ビジネスQ&A

時間外労働削減問題が大きな問題となっています。削減のための考えられる対応策にはどういうものがあるでしょうか。

時間外労働(略称「残業」)削減問題は、使用者にとっては労働者への安全配慮義務や人件費コスト等の面から、また労働者側にとっては身体及び精神的な面の負担等から、大きな問題となっています。削減のための考えられる対応策にはどういうものがあるでしょうか。

回答

残業は、過重労働との因果関係が深く、長くなればなるほど過労死等のかかわり合いが強くなるといわれます。この残業の問題を根本的に解決するためには、まずは、経営者や上司の意識改革や残業の合理化・効率化・見直しが欠かせません。制度面では以下のような方策が考えられます。各社の実態にあった対策を取り入れていくことが必要と思われます。

  1. 管理職による「許可制」の徹底=残業は、そもそも使用者の許可もしくは承認があった場合に割増賃金を支払う必要が生じるものです。残業を命じたわけでもなく、事前申請もないのに労働者が自ら仕事をすることは、本来の残業の趣旨に反するわけです。実態は、黙示の承認となってダラダラと残業していることもあるのではないかと思われます。
  2. 早く帰る雰囲気づくり=管理職自ら率先して早く退社したり、部下に声かけして退社させる雰囲気づくりが必要です。他社例では、一定時刻に一斉消灯・退社というところもあります。
  3. 時差出勤の活用=部下の勤務内容および実態をよく把握し、必要に応じて時差出勤を命じるなどの臨機応変な対応を考えます。制度的には交代制勤務の展開も考えられます。
  4. 変形労働時間制度の活用=フレックスタイム制や1週間/1カ月/1年単位の変形労働時間制度を、自社の労働条件にあわせて考えます。業務の繁閑の差の大きい企業の場合、大きな効果が期待されます。
  5. 裁量労働制の導入=専門業務型、企画業務型の2種類がありますが、これもうまく導入すれば残業削減につながる可能性があります。
  6. 事業場外みなし労働時間制の導入=営業担当者など事業場外で営業している社員についは、「みなし労働時間制」の導入も有効です。
  7. 「ノー残業デー」運動の推進=特定の曜日を「ノー残業デー」とします。実施に際しては、管理職の積極的な関与によって進めることが不可欠です。
  8. 部門目標制度への組み入れ=部門の業績評価制度のなかに、自部門の効率的運営管理として、残業削減の目標達否を組み入れます。これを賞与へ反映させることで、削減効果を狙います。

部門評価だけでなく個人までに反映させる対応も考えられます。

[中小企業振興掲載日]2007年8月1日

回答者

みずほ総合研究所(株) 
相談部特定社会保険労務士
窪田 道夫

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