市場調査データ

中華料理店(2025年版)

2025年 5月 16日

本記事では、ラーメンや中華そばなどの麺料理を中心とする店を除き、主に中華料理を供する飲食店を中華料理店と定義する。「町中華」などと呼ばれる庶民的な店から、気軽に利用できるチェーン店、そして本場さながらの味を提供する高級店まで、中華料理店の裾野は広い。それらの中から、一般消費者はどんな基準で店を選び、どの程度の金額を使用しているのか。20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を実施した。

1. 現在の利用状況

〈図a〉中華料理店の利用状況(n=1,000)
〈図a〉中華料理店の利用状況(n=1,000)

中華料理店の利用状況について聞いたところ、回数にかかわらず現在利用しているユーザーの数は775人(77.5%)となった。当サイトでは2009年にも同様のアンケート調査を行っており、その際の利用率(よく利用している+たまに利用している)は78%だった。当時と変わらず高い水準を維持していることが分かる。現在は利用していないが以前利用したことがある人は179人(17.9%)、一度も利用したことがない人は46人(4.6%)だった。

現ユーザーの利用頻度を見ると、最多得票となったのが「年間で数回程度利用している」の447人(44.7%)で、「月に1回程度利用している」の177人(17.7%)、「月に2、3回程度利用している」の102人(10.2%)がそれに続いた。

2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

〈図b〉性別・年齢別に見た中華料理店の利用状況の内訳(n=1,000)
〈図b〉性別・年齢別に見た中華料理店の利用状況の内訳(n=1,000)

中華料理店の利用状況を性別・年齢別に示したのが〈図b〉である。現在利用しているユーザーの割合は男女間でそれほど大きな差異はない。だが、月に1回程度以上利用しているユーザーだけを見ると、その割合は女性よりも男性の方が高くなっている。週に1回程度以上利用するハードなユーザーは、そのほとんどが男性であることにも触れておこう。

年代別に見ると、女性は30代や40代よりも50代や60代以上の方がより多く利用している結果となった。一方の男性は、30代や40代が多く利用しているが、50代や60代以上になっても利用頻度はそれほど落ちず、幅広い年代の男性に親しまれていることが見て取れる。

3. 利用の理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図c〉中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図c〉中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

現在中華料理店を利用している、またはかつて利用したことがあると回答した954人を対象に、店を選ぶ際に重視するポイントを聞いた。最も多い回答となったのが「味、美味しさ」の551人(57.8%)だった。次点の「価格や量などのお得感」が292人(30.6%)となり、上位2項目で9割近くを占める結果となった。提供スピードや生活圏内からの距離、使い勝手など、利便性で選ぶ人は少数派であることが分かる。

4. 利用の基準(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図d〉中華料理店の利用基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図d〉中華料理店の利用基準(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

中華料理店を選ぶ際のポイントを性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。男女問わず、全ての年代で「味、美味しさ」が最も重視されており、特に女性では30代以上の6割以上が、50代に限っては7割以上がこの回答を選んでいる。一方、男性で「味、美味しさ」を選んだのはどの年代でも4~5割程度にとどまっている。その代わりに男性で多かったのが「価格や量などのお得感」という回答で、特に20代から40代の男性がこれを重視する傾向にある。

5. 利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図e〉中華料理店1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図e〉中華料理店1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

中華料理店1回の利用にかける費用を、現在のユーザーに聞いたところ、最も多かった回答は「1,000円~1,500円未満」の327人(34.3%)で、次が「700円~1,000円未満」の231人(24.2%)、さらに「1,500円~2,000円未満」の147人(15.4%)が続いた。これら3つの回答と「700円未満」を合わせると732人(76.7%)となり、4人に3人以上は2,000円未満という結果になった。

6. 性別・年齢別の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図f〉性別・年齢別の中華料理店1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図f〉性別・年齢別の中華料理店1回の利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

中華料理店1回の利用にかける金額を性別・年齢別に集計したところ、男性の方が費用を抑えがちという明らかな結果が得られた。男性で多いのは「1,000円~1,500円未満」と「700円~1,000円未満」で、これら2つの回答を合わせた割合が7割前後を占める。「2,000円以上」をかける人は全年代で2割以下となった。

