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在校生と卒業生が合同研修 企業経営テーマに議論:中小企業大学校東京校「経営後継者研修」
2025年 2月 17日
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中小機構が運営する中小企業大学校東京校(東京都東大和市)は2月14日、第45期経営後継者研修「在校生・卒業生合同研修会」を東京都千代田区のTKP新橋カンファレンスセンターで開催した。今年で32回目を迎えた合同研修会には在校生20人に対し、卒業生85人が参加。グループディスカッションを通じて、卒業生から経営の現場の姿や後継者のあり方などについて学んだ。
経営後継者研修は、中小企業の後継者が経営者として必要な能力や実践的知識を習得する育成プログラムで、40年以上の長い歴史を持つ。これまでに900人以上の卒業生を輩出しており、「在校生・卒業生合同研修会」では、全国各地で経営者や経営幹部として活躍する卒業生たちとの交流を通じて、在校生に経営活動の参考となる考え方を身に着けてもらう。
中小企業大学校東京校の奥田裕二校長は「本日、集まっていただいたOBの皆さんは、経営後継者研修の先輩であるとともに経営者としても先輩。『生きた教科書』に目の前に来ていただいている。後継者ならではの不安や悩み、苦難を乗り越える心構えなどリアルな話をたくさん聞ける。たくさんの勇気や気づきを持ち帰ってほしい」とあいさつした。
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グループディスカッションでは、在校生と卒業生が11のグループに分かれ、「経営者(経営者の役割・マインドなど)」「第二創業(新規事業・経営革新など)」「人材・組織・労務管理」「営業活動(販路開拓)」という4つのテーマを設定。各グループが1つのテーマを選び議論した。「経営者の役割」について議論したグループからは、「「社長のやりがい」について『社員の幸せ』という意見を多く聞いた。社員のために何かをするのではなく、ステークホルダーのために何をするが大事。それが巡り巡って社員のためになり、やりがいにつながる、との考え方を学んだ」という。
「第二創業」について議論したグループからは、「『第二創業は利益を上げるためのもの』と考えていたが、5年~10年先の第二創業を考えた時、利益の追求と社員のモチベーションの向上の二軸があり、社員のモチベーションの向上のためにそこまで利益を求めない第二創業もある、と指摘され、新しい学びを感じた」といった声が上がっていた。
また、グループディスカッションに先立ち基調講演が行われ、同志社大学大学院ビジネス研究科教授の森良弘氏が登壇。「『イノベーションマネジメント』~何をどう革新すればいいのか~」をテーマに講義した。
森氏は「多くの人はイノベーションを技術的に高度なことをしないといけないと思い込んでいるが、実は技術革新ではない。既存のものを組み合わせて生み出された価値が世の中に変化をもたらしたものをイノベーションという」と、イノベーションが身近にチャレンジできることを強調。さまざまな企業の事例を紹介しながら「破壊的イノベーション」「イノベーションとマーケティングの関係」などについて解説していた。