販路開拓・商品開発

農商工連携の支援

2022年1月内容改訂

わが国の経済を支える産業は、戦後からの技術進歩と経済成長の段階により、第一次産業、第二次産業、第三次産業に分類されます。第一次産業は農業、林業、漁業等の農林水産業、第二次産業は製造業、建設業、鉱業等の工業、第三次産業は小売業、卸売業、運輸業、情報通信業、サービス業等の商業です。

農林漁業者と工業・商業等を営む中小企業者が連携して事業活動を行う場合、補助金の活用や専門家による支援、融資制度や信用保証の特例を受けられる支援策があります。

農商工連携について

2つの事業者のうち、一方は米、野菜、魚等を生産しているものの、輸送手段や販売力がない農林漁業者。もう一方は輸送手段や販売力はあるものの、米、野菜、魚等を生産する土壌や漁場と生産力がない工業・商業等の中小企業者だとします。このような事業者がお互いの強みを活かして協力することで、売上や利益の増加を目指す取組みを、「農商工連携」といいます。

農商工連携を支援する国の法律として、「農商工等連携促進法」があります。この法律による各種支援を受けるには、農商工連携に取り組む農林魚業者と工業・商業等の中小企業者が連携して新商品・新サービスの開発、生産等を行うための「農商工等連携事業計画」を共同で作成した後、両者が連名で国に申請し、認定を受けることが必要です。

計画の認定を受けると使える支援策

農商工等連携事業計画の認定を受けると使える支援策は、次のとおりです。それぞれの支援策ごとに、支援機関の審査を受けたり確認をとったりすることが必要となります。

(1)マーケティング等の専門家による支援(新事業創出支援事業)

事業計画作成から試作品開発、販路開拓まで専門家による一貫した支援が受けられます。

(2)政府系金融機関による融資制度等(海外展開に伴う資金調達支援を含む)

設備資金及び長期運転資金について融資する制度があります。

(3)信用保証の特例

保証限度額の拡大等の特例が適用されます。

(4)食品等流通合理化促進機構による債務保証等

食品関係の事業を行う場合は、必要な資金の借入に対し債務保証等を受けられます。

(5)農業改良資金融通法、林業・木材産業改善資金助成法、沿岸漁業改善資金助成法の特例

認定を受けた中小企業者が、農林漁業者が行う農業改良措置等を支援する場合に、農業改良資金等の融資制度の対象とし、計画の認定を受けた中小企業者又は農林漁業者が当該計画に基づいて行う事業に必要な農業改良資金等の償還期間及び据置期間を延長します(償還期間:10年→12年、据置期間:3年→5年)。

計画を申請できる事業者

農商工等連携事業計画を申請できる事業者は、農林漁業者と中小企業者です。それぞれの分類について、下の図で表しています。

農林漁業者(任意団体も申請可能)

計画を申請できる農林漁事業者(任意団体も申請可能)

中小企業者(資本金、従業員数のいずれかを満たすこと)(任意団体は申請不可)

計画を申請できる中小企業者(任意団体は申請不可)

計画の認定に必要なポイント

農商工等連携事業計画が認定されるには、認定基準である5つのポイントを入れて計画を作成することが重要です。必ず申請書に記載しましょう。

  1. 中小企業者と農林漁業者が「有機的連携」(お互いに利益があるように連携)して実施する事業であること
  2. お互いの「経営資源」(経営資産、技術、ノウハウ等)を「有効に活用」すること
  3. 連携事業により「新商品や新サービスの開発、生産・提供の開拓」を行うものであること
  4. 原則5年以内の計画期間とすること
  5. 中小企業者の経営向上かつ農林漁業者の経営改善が実現すること

申請窓口

認定を受けるには、「農商工等連携事業計画」を作成し、管轄の経済産業局等の担当部局に申請してください。認定申請書の様式や記載例は、各経済産業局等のホームページまたは後掲の「農商工等連携事業の概要」のページからダウンロードできます。本ページでは、これまでに認定を受けた事業計画の概要も検索できます。

まとめ

  1. 農商工等連携促進法は、農林漁業者と中小企業者が連携して新商品・新サービスの開発等を行うことを支援する国の法律である
  2. この法律に基づいて農商工等連携事業計画を共同で作成し、認定を受けると、政府系金融機関による融資、信用保証の特例等の支援策を利用できる
  3. 計画申請書が認定されるには、5つのポイント(有機的連携、経営資源の有効活用、新商品・新サービスの開発等、5年以内の計画期間、経営向上かつ経営改善)が記載されていることが重要