一方の女性も「1,000円~1,500円未満」が最多ではあることは変わらないが、30代から50代では「700円~1,000円未満」と「1,500円~2,000円未満」も同程度の割合になっている。30代以上の女性では「2,000円以上」をかける人が3割を超えていることも注目に値する。

7. 利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図g〉中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図g〉中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

中華料理店を利用する理由をたずねたところ、上位2回答が突出する結果となった。最多が「気軽に利用できるため」が331人(34.7%)で、それに続いたのが「メニュー品目がいろいろあるため」の317人(33.2%)。魚、肉、野菜など食材の種類が豊富なことに加え、ご飯類や麺類までそろう中華料理の特徴が表れている。その後に「料理のボリュームがちょうどよいため」の140人(14.7%)、「少人数、大人数いずれでも利用しやすいため」の86人(9.0%)が続いた。

8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

〈図h〉性別・年齢別に見た中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)
〈図h〉性別・年齢別に見た中華料理店を利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)(n=954)

中華料理店を利用する理由を性別・年齢別に見たところ、1回の利用でかける費用と同様に男女間で大きな違いが見られた。全体で最多得票となった「気軽に利用できるため」を選んだ人は、わずかに男性の方が多い。大きな違いはその次の回答で、女性は「メニュー品目がいろいろあるため」を選ぶ傾向が高く、30代以上ではおよそ4割を占める。

一方、男性で同回答を選んだ人は2~3割程度にとどまり、それに拮抗するのが「料理のボリュームがちょうどよいため」という回答だった。この場合のボリュームとは、満腹感を得られる十分な量ととらえていいだろう。特に20代と30代では「気軽に利用できるため」に続く高い割合となっている。

9. 今後の利用意向

〈図i〉中華料理店の今後の利用意向(n=1,000)
〈図i〉中華料理店の今後の利用意向(n=1,000)

アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向をたずねた。「ぜひ利用したい」の503人(50.3%)と「どちらかと言えば利用したい」の335人(33.5%)を合わせると、8割以上(83.8%)を占める。反対に「あまり利用したくない」と「全く利用したくない」を合わせても29人(2.9%)。大多数の人が今後も利用意向があるという結果になった。

10. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図j〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)
〈図j〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1,000)

今後の利用意向を性別・年齢別のグラフで示したのが〈図j〉である。「ぜひ利用したい」と答えた割合は男性の方が若干高いものの、「どちらかと言えば利用したい」を合わせた利用意向のある割合は、男女間でそれほど大きな差は見られない。年代別に見ても、利用意向のある割合は全年代で安定している。年齢が上がるほど利用意向が低くなる飲食店もあるが、中華料理店に関してはそうした傾向もほとんど見られない。

11. まとめ(ビジネス領域としての中華料理店)

当サイトでは、中華料理店に関する同様のアンケート調査を2009年にも実施した。その際の利用率(よく利用している+たまに利用している)は78%で、今回は77.8%だった。利用率に関してはほぼ同じ水準を維持している。一方で、大きな変化が見られたのが今後の利用意向についてである。2009年時点の積極的利用意向(今後、ぜひ利用したい+まあ利用したい)は61%だったが、今回の調査では利用意向のある割合(ぜひ利用したい+どちらかと言えば利用したい)が83.8%へと大きく上昇。より身近な飲食店になっていることは間違いないだろう。

今回のアンケート調査で注目したいのが、男女間での意識の違いである。大まかにまとめると、女性は美味しさやメニューの豊富さを求める声が多く、1回で使用する費用が高い傾向がある。一方の男性は、お得感やボリュームに魅力を感じ、金額は低く抑えたいという声が多い。中華料理店を利用する理由をたずねた記述式の自由回答を見ると、女性は「家では食べられない味だから」「本格的な味が楽しめるから」といった味に関する回答が多く、男性は「手頃で美味しいから」「コスパがいいから」など費用も含めた回答が目立った。高級店、チェーン店、個人店など裾野が広い中華料理店だからこそ、メインターゲットの設定とそれに沿った店作りを肝に銘じたい。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2025年1月9日~1月21日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2025年5月

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