よくわかる食品生産管理の基本とポイント
第1回 生産とは
食品工場の生産管理とは、「お客さまの注文通りに製品をお客さまのお手元に決められた期日までに届ける仕事」です。まさに工場内の司令塔といえましょう。
具体的には、お客さまの要望を十分に聞いた上、従業員の生産性を考慮しながら生産計画を作成して生産部門へそれを落とし込むことです。
「特別企画 食品生産管理の基本」では、加工食品における生産管理の基本とポイントをわかりやすく説明します。
生産とは、所定の品質、原価、数量の製品を所定の納期までにつくる(第2次産業)こと、またはこれに準じたサービスを提供する(第3次産業)ことです。その目的は、顧客の満足を図り、売上と利益を上げることにあります。
1.生産の3条件(QCD)
生産の3条件とは、付加価値をつくり上げる生産活動の具体的成果とされるもので、品質(Quality)、原価(Cost)、納期(Delivery)の3つを指し、その頭文字をとって「QCD」と呼ばれます。
【品質】
顧客の要望を満たすことが品質の基本です。また、商品企画・設計上の機能品質を満たすことも重要です。おいしさを売る食品企業にとっては最も重要な条件です。
【原価】
原価とは、購入品の価格を低減し、かつ生産性(効率)を向上させることで生産コストを下げて会社に利益をもたらすための重要な条件です。
【納期】
顧客の希望する時期に製品をつくり上げてタイムリーに届けることが納期として重要です。折角おいしい食品を製造しても、顧客が欲しいときに手元になければ何もなりませ ん。
2.生産の4要素
生産活動を構成する基本として、人(生産主体:Man)、機械(生産手段:Machine)、材料(生産対象:Material)、方法(生産方式:Method)の4つの要素があり、それらは「生産の4M」と呼ばれます。
言い換えれば、生産の3条件を満たすための「能力」ということです。
(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)