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第24回:RPA導入編

第24回:RPA導入編 経営のお悩みスバッと解決 中小タスクが行く!

生産性向上、人手不足解消の突破口!
RPAを導入するには?

株式会社カイケイストアの社内。増税によりレジの注文が殺到し、大慌て。全国の支店から入る注文を取りまとめている社員の新田も毎晩遅くまで入力業務に追われている。この日もあと30件処理をしなければならないが、徹夜で対応しても終わる量ではない。翌朝、新田が作業を終わらせずに帰ったことを知った社長が「どういうことだ!」とおかんむり。新田の上司が「新田も朝早く来てやってくれてます」と社長を取り成す。困った社長は中小タスクに相談。中小タスクはそれならと「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を提案。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

生産性向上を実現するテクノロジーとして、近年、「RPA(Robotics Process Automation)」が注目を集めています。RPAとは、「パソコンで実施する定型業務を、ソフトウェア型のロボットで代行する仕組み」のこと。ソフトウェア型ですから、ソフトバンクが開発した人型ロボットPepperやアイロボット社のロボット掃除機ルンバのようなボディを持つものではありません。RPAのロボットは、パソコンやサーバー上で動作し、マウスやキーボードの操作を再現します。マウスやキーボードの操作を再現することで自動化を実現するため、対象のアプリケーションがプログラムによる制御を受けつけていなくても、RPAであれば制御できることが特徴です。

定型業務を自動化。生産性大幅アップ!

ちなみに、RPAと混同されやすいものに「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」がありますが、これらは同じものではありません。AIはビッグデータを活用してコンピューター自らが判断を下しますが、RPAの判断基準は人間が決めてコンピューターはそれに従います。つまり、RPAは人間が覚えさせた動作だけを自動で行うのです。そのため、RPAは様式の決まったデータを大量に扱う業務に向いています。例えば、帳簿入力や伝票作成などの定型業務です。

大手企業では保険会社や金融機関が複数のシステムから取引情報を取りまとめたり、申し込みのあった顧客情報をデータベースに登録したりするのにRPAを使っています。総務省のホームページによると、ある大手都市銀行では、20種類の事務処理をRPA化したところ、年間で8,000時間(1人1日8時間労働で計算すると約1,000日分)事務処理作業の削減に成功したと言います。業務効率化、生産性向上を実現してくれるツールがRPAなのです。

RPA導入のメリット

ソフトウェア型のロボットを利用して、これまで人間がパソコン上で行ってきた業務プロセスをオートメーション化するRPA。導入のメリットをまとめてみます。

(1)不眠不休で働いてくれる

ロボットは眠りません。疲れることもありません。そのため、電源が確保されパソコンに異常が発生しない限り、延々と一定のスピードで処理をし続けてくれます。日中はもちろんですが、夜中もずっと働いてくれるため、単純な作業が山のようにある時こそ威力を発揮します。「RPA化した業務が翌朝には全て終了しているので、人間はエラーチェックに引っかかったファイルのみ精査する」といった働き方につながって行きます。

(2)ミスをしない

「私、ミスしないので」を地で行ってくれるのがRPAです。一度きちんとタスクが定義されれば、次から間違えることはありません。例えばエクセルファイルからコピー&ペーストで他のソフトウェアに入力する場合、人間はペースト先を間違えたり、コピー元を間違えたりしますが、ロボットはそのような間違いを犯しません。ただし、きちんと定義されていることが前提ですので、想定と違うものが画面に表示されるとすぐに停止してしまいます。

(3)生産性向上

ロボットなのでスピードが早く、単位時間あたりの処理量が少なくとも人手の倍になり、生産性が大きく向上します。ボトルネックになっていた作業に適用できれば全体のリードタイムが短縮できるようになります。以下のように、一連の定型業務をRPA化することで、人の手が空き、生産性の大幅な向上に繋がります。

図.RPA導入前とRPA導入後の比較イメージ

では、今回マンガで登場した企業のRPA導入の成果は? マンガの続きを見てみましょう。

RPAとは何だ?という社長に中小タスクは「いうなれば提携業務で行うパソコン操作のロボット化です」と解説。新田さんの作業をRPA化して、マウスやキーボード操作を自動化するプログラムを組めば、夜間などの空き時間に作動させることができ、翌朝には指定した作業が完了する。また、RPA化すると速度と正確さも向上するので、注文量も大幅に増える。さらに手が空いた従業員はより付加価値の高い仕事に取り組める。ある調査ではRPA導入企業の95%が5割以上の工数削減を実現していると説明。それから3か月後。中小タスクがカイケイストアを訪ねると、RPAを導入し、ホクホク顔の社長が。新田も売れる機種の分析など、新たな業務を行えるようになっていた。ただ、RPA化に目覚めた新田は、RPA化の楽しさに目覚め、以前にも増して働いているらしい。少し焦る中小タスクであった。

※出典:ITmediaエンタープライズ
 アビームコンサルティング株式会社と一般財団法人日本RPA協会が2017年10~12月にかけておこなった共同調査より。

RPA導入の3ステップ

ソフトウェア型のロボットを利用して、これまで人間がパソコン上で行ってきた業務プロセスをオートメーション化するRPA。実際にRPAを導入する場合、どのように進めていくとよいのでしょうか? 大きくは、以下1.~3.のステップで進めて行きます。

