ビジネスQ&A

マーケティングでは具体的にどんなことをすればいいですか?

2021年 8月11日

新開発の製品を主軸に事業化を進めていきたいと思っています。販売を増やすにはマーケティングが大事、と頭ではわかっているので、色々本を読んだりネットで調べたりしていますが情報も多く混乱しています。自社で具体的にどんなことをすればよいでしょうか?

回答

営業活動を始める前に、事業の社内的な位置づけを定めること、製品の社外的な打ち出し方を決めること、それを計画に落とし込むこと、この3点を押さえると具体的にすべきことが見えてくると思います。実務的には、調査・検討・決定を経て計画書にまとめます。

一口にマーケティングといっても領域が広く、全体的な概念から個別テーマの実際の手法に至るまで多岐に渡ります。デジタル化の進展により新ジャンルが出現したり、業界的なキーワードの流行もあったりするので、体系的に把握することは簡単ではありません。また、学問としての研究対象でもあるため、事業者には直接関係のない専門家向けの情報もたくさん流通しています。ここでは、中小企業でも取り組みやすいマーケティングの基本部分に絞ってご紹介します。

事業の社内的な位置づけを定める

①経営戦略や事業戦略との関わりを明らかする

その製品の事業化は自社にとってどのような意味を持つのか、既存事業に対してどうなるのか(付け加えるのか、互角の事業規模に育てるのか、将来は基幹事業にとって代わるのか、など)決めていきます。

②数値計画へ落とし込む

3年~5年後の自社のありたい姿を想定し、売上や利益の目標を設定します。既存事業と新事業の比率を明確にするとともに、目標達成のために必要なリソース(人員・設備・費用)も割り出します。

③製品販売の目的や意義を定める

新製品の事業化によりどのような社会的課題を解決しようとしているのか、なぜ自社がこれに取り組むのか、改めて確認し文章化します。

製品の社外的な打ち出し方を決める

①外部環境の整理・確認

どのような市場へ進出するのか、市場の現状と将来性はどうか調査し、機会と脅威について検討します。

②自社の強み・弱み、競争環境の確認

SWOT分析などを使い、自社の強み・弱みを明確にします。競争相手をどこに想定し、何を武器に勝つのか戦略を立てます。

③商品コンセプトの決定

誰に商品を売るのか、どのようなニーズに応えるのか、商品が提供する価値は何か、優位な点として何を打ち出していくのか決めていきます。

計画に落とし込む

①課題の抽出

設定した期日までにありたい姿になるには、いつまでに何を達成しなければならないか、克服すべき障害は何か検討し、課題を設定します。

②打ち手の具体化

課題解決のための施策を考え、内容・目標数値・スケジュールなどを具体的に決めます。製品・価格・販路・販促等のプランを作成します。必要があれば店頭・Web・SNSなど個別テーマや、ブランド形成など特に意識的に取り組むテーマについても具体化を行います。

③管理方法の設定

打ち手の成果が上がっているか判定できるように管理指標と管理者を決めます。週次・月次など、どのタイミングで進捗を確認するのかも決めていきます。

まとめ

しなければならない作業はけっこうあり詳細に決めていくと際限がありませんが、ある程度のところで止め、まずは骨格となる概要をしっかり定めましょう。「頭の中で考えるだけでなく書き出していくこと」、「決めた目標や方針は社内で共有すること」が重要です。マーケティングについて一人で考えることも有意義ですが、できれば複数人で討議を重ねて決定していくと、社内の意思統一も図られ良い結果につながりやすくなると思います。

回答者

中小企業診断士 橋本 良一

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