「何を」が明確化されるに従い提供方法「どのように」も定まってきます。ターゲットの使用シーンと提供価値にふさわしいパッケージデザイン(形態・材質・サイズ・容量・付属品など)・ネーミング及び商品の販売価格(廉価品か高級品か)が具体化されるほか、どのようなレベルの接客をするのか、どんな雰囲気を演出して行うのかといったサービス面の細部も自ずと決まってくるものと思います。

まとめ

一貫性のある販売施策を行うためには商品化の段階で明確な商品コンセプトを作ることが非常に大切です。その際に重要となるのは想像力です。買い手、使い手であるお客さまの立場に立って心情に思いをめぐらせる姿勢が良いコンセプトづくりにつながります。

参考:

回答者

中小企業診断士 橋本 良一

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