経営ハンドブック

生産性を高める幹部教育

共に学び生産性向上を真の経営改善につなげる

生産性向上を実現するには、従業員の協力が不可欠だ。経営者、現場のリーダー、現場の従業員がそれぞれの役割を果たしながら、向上策を実行していくことになる。そのためには、特に現場のリーダーに対する教育が重要になる。

ちなみに、経営者が生産性向上を必須と考えていても、現場のリーダーが経営者と同じ危機感を共有しているとは限らない。短納期で業務を引き受けたり、取引先の個別要望に過度な対応をしていたりして、リーダー自身の仕事が多忙だと意識が回らないためだ。

そのため、会社で生産性向上に取り組む際は、経営者が全社員の前で生産性向上の意義や必要性を語り、全社で取り組む体制を作っておかなければならない。

そのうえで、現場のリーダーには、その目的や手順、実践後の評価などについて改めて理解してもらい、現場の従業員はリーダーの下で改善を進めることになる。

現場に具体的な指示を出し、成果につなげていく責任を持ってもらうリーダーには、生産性向上について、日頃から専門講師や外部コンサルタントによる幹部研修や実習で学べる環境を整備しておきたい。

生産性向上のためのリーダーとの向き合い方

  1. 経営者もリーダーたちと共に学ぶ
  2. 彼らの部下を動かすための評価の重要性も伝える
  3. 難度を徐々に上げる実地教育を続ける

1.経営者もリーダーたちと共に学ぶ

経営者は、生産性を高める手法をリーダーに学ばせる必要がある。生産性向上を阻んでいるボトルネックは何か、どのような障害が発生しているのか、そして、講じた解決策がどの程度の成果をもたらしているのかといった知識と実行だ。

まずは、現場のムダを取り除いて、コストを削減するところから始めると成果が出やすい。製造業であれば、過剰在庫や作業時間のバラツキをなくす。サービス業であれば、人員の配置や役割を見直す。コンサルタントの力を借りるなどして、実際にどのようにコスト削減を進めるのかを知ることで、ポイントがつかめるだろう。

幹部研修に関しては、経営者自らもリーダーと共に学び、議論をしながらリーダーたちと共通認識を形成していくのも効果的だ。日頃から共通の問題認識があれば、スピードは早まる。また共に学べば、経営者が生産性向上に本気で取り組もうとしている姿勢がリーダーたちに伝わり、彼らのやる気もより高められる。

2.彼らの部下を動かすための評価の重要性も伝える

生産性向上を効果的に進めるうえで、経営者はその目的を明確にしなければならないが、目的達成(成果)と連動する形で従業員の人事評価制度も改正しておきたい。例えば、ある生産性評価指標に基づく評価項目を設定し、高い評点を獲得した従業員を昇格させる制度や、生産性に連動する賃金制度の導入だ。幹部教育では、こうした制度の周知と、個々の従業員が生産性向上にどの程度貢献したのか、正しく判断できる目を養う必要もある。

なお、人事評価は年度や半期で実施する。その際に、リーダーは、日頃の生産性向上活動の中で成果のあった従業員を称賛することも忘れないように周知しておく。従業員からの報告が、小さな問題の気付きと小さな改善策、そして小さな生産性向上であっても見落とさないことが望ましい。生産性向上は現場の従業員が支えている。日頃の評価は、その後の恒常的な取り組みにつながる。

3.難度を徐々に上げる実地教育を続ける

生産性向上は恒常的に追求していくことが望ましいが、そのためには、社内に生産性向上活動が十分に広がったところで、リーダーに対してより難度の高い課題を投げ掛けるのが効果的だ。徐々に目的と効果のハードルを上げ、ハイレベルの高収益企業や競争力のある企業を目指せる生産性を追求する。段階的な実施は実地の幹部教育にもつながる。

リーダーには、生産性向上の活動を通して、経営の一翼を担っていることも意識させたい。そのためには、経営者との共通認識の熟成、活動が実際に経営改善につながっていることの認識を促すと共に、リーダーに対しても、チームの生産性向上と連動する報酬を出すといった人事制度を設けるのも効果がある。経営者の意図はリーダーたちに伝わり、彼らの士気は上がる。