STEP1.自動化する業務範囲を決める

「ルーチンワークだなぁ」と感じている作業を念頭に、「自動化したい業務」を切り出します。中でも、「受発注業務のうち、発注作業がやっぱり多い。しかも偏って多いのは商品Aの発注だ」というように、時間や手間を多く取られている作業に注目してから着手するほうが高い効果を得られやすいのでお勧めです。対象となる作業範囲を特定したら、その作業の「インプット(参照する帳票やデータベース)」と「アウトブット(出力する帳票や入力するデータベース)」を整理します。いきなり広い範囲を設定するのではなく、スモールスタートを心掛けながら導入範囲を調整するのがポイントです。

STEP2.目標を踏まえて、PRAツールを選定する

自動化したい範囲を決めたら、RPAでどのような効果を得たいのか目標をはっきりさせましょう。具体的な効果をイメージしていないと、導入するモチベーションを維持しにくいからです。目標は「処理時間の短縮によって残業時間を減らす」でも良いですし、「出荷量を1.5倍にする」などでも良いでしょう。

決めた目標については、実際にPRAを使用する現場担当者と共有しましょう。メーカーが提供するRPAツール(ソフトウェア)を使用すれば、プログラミングをおこなうことなくシナリオの作成・更新ができるため、導入後は現場担当者がシナリオのメンテナンスを行うようになるのが一般的です。そのため、RPA化の目標を現場と共有することが非常に重要です。

目標を決め、現場と共有したら、RPAツールを選定しましょう。RPAツールは様々な追加機能を付与されている製品も多く、非常に高価な製品から比較的安価な製品まで色々と存在しています。具体的な製品の検討にあたっては、研修や説明会、公共の相談窓口などで専門家に相談することをお勧めします。

STEP3.シナリオを作成する

晴れてRPAツールの導入が終了したら、いよいよ業務を自動化していきます。具体的には「シナリオ」や「パターン」、「ワークフロー」と呼ばれる動作定義を作っていきます(以下「シナリオ」)。例えば、「ウインドウ名○○のブラウザをクリックして、ブラウザ内右上のボタンをクリック」といったように、自動化したい作業上の動作をひとつひとつ登録し、一連の流れを定義していきます。費用をかければPRAベンダーが代わってシナリオを作成してくれます。しかし、帳票が少し変わっただけでベンダーに修正をお願いしていては大変なので、軽微な変更は自社担当者で対応できるようにしておくことが望ましいです。

図.RPA導入の流れ

図.RPA導入の流れ

設定した範囲で一通りRPAが機能するようになったら、効果を検証し、次の範囲のRPA化に取り組みましょう。最初は「自動化する手間をかけるより、自分でやったほうが早い」と感じてシナリオ作りを面倒に感じる人が出て来ると思いますが、根気よく育てていくことで強力なツールへ成長していきます。「人手で実行するルーチンワークはほぼ無い」状態まで積み上げることができれば、かなり生産性も上がっているはずです。働き方改革にも存分に取り組めるようになっているでしょう。

利用にあたっての注意点

RPAはたいへん便利で強力なツールですが、導入にあたって注意すべき点がいくつかあります。ここではよくある代表的な3つの注意点を紹介します。

(1)簡単な業務から適用してどんなものか知る

RPAはノンプログラミングで実装できるとはいえ、最初はトライ&エラーの繰り返しになります。正常なデータでスムーズに動作していても、想定外のデータが入るとそこで止まってしまうことがよくあるので、想定外データに備えつつ、エラーが出たら修正を積み重ねることが重要です。いきなり全社的な業務に組み込むのではなく、従来の業務と並行しながらチューニングしていける小さな業務からチャレンジすることが大切です。 RPAはロボットとはいえ、人工知能ではないのでファジーに対応してはくれません。きちんと一つずつ定義を積み重ねる必要があります。

(2)もっと安い手段が無いか調べてみる

便利だな、と思って利用を推進するのは素晴らしいことですが、もっと安いサービスがないかマメに意識して探しておきましょう。たとえば、「名刺を読み取って会社のデータベースに登録する業務」についてRPAシナリオを一から作っても良いですが、スマートフォン向けアプリケーションで安価に入手できませんか? だいぶ安価になってきているとはいえ、RPAはスマートフォン向けの専用アプリケーションに比べればまだまだ高価です。何十万円もかけて作り込んだものの、専門アプリが月額1,000円で売っていた、などとならないように気を付けましょう。

(3)定期的に作業の意義・内容を振り返る

完全に自動化してしまうと日々実施するルーチンワークのつらさも忘れてしまい、誰もその作業の意義や当初の意図に疑問を持たなくなってしまうことが多いようです。シナリオを作った人物が異動してしまえば尚更で、「このシナリオ毎日動いてますけど、何やってるんですかね? なんかチェックも一緒にやってるみたいですけど」となりがちです。とくに属人化していた業務を担当していた人だけでシナリオ化すると、益々ブラックボックスになってしまいます。きちんと業務の目的や処理内容、チェックしている内容などをドキュメントにして、関連する担当者間で共有しておくことが大切です。「実行結果を受け取った部署でRPAを使って元に戻していた」なんてことにならないようにしましょう。

図.RPA導入の代表的な注意点

図.RPA導入の代表的な注意点

RPA化を進めると、単純なルーチンワークから解放され、ヒトが考えなければ対応できない活動により多くの時間を割けるようになります。まだまだ融通が利かないところもありますが、使いこなせれば強力に生産性を押し上げてくれるRPA。労働人口の減少が叫ばれる昨今、ロボットと協業することも検討してみてはいかがでしょうか。