回答
就業規則には必ず記載しなければならない事項と任意で記載できる事項があります。それらを踏まえて、就業規則は使用者(企業側)が作成を行い、その内容を労働者の代表に確認して、「意見書」を書いてもらいます。それらを合わせて労働基準監督署に提出すれば、整備は完了です。
労働基準法によれば、常時10人以上の労働者を使用する事業所では、必ず就業規則を作成しなければならないと定められていますので、早急な準備が必要になります。「うちは社員が7人しかいないから」などという事業主の方も注意してください。労働者の人数には「アルバイトや嘱託」も含まれます。社員が7人でも、アルバイトの方が常時3人以上仕事をされている状態であれば、常時10人以上労働者を使用する事業所となり、就業規則の整備が必要となります。
【就業規則とは?】
就業規則とは、職場での労働条件を定めたものです。労働者は、自分がどのような条件で働かなければならないのかを、就業規則で知ることができます。
就業に記載すべき事項には、絶対的記載事項と相対的記載事項があります。絶対的記載事項とは、就業規則を作成するうえで必ず記載しなければならない事項です。一方相対的記載事項とは、必ずしもこれを記載することは必要ではないですが、もしこれらの制度に関して何らかの定めをするのであれば、必ず就業規則に記載しなければならない事項のことです。以下、表1に労働基準法に定められている記載事項を示します。
表1 相対的必要記載事項と絶対的記載事項
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記載事項 |
| 相対的必要記載事項 |
- 始業および就業の時刻、休憩時間、休日、休暇
- 賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払い時期ならびに昇給に関する事項
- 退職(解雇に関する事項を含む)に関する記載
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| 絶対的必要記載事項 |
- 退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払時期に関する事項)
- 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金に関する事項、
- 労働者の食費。作業用品その他の負担に関する事項、
- 安全衛生に関する事項、
- 職業訓練に関する事項、
- 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項、
- 表彰および制裁の種類および程度に関する事項も、定めるのであれば記載すべき事項とされています。
また、1.~4.のほか、当該事業所の労働者すべてに適用される事項も同様に定める必要があります。 |
【就業規則作成の手続き】
就業規則は、使用者(企業側)が労働条件を明確にするためのもので、制定する権限は使用者にあります。ただし、使用者が勝手に自分の都合のよい労働条件を決めることはできません。また法律の制限を超えた労働条件を就業規則で定めることはできません。一方法律の範囲内であっても、労働者の代表(労働組合もしくは労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者)の意見を聴くことが要件とされています(労働基準法第90条)。
また、就業規則は作成をしたら、労働者全員に周知しなければなりません。周知方法は、休憩所などオフィス内の労働者が気軽に見ることができるところに備え付けておくことや、社内LANの共有サーバーにPDFデータで格納し常時パソコンで閲覧できるようにすること、もしくは書面で全員に配布してもかまいません。できれば全員に配布しておいた方が、確実に内容を理解してもらうことができるので、お勧めです。ただし、改定するたび、最新のものを配布しなくてはいけないので注意が必要です。
【就業規則の記載項目例】
また以下、表2に就業規則の記載項目例を示します。
表2 就業規則の記載項目例
| 章 |
記載事項 |
| 第一章 |
総則 |
| 第二章 |
採用、異動等 |
| 第三章 |
服務規程 |
| 第四章 |
労働時間、休憩および休日 |
| 第五章 |
休暇等 |
| 第六章 |
賃金 |
| 第七章 |
定年、退職および解雇 |
| 第八章 |
退職金 |
| 第九章 |
懲戒規定 |
| 附則 |
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【就業規則作成による効果】
就業規則を作成することによって得られる最大の効果は、「職場内のトラブルを防げるようになること」です。ルールを明確にすることで、お互いに無用なトラブルに巻き込まれなくてすみます。そのためにも、就業規則は実際の職場の実情を踏まえた内容にしなければなりません。
また、事業の内容によっては、より詳細な規定を就業規則に盛り込んでおくことが可能です。たとえば、機密保持規程などは就業規則には必須の項目ではありませんが、これらも就業規則に定めることで、企業と労働者との間でのトラブル発生を未然に防ぐことができるようになります。
就業規則は一度作成したら未来永劫変える必要がないものではありません。企業の変化にあわせて、就業規則もその都度見直しをかけて、適宜、企業の実態と合致したものにしておくように、気をつけておいてください。