イベント

「第42期経営後継者研修」23人が修了:中小企業大学校東京校

2022年 7月 19日

終講式を終え、研修生23人が記念撮影
終講式を終え、研修生23人が記念撮影
論文を発表する昭栄の黒田智隆さん(上)と、大村製作所の大村昌生さん
論文を発表する昭栄の黒田智隆さん(上)と、大村製作所の大村昌生さん

中小機構が運営する中小企業大学校東京校(東京都東大和市)は14、15の両日、「第42期経営後継者研修」のゼミナール論文発表会と終講式を行った。参加した経営者候補23人が10カ月間の研修の集大成となる論文を披露。山中和彦校長から修了証書を授与された。

発表会では、ゼミ講師や派遣元企業の社長らが見守るなか、自社の経営内容を分析し、将来ビジョンや事業戦略についてプレゼンテーションした。東京都日の出町のアルミ加工業、昭栄から研修に派遣された黒田智隆さんは「あるべき姿に向けた昭栄の戦略」と題した論文を発表。社員への聞き取りを含めさまざまな手法で自社の経営を分析し、30年先を見据えた戦略をまとめ上げた。黒田さんは「経営のフレームワークや分析方法について学び、自社が置かれている環境を客観的にとらえやすくなった。自社に帰って現場を覚え、推進したい」と語った。

また、埼玉県東松山市で自動車や航空機の部品などを製造する大村製作所の大村昌生さんは、「経営人生計画の策定」と題した論文を発表。自身が経営者としてかなえたい目標に向けて、10年ごとに区切ってステップアップする将来ビジョンを明らかにした。大村さんは「できる、できないは別として自分の好きなことを掲げ、それに向かって取り組む姿勢は大事だ。研修を通じて、その肉づけができたと思う」と胸を張った。

終講式では山中和彦校長が研修生一人ひとりに修了証書を授与した
終講式では山中和彦校長が研修生一人ひとりに修了証書を授与した

過去2期の研修は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、今期は定員を上回る研修生が参加することができ、大きな障害もなくスケジュール通りに研修を進めることができた。研修生全員が発表した後の終講式で、山中校長は「同期の仲間みんなと支え合い、企業を経営することの意義や経営者としての人生観、価値観を明確にされたことは意義の深い時間だったと思う」とねぎらった。

経営後継者研修は全国9カ所にある中小企業大学校のうち、東京校のみが実施している経営者育成プログラム。事業を引き継ぐ後継者に必要な知識や能力を実践的に授けるカリキュラムが特徴で、毎年10月から翌年7月まで集中して学ぶ。これまでに800人以上が卒業し、全国各地で経営者や経営幹部として活躍している。異業種の企業から派遣された研修生たちとの交流も魅力の一つで、研修後も交流を続けているOBも少なくない。