ビジネスQ&A

効果的なアンケートの取り方を教えてください。

お店のお客さまにアンケートをとって、品揃えや販売促進活動に活かしたいと思っています。アンケートを作成するのに気をつける点を教えてください。

回答

アンケートによって何が得られるか、そしてその結果をどのように役立てたいか、これがアンケートの成果物です。そのためのアプローチとして、どのような作成手順を踏むべきか、その留意点は何か、回収率や分析精度アップへの工夫などを伝授します。

アンケートの作成において、次の5つのことを意識して作成すると効率的・効果的になります。

(1)目的、(2)手段、(3)内容、(4)回収率をあげる工夫、(5)分析精度をあげる工夫。

【目的】

アンケートは、調査対象の意識や行動パターンを把握するために実施するものです。まずは、誰が対象で(例:ある時間帯の通行者全体、小学生のいる家庭、健康に関心の高いお年寄り、など)、何のために(今後の販売促進活動を効果的に行うため、新規店舗開店調査のため、商品開発へのヒントを得るため、など)、なぜ行うか(自分の仮説の確認、一般傾向をしる、意外性の発見、など)をよく考え、それに沿った手段と内容の正しい選択が重要です。

【手段】

目的を決めたら次に手段を検討します。以下のような代表例を参考に、目的にもっとも適した手段を選び、それにかかる時間とコストを検討しましょう。

小売業の一般的手段である来店・来場を例にとると、どれだけアンケートを集めるか、そのためにアンケート用紙や筆記具はいくつ必要で、調査員は何人で何時間かかるか、さらには回収時のお礼の景品やクーポンのコストはいくらくらいかなどを想定してください。

  1. 訪問(1対1で詳細なことを聞ける、コストはかかる)
  2. 電話(相手が見えないので非協力的になりやすい、対応のマナーが重要)
  3. インターネット(低コストで大量の相手が対象可能、使用層が限定される)
  4. 郵便(一度に大量の相手が対象可能、回収に時間がかかり回答率もやや低め)
  5. 来店・来場(店舗や催事場にいる方が対象、回答時間に制限がある)

【内容】

まず、何よりも決めた目的にあったものにしなければなりません。内容検討には、

  1. 過去や他地域での調査報告書、類似調査物、ほかのアンケートそのものを参考にする
  2. 検討会・グループインタビューなどを実施し、その結果を質問に織り込む
  3. まったく関係ない人の意見を聞いてみる

ことが大切です。

このうちIだけでは、独自の目的から外れる可能性があるので、必ず2と3も使って検討してください。なお、3は違う視点を入れるために実施するので、ご家族やご友人でも結構です。

  1. キーワードを作り
  2. 似たものを集めてタイトルをつくり項目を分類し
  3. その関連性の図式化を行います

内容検討とこれらのフロー化により漏れとダブりを減らします。

【回収率をあげる工夫】

正確なデータを集め、よりよい分析をするためには、回収率を上げなればなりません。そのために、以下の点に留意してください(手段によって、適切なものを選択してください)。

  1. 印象をよくする (例)笑顔・話し方・マナー・腕章や身分証を提示・ふさわしい服装
  2. 事前通知やタイミングを見て適切な督促を行う
  3. 興味を引くために、視覚(絵・デザイン・服装)や聴覚(放送・BGM)など五感に訴えることやお礼(無料配布物:景品やクーポン)の活用も高い効果があります
  4. 答えやすい文言へのヒント
    a.振り仮名や英語の略語の解説を行う
    b.個人情報は最低限にする(例:年齢を問うのではなく、世代を聞くなど)
    c.1つの質問で複数聞かない
    d.同義語や類似語を減らして誤解を避ける
  5. 質問の順序も考える(一般的なものや答えやすいものを冒頭にもってくる)

【分析精度をあげる工夫】

重要な点は、曖昧さを避ける、誘導を避ける、本音を探るなどです。具体的に適切でない例を踏まえて指摘をします。

(1)曖昧さを避ける

"ここにはよく来ますか?""どれくらいかけますか?"

前者は「よく」というのはどの程度なのか、後者は「時間」なのか「費用」なのか分かりません。記述式ではなく、選択肢形式にして対応する必要があります。

(2)誘導を避ける

"釣りやキャンプなど週末レジャーは何をしていますか?"

質問は「レジャー」を聞いているのですが、暗に「アウトドア関連」に誘導しています。これは回答者の選択肢を狭めて、さまざまな意見の回収を妨げる原因になります。

(3)本音を探る

訪問や来店・来場の場合は、アンケート終了後の雑談が、回答者も構えずに一番本音が出やすいものです。また、郵便やインターネットも質問の最後の自由記述に時折本音が読み取れます。

以上、いかがでしたでしょうか?

なお、アンケートの最後には「このアンケート内容は○○○のために使用します。そのほかの目的には使いません。」と、お礼以外にも書き添え、それを遵守することも忘れないようにしましょう。

上記のポイント以外にも、工夫できるところは工夫して、目的にあった価値あるアンケートをぜひとも実施してください。

回答者

中小企業診断士 秋島 一雄

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