よくわかる食品表示の基本とポイント

よくわかる食品表示の基本とポイント3

2020年 6月 11日

1.栄養成分表示のポイント

食品表示法では、栄養成分〔●たんぱく質、●脂質、●炭水化物及び●ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)〕の量及び●熱量を、原則として、全ての一般用加工食品及び一般用添加物に表示することが義務付けられました。

【表示方法】

表示方法は、容器包装を開かないでも容易に見ることができるように当該容器包装の見やすい箇所に「栄養成分〔たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム(食塩相当量に換算したもの)〕の量及び熱量」を表示します。
また「たんぱく質、脂質、炭水化物及び食塩相当量に換算したナトリウム以外の栄養成分もこれと併せて表示する」場合は、上記に付加して表示を行います。

【表示事項】

  • 表示が義務付けられている栄養成分
    熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)
  • 表示が推奨されている栄養成分
    飽和脂肪酸、食物繊維
  • 任意で表示されている栄養成分
    ミネラル(亜鉛、カリウム、カルシウムなど)、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンCなど)など
表示例:「牛乳の栄養表示例」

2.アレルゲンを含む食品の原材料表示のポイント

食物アレルギーとは、食物を摂取した際、食物に含まれる原因物質(アレルゲン:主としてたんぱく質)を異物として認識し、身体が過敏な反応を起こすことです。主な症状としては、じん麻疹・紅斑などの皮膚症状、下痢・嘔吐・腹痛などの消化器症状、鼻・眼粘膜症状、咳・呼吸困難などの呼吸器症状などがあります。食中毒や食物そのものによる作用(乳糖不耐症など)は除きます。
食物を摂取した後、急速に複数臓器にこれらのアレルギー症状が出ることをアナフィラキシーと呼び、血圧低下や意識障害を伴う場合は、アナフィラキシーショックといわれ、対応が遅れると命に関わることもあります。

【表示の目的】

近年、乳幼児から成人に至るまで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増え、重篤なアナフィラキシーショックを起こす人も年々増加しています。
そこで、食品による健康被害を防止するため、平成14 年4月から、容器包装された加工食品にはアレルゲンを表示することになりました。
この表示の目的は、アレルゲンに関する情報を表示することで、アレルゲンの含まれる食品を避け、食べても大丈夫な食品を選べることにあります。

【表示されるアレルゲン(特定原材料等について)】

必ず表示される7品目(特定原材料)

えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)

表示が勧められている21品目(特定原材料に準ずるもの)

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉 、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

  • 表示されるアレルゲンは、食物アレルギーの実態に応じて見直されることがあります。
  • 上記の28品目の表記以外にも、「卵」→「玉子」のように、表示方法は異なりますが特定原材料と同じものであることが理解できる表示を代替表記として認めています。
  • 可能性表示(「入っているかもしれない」等の表示)は禁止されています。
  • 食物アレルギーでは、極微量でも発症する場合があることから、加工食品1kgに対して数mg以上含まれる場合、表示されます。
  • 対面販売で量り売りされる食品は、アレルゲンの表示の義務はありませんが、健康被害防止のため情報提供を行うよう、自主的な取組が促されています。

【アレルゲンを含む食品の原材料表示の表示例】

■個別で表示される場合
個々の原材料や添加物ごとに、アレルゲンを表示する方法です。(~を含む)等と表示
されます。どの原材料に何のアレルゲンが含まれているかが分かります。

※アレルゲンは添加物にも表示されます。

■一括で表示される場合
加工食品に使われているアレルゲンを、原材料名等の最後にまとめて表示する方法
です。どの原材料にどのアレルゲンが使われているかは分かりませんので、詳しく知
りたい時は、製造者・販売者などに問い合わせる必要があります。

3.一般加工食品の一括表示作成手順

事前準備:「製品配合表」「原料規格書」「食品表示基準」を準備してください。

(注)「省略規定」、「義務表示の特例(表示不要事項)」及び「栄養成分表示」につい
ては、作成手順から除いています。

「別表一覧」(抜粋)

別表

関連条項

分類

内容

別表第3

2条

食品の分類

食品表示基準の対象となる食品に係る定義を定めるもの

別表第4

3条

個別品目の表示

横断的義務表示事項に係る個別のルールを定めるもの

別表第19

4,5条

個別品目の表示

一般用加工食品の個別的表示事項を定めるもの

別表第20

8条

個別品目の表示

様式・文字ポイント等表示の方式等の個別ルールを定めるもの

別表第22

9条

表示禁止

個別の食品に係る表示禁止事項を定めるもの

以上、一般加工食品の主な栄養成分表示、アレルゲン表示、そして一括表示作成手順について説明しました。
3回にわたる食品表示の基本とポイントをおさえて正しい食品表示について理解してください。

(コンサルティング・オフィス高橋 代表  高橋順一)